驚きの一手
図は45手目▲9七桂まで。藤井棋聖が43手目に▲6八玉としたのは、この手を見ていたからのようです。▲9七桂以下は▲8九飛から▲8六歩の8筋逆襲が見えます。43手目で▲6八玉に代えて▲8八玉としていたら不可能でした。
とはいえ、玉に近い囲い側の桂を駒組み段階で端に跳ねるとは何事でしょうか。昔なら「破門」といわれかねない手です。棋聖が指した常識外れの一手に、控室の面々からも驚きの声が上がりました。
現地を訪れている佐藤康光九段は独創的な序盤戦術で知られますが、「▲9七桂は浮かばなかったですね。現代研究の一端でしょうか」といいます。そして、「私は▲8八銀から▲7七桂の展開を予想していましたが、より過激ですね。後手はどこに代償を求めるか長考になりそうです」と話しました。
(銀杏)