(初戦を制した藤井聡太棋聖)
――序盤について。
藤井 前例のある形なので少し速めに進めていたところはありました。
――どのあたりまで研究していたか。
藤井 ▲4五歩(59手目)のところで手が広いかなと思っていました。
――▲6二金(67手目)は1時間8分の長考で指した。
藤井 △4四桂(66手目)に▲3六銀△同桂▲同金△3三桂で飛車を取れる形なんですけど、上部が抜けてしまって(後手玉が)捕まらないかなと思ったので。本譜は予定変更でした。
――▲5二と(85手目)から▲6七銀(89手目)のあたりの意図について。
藤井 △4五角(84手目)の局面で考えていて、▲3六歩△6七金に玉をかわすというのが、もちろん第一感だったのですが、その先の変化がどうなっているのか分からなかったので。本譜は何というか、粘りにいっているような手順なので成算がないまま指していました。
――どこで成算を持ったか。
藤井 ▲8二飛(99手目)のあたりで駒得が見込める形で、指しやすくなったと思いました。
――本局全体について。
藤井 お互いの玉が極めて不安定な形で戦いが続いて、距離感を測るのが難しい将棋だったかなと思います。
――第2局に向けて。
藤井 第2局以降は先後が決まっての対局になるので、しっかり準備をして、いい状態で臨めればと思います。
――ベトナム、ダナンでの対局について。
藤井 自分にとって初めての海外対局で、こちらに来る前はどんな感じなのかなと思っていたのですが、実際に来てみると、素晴らしい環境を用意していただいていて、気持ちよく対局できたかなと感じています。
(佐々木大地七段のタイトル戦は黒星スタートになった)
――序盤の研究について。
佐々木 そんなに深い研究ではなくて、お互い手が広いという認識でした。手探りで進めていました。
――△4四桂(66手目)は長考して指した。
佐々木 飛車が狭い形で、玉も不安定で忙しいので、バランスをどう取ればいいか難しかったです。実際に指してみると嫌みが多く、急所が見えなかったです。
――時間配分について。
佐々木 互角を保っていくのが難しくて、時間を多めに使ってしまったというのはあります。終盤で一瞬、難しいかなと思う局面もあったんですけど、そこですぐに悪手を指した気がします。そのあたりを含めて課題が多いと思います。
――本局全体について。
佐々木 大局観だったり形勢判断の部分だったり、局面の急所が見えていなかったと思うので、ちょっと力不足を感じる内容でした。
――初めてのタイトル戦、その第1局だった。
佐々木 和服を着て、新鮮な気持ちで戦えたと思います。ただ、慎重になりすぎる部分も多かったかなというところで大舞台の難しさを感じました。
――第2局に向けて。
佐々木 厳しいスタートになってしまいましたが、番勝負ということで、気持ちを切り替えて万全の準備をして戦えるようにしたいと思います。
――ベトナム、ダナンでの対局について。
佐々木 近年は海外対局がなかったので、このタイミングで対局できてうれしいですし、充実したスタッフの方々の対応だったり食事だったり、(おかげで)集中して対局できたと思います。