森内竜王・名人の振り歩先で行われた振り駒は、1回目は駒が立って残り同数で振り直し。2回目に「と金」が3枚出て、村山七段の先手に決まりました。対局は定刻の10時に開始されています。
4手目に森内竜王・名人は△4四歩と角道を止めて、以下▲2五歩△3三角▲4八銀に△2二飛と意表の向かい飛車を採用しています。
(八雲)
羽生善治棋聖への挑戦権を争う第85期棋聖戦決勝トーナメントは、いよいよ大詰めを迎えました。挑戦者決定戦に勝ち進んだのは森内俊之竜王・名人と村山慈明七段です。
森内竜王・名人は、現在名人戦で羽生棋聖を挑戦者に迎えて戦っており、挑戦を決めればダブルタイトルマッチになる可能性があります。村山七段は、過去に王位戦挑戦者決定リーグでプレーオフにまで進出した経験がありますが、挑戦者決定戦出場は初めて。昨年度は順位戦でも昇級を果たしており、勢いに乗っています。
対局は4月30日(水)東京・将棋会館にて10時開始。持ち時間は各4時間、先後は振り駒で決定します。
決勝トーナメント表です。
※村山七段は2014年3月13日付で七段に昇段しています
中継は棋譜・コメントを銀杏、ブログを八雲が担当いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
―― 羽生棋聖、防衛おめでとうございます。
羽生 ありがとうございます。
―― 昨日はよくお休みになられましたでしょうか。
羽生 ええ、温泉に入って。
―― 勝利のご報告は。
羽生 いや、知ってたみたいで。(中継を見て? との質問に)中継を見ているわけではないんですけど、連絡する人がいるみたいです。
―― ご自身でもご報告はされた?
羽生 はい、メールをしました。
―― それに対して奥様はどういうご返事を?
羽生 まあ「お疲れさまでした」という。
―― 棋聖位6連覇となりました。実感はいかがでしょうか。
羽生 6連覇、という感覚はあまりないですね。一年一年やっていくなかでこういうことがあって、6年経っていたのかな、ということですかね。
―― 今回は三冠対決ということでも話題になりました。
羽生 そうですね。今まで数多くタイトル戦はやってますけど、自分自身にとっても初めてのことだったので、どうなるかなあと思っていました。
―― 緊張はありましたでしょうか。
羽生 渡辺さんは今年に入って非常に波に乗っているなかでのシリーズだったので、かなり大変なんじゃないかなあと思っていました。
―― 今回のシリーズは3勝1敗での防衛でしたが、結果についてはいかがでしょうか。
羽生 そうですね。いい結果が出せてよかったなあというふうに思っています。
(文)
■羽生善治棋聖
―― 本局は横歩取りになりました。
羽生 今日はこれでいこうかなあと思っていました。似たような形はやったことがありますが、同じ形はないので手将棋のような展開になりました。
―― 1筋から突くのが多いところ、9筋から突いたのは珍しい展開でしたが。
羽生 どっちも価値の高い手なのでどちらがいいかはわからなかったですね。
―― やってみたかった?
羽生 そうですね。
―― どのあたりで有利を意識されましたか。
羽生 △4七金(82手目)と桂取ったあとに金を寄って、駒得で先手取れたので、ちょっとよくなったかなと思いました。
―― 勝ちと思われたところは。
羽生 △3七角(96手目)と打って。ええ。
―― これで棋聖位を防衛してタイトル通算84期です。一年でプラス3期されたんですが、あと16期足せば100の大台に乗ります。自分で近づいたな、とかそういった実感はありますか。
羽生 いや、まあ、記録のことはあまり考えないで指しているので、あんまりよくわからないですね。
ーー 初の三冠対決を制しました。
羽生 初めてのことなので、どんなシリーズになるか緊張感を持って臨みました。結果が出せてよかったです。
■渡辺明竜王
―― 渡辺さん、残念な結果になりましたが、今日を振り返っていただいていかがでしょうか。
渡辺 そうですね。馬作られたあとがちょっと指しにくかったので、そのあたりで形勢を損ねたような気がします。
―― 馬を作られてもやれるという読みだったのでしょうか。
渡辺 歩が多いのでやれると思ったんですけど。馬作られたあとにあまりいい手がなかったですね。
―― そのあとはいかがでしたか。
渡辺 うーん……△4六金(72手目)打たれてちょっと手がなかったので、そこで悪いような気がしました。
―― シリーズを振り返られていかがでしょうか。
渡辺 まあ、仕方ないですね。
(文)