(ホテルのスタッフから花束贈呈)
羽生善治棋聖
「本日はたくさんの方にご参加いただき、ありがとうございます。18年前、震災から1年経った後に淡路島対局が始まりました。私もその1996年のときに対局者として来ることができました。その後は来られない時期もあったのですが、今回で9回目の淡路での対局となります。毎回地元の皆さまに熱烈に歓迎していただいて嬉しく思いますし、長年に渡って尽力をいただいている皆さまに頭の下がる思いです。
季節としてはまだ梅雨入りしていませんが、今日は真夏のような暑さでした。明日からは皆さまに熱い戦いを見せることができたらと思っています。明日の午後からは大盤解説会が開催されるということですので、お知り合いの方もお誘い合わせの上参加していただければと思います。
今回はお菓子を選ぶということで、数多くタイトル戦を戦いましたが私もこれは初めてのことですので、私も非常に楽しみにしております。皆さまには大変お世話になります。どうぞよろしくお願いします」
森内俊之竜王
「本日はこのような盛大な前夜祭を開催していただき、ありがとうございます。私は棋聖戦は10年ぶりの出場になりまして、淡路島を訪れるのもそれ以来となります。先ほどこちらのほうに到着して対局室の下見などもさせていただきましたが、非常に景色もよくて環境のよいところで非常に嬉しく思っています。
棋聖戦の本戦トーナメントを振り返ってみますと若手棋士との対局が続きまして、自分自身、棋士として長い間戦ってきたんだなということを改めて思いました。また、若い棋士と対局することですごく刺激になったような気がしています。いよいよ明日からタイトル戦が始まりますが、トーナメントで対戦したときのように若々しい気持ちを持って臨みたいと思います。
最後になりますが、主催の産経新聞社さま、そして地元の後援会の皆さまを始めとする全ての関係者の皆さまに御礼申し上げたいと思います。今日明日とどうぞよろしくお願いいたします」
(写真…翔、書き起こし…若葉)
前夜祭は18時から行われました。日曜日ということもあり、例年以上の方が会場を訪れました。
(両対局者ら、棋士が並ぶ)
久米脩資・淡路島棋聖戦実行委員長
「今年の棋聖戦は羽生棋聖と森内竜王の対戦になりました。五番勝負の第1局ですが、明日の大一番を控えての前夜祭にこのようにたくさんの皆様にご出席をいただきありがとうございます。
5月の初めに開催のご連絡をいただいて準備に取りかかり、今日に至りました。各団体の皆さまに多大なるご支援をいただいて、この前夜祭を迎えています。棋聖戦をきっかけにして、淡路島にもっとたくさんの方が来ていただけるよう、何かお役に立てたらと思っています。
明日はこの会場で14時から大盤解説がありますので、ぜひ皆様にお越しいただけたらと思います。本日はありがとうございました」
竹内通弘・洲本市長
「第85期の棋聖戦がこの地で行われますことを心から感謝申し上げます。棋聖戦が淡路で始まるきっかけとなったのは、阪神淡路大震災の後、被災地を復興させようという気持ちで立ち上げていただいたのだと聞いています。あれから20年経って当時の面影は確かになくなってきていますが、やっぱり淡路島にとりましては震災から立ち直り、がんばっていく姿勢を見せられるように取り組んでおります。
羽生さんと森内さんは小学生の頃から棋士を目指してがんばってこられて、30数年来のライバルだと聞いています。今回棋聖戦で対局されるお二人は日本全国で期待されておられますし、私自身も明日の勝負を期待しております。今日一日は淡路のおいしいものを食べていただいて、淡路の温泉にゆっくりつかって心身ともにリフレッシュしていただいて、明日の棋聖戦でがんばっていただきたいと思います」
齋藤勉・産経新聞社専務取締役 大阪代表
「先ほど竹内市長から、阪神淡路大震災からの復興を祈念してというお話がありました。来年は震災から20年でございまして、今回は18回目の淡路での棋聖戦開催となります。非常に感慨深いものがあります。今年は棋聖戦にゆるキャラができたのかと思われるようなケーキが会場に置いてあります。ブールミッシュさんに作っていただきました。
今回は羽生棋聖と森内竜王の宿命のライバルの対決となりました。横綱同士の対決と言ってもいいでしょう。ちょっと古いですが、野球界でいうとONの対決と言ってもいいのではないかと思っています。お二人は生年月日や出身地、奨励会の入会年など共通点が多く、これまで数々の名勝負を繰り広げてこられたわけですが、棋聖戦での対決というのは初めてのことだそうです。明日の勝負はケーキのように甘くはありませんが、私自身も素人ながら手に汗握る名勝負を期待しております」
谷川浩司・公益社団法人日本将棋連盟会長
「第85期棋聖戦五番勝負第1局の前夜祭にお越しいただきありがとうございます。また、この棋聖戦を50年以上に渡りまして主催をいただいております産経新聞社さま、並びに実行委員会のみなさまに厚く御礼を申し上げます。
対局者のお二人は名人戦に続いてまたタイトル戦で顔を合わせることとなりました。お二人がタイトル戦で戦うのは今回が16度目となります。そのうち名人戦が9回目ということで、お二人があまりに数多く名人戦で顔を合わせるものですから、4月に東京で名人戦第1局の前夜祭が行われたときには『もりうちはぶ』という6文字が俳句の季語になるのではないかという話をしました。今回はお二人のタイトル戦が春だけではない、ということを森内さんが証明されて、夏もお二人のタイトル戦が見られるようになりました。
羽生さんは名人を獲得され、四冠ということでますます充実されているわけですが、森内さんのほうも決勝トーナメントで若手を相手に貫録勝ちをして、順調に挑戦者として勝ち進んでこられました。お二人は2日制のタイトル戦が多いのですが、1日制はあまり顔合わせがないので、また新たなお二人の勝負を見られるのではと期待しております。
先ほど洲本市長から、棋聖戦がどうして淡路島で行われるようになったかというお話がありましたが、震災復興、そして被災地の発展には10年、20年、30年と長い時間をかけていろいろなことを続けていくことが大事なんだなと淡路島に来る度に感じます。
今回はフランスのお菓子で有名なブールミッシュさんにオフィシャルスイーツを提供していただけることになりました。先ほど対局室で検分がありまして、お二人とも対局の検分はすぐに終わったのですが、明日のおやつを何にするかで随分悩んでおられました。明日お二人が召し上がるスイーツはブールミッシュさんのご厚意で今日ご出席の皆さま方もお持ち帰りいただけるということですので、そちらも楽しみにしていただければとおもいます」
(写真…翔、書き起こし…若葉)
検分の最後に、対局者はブールミッシュのスイーツを選びました。五番勝負では午前と午後の2回、おやつが出されます。両対局者が選んだおやつは、明日紹介いたします。
(ブールミッシュのスイーツメニューを見る両対局者)
(羽生棋聖は真剣な表情で考える)
森内竜王「では私は午前はこれ、午後はこれで……」
担当者「そちらはお味をお選びいただけます」
森内竜王「あ、ひとつ選ぶんですね」
担当者「ひとつでも、ふたつでも」
検分は20分ほどで終了しました。18時から前夜祭が行われます。
(翔)
兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」での棋聖戦は1996年、第67期の第1局▲羽生善治棋聖(七冠)-△三浦弘行五段戦で初めて指されました。前年に発生した阪神淡路大震災からの復興を祈念したものです。
その後、ホテルニューアワジでの棋聖戦は毎年恒例になりました。第4局が予定されていて3-0でシリーズが終了した第82期を除いて開催されています。今回が18回目です。
当ブログでも過去の淡路島対局の模様をご覧いただくことができます。
(文中の肩書は対局当時のもの)
(翔)
皆さんこんにちは。第85期棋聖戦五番勝負は2014年6月2日(月)、兵庫県洲本市(淡路島)「ホテルニューアワジ」で開幕します。
羽生善治棋聖は今期防衛すれば7連覇・通算13期目の棋聖位獲得。
対する挑戦者の森内俊之竜王は第75期以来10年ぶり2度目の五番勝負登場で初の棋聖位を目指します。
第1局の立会人は小林健二九段、副立会人は豊島将之七段、記録係は福間健太三段(25歳、伊藤博文六段門下)です。
ホテルニューアワジ:【将棋タイトル戦】第85期棋聖戦五番勝負の第1局が開催されます (対局場・ホテルニューアワジの棋聖戦告知ページ)
ニコニコ生放送では6月2日9時より、佐藤天彦七段と本田小百合女流三段によるライブストリーミング解説が行われます。(タイムシフト視聴は対局の7日後まで)
本局の模様は若葉記者(棋譜・コメント担当)と翔(ブログ担当)がお届けいたします。
第85期棋聖戦五番勝負ではブールミッシュが対局者のおやつを提供いたします。こちらの模様も随時詳しくお伝えいたしますので、お楽しみに。
(立会人など関西組はバスでホテルニューアワジに向かった。途中の淡路サービスエリアは休日でにぎわっていた)
(翔)