終局後、上田女王にインタビューを行って一局を振り返っていただきました。
―― 本局は相振り飛車でしたが、予定通りですか。
上田 はい。初手▲5六歩とされた場合は、相振り飛車にすることが多いです。室谷さんが先手ならこうなると思っていました。▲3八金から▲4八銀という駒組みはあまり経験のない将棋でした。どう対抗していくか難しかったですが、それなりにうまく指せたと思います。
―― 中盤で桂香得になりました。
上田 そのあたりは良くなったと思います。
―― 終盤で2手連続で長考されましたが。
上田 その少し前の△6六馬(76手目)では△5八歩▲同香△6六馬とするべきでした。△5八歩を打ち忘れていたというか、後で入ると思っていました。▲5三歩(77手目)が思ったよりも厳しかった。▲5二歩成(79手目)と指されて事の重大さに気づきました。先手玉が寄せにくかったです。
―― 長考の最中は何を考えていましたか。
上田 △3七桂成に▲同玉ばかりを読んでいました。本譜の▲同桂はなんとなく寄りそうかなと漠然と考えていました。▲同桂は意表を突かれました。
―― 本戦に進出が決まりました。
上田 本局がリコー杯女流王座戦の初めての対局だったので、まだ実感はありません。持ち時間が3時間とジックリ考えられるので、しっかり時間を使って楽しい将棋を指したいです。
※本譜はここで△6六馬だったが、△5八歩▲同香を入れてから△6六馬と進めれば飛車の横利きが消え、本譜よりまさった。
※上田女王が「事の重大さに気づいた」という局面。ここで上田女王は長考の末、△7一金。▲5三とに再び長考し、△3七桂成。応手には▲同玉を読んでいた。本譜の▲同桂は意外だったという。
(聞き手・銀杏 写真・文)