2016年11月25日 (金)

前夜祭(5)

展望予想
(両対局者が退席したあと、出演棋士による明日の展望予想)

屋敷伸之九段

◆屋敷伸之九段◆

── 第1局、第2局と、どのようにご覧になられていましたか。
屋敷 里見さんの中飛車に加藤さんの居飛車でした。第1局はいい将棋だったと思うんですが、第2局は加藤さんが里見さんにうまく力を発揮されてやられてしまった。この第3局がカド番ということで、どうなるかというところですね。

── 大事な対局の前夜というのは、経験としてどのようにお過ごしになるものなのでしょうか。
屋敷 恐らく加藤さんは眠れない夜を過ごす……あまり心配させちゃいけないですけど、地元の皆さんに。先ほど緊張されていたような気がしましたけどね。私は、昔はタイトル戦で全国あちこちに行って地元のお酒を飲んでいたんですけども、最近ちょっと禁酒しておりまして。よく眠れるように過ごしたいな、という感じはしますね。

村山慈明七段

◆村山慈明七段◆

── ここまで両対局者の印象はいかがですか。
村山 挑戦者の里見さんの用意がすごいなという印象を受けていまして、非常にしっかりと準備をされて挑まれている。加藤さんとしては、序盤で少しリードを許しているという点で、2連敗という結果になってしまっているのかなと思います。個人的な見どころですが、やはり明日は序盤でまず加藤さんが離されないでついていくか、というところが重要になっていくるのではないかと思います。

── 明日の戦型予想は。
村山 本命視されるのは里見さんの中飛車対、加藤さんの居飛車になると思うんですけれども、加藤さんは終盤の根性、終盤力がすごいので、まず序盤を乗り切れれば結果もついてくるのではないかと思いますね。

中尾敏之五段

◆中尾敏之五段◆

── 続いて富士市ご出身の中尾五段です。加藤女流王座とは同じく静岡県のご出身でいらっしゃいますが、加藤桃子さんを普段どのようにご覧になっていますか。
中尾 小学生のころから将棋大会に参加されているのを見ていますので、成長というか、強くなっていくのを間近で見ているという印象です。

── この前夜祭でも、牧之原市長をはじめ、温かく迎えている方が多いと感じました。
中尾 そうですね。静岡の方はほんわかしているといいますか、温かい方が多いと思いますので、加藤さんのことも応援してもらっていると思います。

── 里見女流四冠についてはどのような印象をお持ちでしょうか。
中尾 村山さんもお話しされていましたが、序盤研究がすごくて、そこでリードを奪ってそのまま押し切る、という展開が得意なのではという気がします。

室谷由紀女流二段

◆室谷由紀女流二段◆

── お二方それぞれの印象をお聞きしたいのですが。
室谷 まず、飯野愛さんを楽しみにされていた方、申し訳ございません(注・室谷女流二段は飯野女流1級の代わりにイベントに出演することになった)。飯野さんの分も明日は精いっぱい務めさせていただきます。お二人の印象ということですけれども、まず里見香奈挑戦者は序盤の作戦が何より素晴らしいと思っております。広島の第1局にも行かせていただきましたけれども、里見さんの序盤の時間の使い方から見ても、準備をされているなというのがすごく感じました。加藤さんは序盤でリードをされてしまうんですけども、中終盤における粘り、私もタイトル戦で痛い目に遭っているのでよくわかるんですが、お二人とも魅力の多い将棋を指されるという印象があります。

── 明日の戦型予想は。
室谷 やはり里見さんの中飛車と予想されると思うので変えたいと思うんですけども、私も里見さんの中飛車で、加藤さんが居飛車で対抗するのかなと思います。2人とも最新形にとても詳しいので、中飛車の中でもよく指されている形になるのかなと思います。

藤田綾女流二段

◆藤田綾女流二段◆

── ここまでの対局、どのようにご覧になっていますか。
藤田 女流のタイトルすべてを持っているお二人なので、始まる前から楽しみにしておりました。第1局はすごく熱戦で、序盤から里見さんの作戦が凝っていて、巧みに指しているなと感じていました。今回は加藤さんがカド番に立たされているということで、どのような作戦を用意されているのかに注目しています。

高浜愛子女流2級

◆高浜愛子女流2級◆

── この前夜祭で、もしかしたらいちばん長く里見女流四冠と話されていたかもしれません。そのくらい仲よさそうにお話をされていました。
高浜 私は、育成会という女流棋士の登竜門のようなところがあったのですが、そこに入ったのが里見さんと同じ時期だったので、そのときからすごく仲よくお話しさせていただいています。私は高校生、里見さんは小学生でした。

── 今日はどんなことを話されていたんですか? 里見さんもすごく楽しそうに笑っていらっしゃいましたね。
高浜 いや、ちょっとプライベートなことなんですが、私の家族のことと、里見さんの妹さんの話とかをしていました。

── 加藤女流王座とは交流はありますか。
高浜 東京で私がよく勉強に行く道場に、加藤さんもよく来られているので、そこでお会いしています。いつも明るくて、熱心に勉強されていて負けず嫌いな印象があります。

(書き起こし:文記者/写真:夏芽)