カテゴリ「第33期竜王戦決勝トーナメント」の記事 Feed

2020年7月 6日 (月)

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21時頃、ここまでは受けの手が多かった後手の高野五段ですが、これ以上は辛抱していられぬと、図の△8六同角と銀を食い取って、▲同歩に△8七歩と攻め合いに向かいました。これで一気に激しくなり、終盤戦になりそうです。

駒損するため、後手の攻めがやや細いですが、先に寄せに入れる利点もあります。玉頭の直撃弾と中心にして、△5八銀とサイドからの攻撃、△4五銀以下の駒補充などの筋があります。これらを組み合わせて、後手は攻めきれるでしょうか。

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前記事の図から、梶浦六段は▲6七金寄と形を整えました。次の▲5五歩△同銀▲同銀△同金▲2四歩を狙ったのでしょう。ここでも梶浦六段は着実です。これをまともに食らっては持たないと、後手の高野五段は△5七歩。これまでも2度出てきた歩の垂らしです。これまでは▲5七同飛、▲5七同金と取らせて、どちらも相手の攻めを遅らせることに成功しました。二度あることは三度あるでしょうか。

先手としては三度目の正直と、▲5七同角として、角の利きを通したまま戦いたいでしょう。20時44分頃、梶浦六段は▲5七同角とすると、コップの水をあおり、飲み干しました。

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(高野五段は3度目の△5七歩)

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(20時40分頃、中継室の窓から撮影。すっかり暗くなっている)

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▲2五歩で梶浦六段の残り時間は1時間ちょうどになりました。高野五段の残り時間は46分です。後手は端で嫌みをつけ、先手は2筋をこじ開けにいきました。△2五同歩▲2四歩△同金を利かして、▲5五歩△同銀▲同銀△同金に▲5六金など激しく駒をぶつけていくと、先手の攻めが続きそうです(下図)。以下、△5六同金▲2四角△4七金は▲3三銀からの詰みで先手勝ちです。

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(梶浦六段は▲2五歩までで残り時間1時間)

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先手は4七にあった垂れ歩を回収して、流れを落ち着けました。後手は△5七歩の垂らしで、相手の攻めを遅らせ、手番を奪取。図は△9五歩と攻めるチャンスかもしれません。△9五歩以下、▲同歩△9六歩▲同香△9七歩と、嫌みをつけて手を渡す進行は、ここまでの後手の流れにもあっているのではないでしょうか。

ここまでは先手は着実な攻め、後手は嫌みをつけつつの受けと、両対局者の棋風が現れる展開で、形勢はまだまだこれからのようです。

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(梶浦六段は持ち駒に4枚持つ歩をうまく使いたい)

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(高野五段は歩を犠牲に相手の攻めを遅らせたところ。そろそろ反撃に出るか)

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18時、この局面で高野五段が26分使って夕食休憩に入りました。消費時間は、▲梶浦3時間27分、△高野3時間22分。夕食注文は梶浦六段が「ビーフストロガノフ」(Le Carre)、高野五段が「うな重セット・肝吸」(ふじもと)。対局は18時40分から再開されます。

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16時30分頃、先手の梶浦六段が▲5五歩と仕掛けて(上図)、30分ほどで下図に進みました。局面がほぐれてきました。

56後手が受け身な選択をしたこともあり、先手が攻めて、後手が受ける展開で中盤戦に入りそうです。後手の高野五段は受けを嫌わない棋風。師匠、木村一基王位譲りともいわれます。

014_800 (梶浦六段が仕掛けて、戦いが始まった)

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(高野五段はひとまず受けに回る)

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△8三飛は15時直前の着手。1時間27分の長考でした。

局面はこう着状態。どちらも仕掛けに向かうよりも、手待ちに近い手を指しています。序盤からこってりしすぎて、中盤に入らない懸念も出てきました。先手が千日手でいいと判断すれば、▲2七飛と戻って、以下、△8一飛▲2九飛△8三飛……となれば千日手です。

まずは先手が仕掛けを狙うかどうかでしょう。一般的には先手が主導権を握りやすいため、先後入れ替えての指し直しは先手が避けたいとされています。6四角を追うか3七桂にヒモをつければ、前述の▲4五歩ができるほか、▲1八香~▲1九飛の雀刺しも有力そうです。