カテゴリ「第28期竜王戦七番勝負第3局」の記事 Feed

2015年11月 5日 (木)

P1300052_1740hikae (控室では封じ手の時刻が迫ってきたことに言及されている)

「後手が困ってるのかな」(淡路九段)
「でも本当に困っていたら、もっとボヤくような気がしますけど。まだボヤいている感じはしません」(稲葉七段)
「次の手が分からない……封じ手の候補手を聞かれても、応えられないかも(苦笑)」(山崎八段)

P1300057_1740monita (控室のモニター。記録係の動きが増えている。封じ手用の図面作成が始まったようだ)

20151105_4150分の長考で、渡辺棋王は▲8八玉と自陣を整備しました。代えて▲1六角、▲2二角、▲2二歩成といった激しい変化が主に検討されていました。実戦の▲8八玉は、▲4六歩△3二飛▲3六歩という検討と意味合いは近いですが、攻め形に着手しない分だけ、より落ち着いているといえます。

P1290636_z_wata (朝の渡辺棋王)

「△8五桂を誘っているのでしょうか」と山崎八段。継ぎ盤で北浜八段が▲6八金右と応じて「こういうことでしょうか」。以下△3二飛▲2二歩成△同銀▲3四銀!△同金▲4三角△3三金▲3二角成△同金▲4一飛が一例として並べられました。

P1300046_1715ban (上記変化の継ぎ盤を後手番から)

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20151105_4017時頃の局面。△4三金には検討陣から複数の驚きの声が上がりました。

P1300016_1650kisi03 久保九段はここで(1)▲1六角をメインとして検討しており、「打たれると後手は嫌だと思いますけどね」と先手持ち。次に▲2二歩成と▲3四銀の両狙いで、△5二角と受けるようでは利かされであるとのことです。

(2)▲2二角と打ち込む手も有力だ、というのは村田顕五段。「▲1六角でも、▲2二角でも先手が指せると思います。渡辺先生としては考えどころですよ」。

P1300015_1650ban (上記1の▲1六角が継ぎ盤には並べられていた)

P1300007_1650kisi01 (別の継ぎ盤では棋士が密集するように検討している)

P1290568_souji03_omote 總持院(そうじいん)は、正塔院(真然大徳の開基)、龍城院(新義真言宗の開祖、興教大師大師覚鑁の開基)、理性院(惟信法親王の開基)を合併した寺院です。総本山金剛峯寺の西隣、壇上伽藍を前に控えます。境内前庭には樹齢千年の白藤老樹。大庭園をはじめとした大小五つの庭園が広がります。

P1290575_souji02_sirakaba (白藤の老樹)

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P1290965_kisi_kitahama 関係者から「昔の北浜先生なら、後手を持ちたくはないでしょう」と声をかけられると、「いやいや、いまでも持ちたくはないです」。

20151105_37控室に訪れたばかりの棋士に「第一感」をたずねると、先手持ちと応えることがほとんどです。ただし、検討が進むと「その変化は激戦です」といった声が多く、まさに形勢が揺らごうとしている局面のようです。

P1290970_1610awaji (淡路九段が継ぎ盤の前へ)

P1290978_1610heya (控室はかなり混雑してきた印象だ。各継ぎ盤から様々な変化手順が聞こえてくる)

時刻は15時30分。大盤解説をメインで担当する山崎隆之八段をはじめ、関西棋士が集いつつあります。

P1290955_1530kisi1 村田顕弘五段と西川和宏五段。ともに先手持ちで、西川和五段は「断然先手持ち」と形勢差があるとの見解です。先手は2三歩で後手の金銀を押さえており、▲3五歩から動いていける、その辺りがポイントだといいます。

P1290949_1530kisi2 「驚きましたね。凄いですよこの後手の方は。普通は怖いです。何か代償があって2筋を謝らなかったのなら分かるのですが」(山崎八段)

そういって2筋のやりとりについて触れたあと、「後手はバランスが取れている、と見ているのでしょう。しかしこの形を持つと……疲れます」と、弟弟子の立場になって、率直な感想を述べています。
また、△7二金としたところでも「2筋から攻められているので、△7二玉だと思いました。9割9分の人がそう指すと思います」と、驚きを隠せないでいました。

20151105_34渡辺棋王が手を止めて考えています。

P1290935_kisi_inaba2 「▲3五歩△同歩▲同銀に△3八歩が気になる変化で、それが成立するかどうかですね。先手は2三歩が生きるか、負担になるか。後手は代えて△7二玉ではなく△7二金としましたが、そのほうが後手陣のバランスが取れていると見ているのでしょう。△7二玉~△6二金ですと、▲5一角の筋が生じますからね」(稲葉七段)

P1290946_kisi_1500heya 現局面から▲宮本四段-△稲葉七段で対局が始まります。
「1勝1敗かー、じゃあやっぱり難しいんですね」(宮本四段)
「先手から手がなければ△3八歩が好手になるのですが、そうでなければ大悪手になりかねません。△3八歩の瞬間に▲3四銀~▲3三歩~▲3六飛が狙いになります」(稲葉七段)

関西将棋会館内「棋士室」のノリになってきました。

P1290923_kisi_murota (室田伊緒女流二段が来訪。「このお菓子、食べたかったんですよー」といって、「麩まんじゅう」の差し入れ)

P1290936_kisi_inaba 「はい、これ持って」(村田女流二段、室田女流二段)
そういわれて、自身が差し入れた「クッキーの詰め合わせ」を持つ稲葉陽七段。