カテゴリ「第27期竜王戦七番勝負第1局」の記事 Feed

2014年10月17日 (金)

佐藤康光九段、野月浩貴七段に封じ手予想を聞きました。

20141016_a1

佐藤「▲3六角では普通すぎるからなぁ。▲3六角や▲5五角が有力だと思います。▲3六角にしそうかな。▲5八角も読みました。△3八歩には▲3六銀△1八角成▲4四歩。大穴ですね。大変ですが、長考されたのでどうでしょうか。でも、▲4四歩に△3五香でどうかなぁ。分かりました、▲3六角です…しかし、待ってください…。うーん、▲3六角にします」
封じ手の局面は森内さんがカウンター狙いの指し方です。糸谷さんがどう攻めの形を作るかですね。」
かなり悩まれており、難しい局面なのが感じられました。糸谷七段の1時間13分の長考も納得です。


20141016_a2

野月「大盤解説会では▲3六角が本命と解説したのですが、あれだけ長考されましたから、おそらく他の手ですね。僕は▲5五角から決戦になると予想しています」



Img_0005

Img_0006

18時30分、糸谷七段が対局室を出た。関係者は対局室で帰りを待つ。やがて糸谷七段が戻ってきて谷川九段に封筒とペンを手渡した。谷川九段がいったん受け取り、森内竜王に渡す。森内竜王は封筒に割り印の署名をし、再び谷川九段に。糸谷七段の手に戻り、糸谷七段が署名をした。最後に谷川九段に渡して終了、というところで糸谷七段がサッと手を離してしまった。谷川九段が「もう一度……」と促して、封筒を渡すところで動きを止める。対局室に何度かシャッター音が響いたのち、無事に受け渡しは終了した。両対局者は一礼し、森内竜王が駒を片付ける。駒箱を盤の上に置き、もう一度礼を交わして1日目が終了した。

Img_9953001

Img_9956001

Img_9961

Img_9964

Img_9969

Img_9972

Img_9983

Img_9986

Img_9987

Img_0002

20141016_58図の58手目△3四銀の局面で18時になり、59手目が封じられることになりました。18時30分に糸谷七段が意思表示して1日目が終了しました。1日目の消費時間は▲糸谷4時間26分、△森内3時間30分。2日目は17日午前9時(日本時間では18日午前4時)に再開されます。

ハレクラニを出て西に歩くと、開けた場所に出る。このフォート・デルッシー公園は"fort(砦)"の名の通り、かつては城塞だった場所。公園の一角にはアメリカ陸軍博物館があり、戦車や戦時の資料が展示されている。

Img_9933

Img_9939

Img_9940

(M24チャーフィー軽戦車)

Img_9948

Img_9937

Img_9946

今回で23回を数える海外対局の経験者を見ると、羽生善治名人が12回、谷川浩司九段と佐藤康光九段が6回ずつと、竜王戦で活躍した3人で50%以上を占めました。
谷川九段に海外対局の思い出話などをうかがいました。

「フランクフルトで行われた第3期竜王戦のときは、初めての海外でした。対戦相手だった羽生さんは初めての防衛戦、駒箱を開けるとき手がぶるぶると震えていたのを覚えています。ライン川などの観光もしました。

20141016_sanko_102

第5期竜王戦第1局の△5七桂は筋が悪い手なので、読み切れないと指せないですが、優勢なので紛れなく分かりやすい手で攻めました。ヨーロッパでは時差はあまり気になりませんでしたが、ニューヨークやロサンゼルスは時差が大きかったですね。着いた次の日からは普通でしたが。地元支部の歓迎をいただき、ホームパーティをしていただいたことがあります。ロサンゼルスのときは、支部の方の自宅で開かれたのですが、大きなプールがあって驚いたことがあります。
今日の対局者は二人ともリラックスしているように感じました。対局が始まって、普段と変わらずやれていると思います。駒を並べるとき、羽生さんや佐藤さんだとゆったり並べますが、糸谷さんは早いので、森内さんも少し早めて並べていたように見えましたね」

本局を開催するにあたり、ハレクラニで竜王戦対局のチーフを担当された橋本公山さんの力によるところが大きいものでした。橋本さんは2001年に水泳の日本選手権で優勝。世界選手権に出場した経験を持ちます。12年12月から帝国ホテルからハレクラニへ出向し、もうすぐ2年になります。
「普段はゲストサービスマネージャーを担当しています。日本客の宿泊の手伝いや日本語のサポートをしています。ハレクラニで対局することになり、名誉でもありますし光栄です。大変うれしく思います。竜王戦というトップ対局の異次元の世界を垣間見られればと思います。
指導対局では井道さんに教えていただきました。多面指しでもあり、待って考えているときに楽しさがありました」
井道女流初段には六枚落ちで見事勝利され、拍手に包まれました。橋本さんは小学生のころに少し指していたことがあり、将棋連盟の方から将棋の本が贈られて、本や番組を見て勉強したとのことでした。

20141016_hashimoto(対局前日の15日に井道千尋女流初段の指導を受ける橋本さん)

ハレクラニの歴史は漁師をもてなしたビーチハウスに始まる。この家が"The House Befitting Heaven(天国にふさわしい館)"と呼ばれたことから、ハワイ語で"Halekulani"と名づけられた。haleは「館」、kuは「適当な、妥当な」、laniは「天国の」という意味だ。開業は1917年。1932年には建築家のチャールズ・ディッキーが設計した「ルワーズハウス」が建設され、現在のメインビルディングとして残っている。傾斜のある屋根が特徴的で、今回の対局室があるのもこの建物だ。
1981年、三井不動産が子会社の「ハレクラニ・コーポレーション」を通じて旧ハレクラニを取得。約2年間の工事期間を経て、1984年3月に新生ハレクラニとして開業した。今年は開業30周年を迎える記念の年となる。

Img_0211

Img_9890001

Img_9883

Img_9882

Img_9888

Img_9891

Img_9893

Img_9897

Img_9899

Img_9901001