カテゴリ「第27期竜王戦七番勝負第1局」の記事 Feed

2014年10月17日 (金)

14時になり、ハレクラニ2階で大盤解説会が始まった。谷川九段があいさつし、続いて解説に移る。ハワイに到着したときの話から始まり、糸谷七段の初めての和服の話題になると「ここだけの話をすると……」と谷川九段。その場だけのエピソードが聞けるのも解説会の魅力だ。

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谷川「まず主催の読売新聞社さま、そしてこの素晴らしい対局場を提供していただきましたハレクラニさま、今日もいらしていますけども地元ハワイの支部の皆さま、ありがとうございます。今日は1日目ですのでゆったりしているわけですね、明日が勝負の着く着かないという日になります。どうぞ最後までお付き合いいただければと思います」

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13時30分、対局再開。糸谷七段は対局室に早めに戻り、森内竜王は13時34分ごろに対局室に戻った。森内竜王が腰を下ろすと、記録係の石田四段が「時間になっております」と告げる。森内竜王はしばらく盤面を見ていたが、やがて盤上に手を伸ばした。糸谷七段は険しい表情でその様子を追っていた。

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12時30分、図の局面で昼食休憩に入った。昼食は森内竜王がチーズバーガー、ホットティー。糸谷七段がクラブハウスサンドイッチ、本日のスープ(ターキーと野菜)、アイスコーヒー。対局は13時30分に再開される。

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20141016_45図は45手目▲1八香の局面。森内竜王が長考しています。佐藤康九段に角換わり腰掛け銀について聞きました。

「最近の角換わりは、手の待ち方が難しいです。飛車や金だけでなく、香の位置の組み合わせなのですが、それがどれといいのか、整理し切れていないのが現状です。そこが棋士にとっては面白いところなのですが、パッと見では何がなんなのか違いがわかりにくいですよね。
香を上がる手待ちは▲1八香、▲9八香、△1二香、△9二香、△9三香と5種類もあります。上がらないシンプルな形もあるので香だけでかなり選択肢はあり ます。玉側の香を上がると穴熊にできますが、9八香に△9七歩とたたかれて損するかもしれません。そういう細かさがあります。玉側の香上がりはマイナスイメージがあったのですが、プラスもあるとわかってきました。やはり穴熊にすれば1路遠くなりますから。
後手は一番いいときに△6五歩▲同歩△7三桂と攻められればベスト。飛車が4八にいるときが理想的です。というのは、先手が4筋を攻めているので2二玉は直撃にならないのです」

控室に差し入れが届いた。チョコレートで「祝第27期竜王戦」と文字が書かれたチーズケーキとロールケーキ。「料理の鉄人」に出演したこともあるシェフ、後藤雅司さんが作ったものとのこと。口にした関係者は「おいしい」とうなずいていた。

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比較的速いペースで局面が動いている。角換わりの序盤は「最善形で仕掛けたい先手」と「最善形で迎え撃ちたい後手」という2つの思惑が盤上で交錯する。そのために手待ちをすることも多く、一直線に仕掛ける展開にはなりにくい。わずかな得を求めて、細かい駆け引きが行われるのがこの戦型の常だ。控室では佐藤康九段がパソコンをにらみ、前例と照らし合わせながら検討している。図から糸谷七段は▲2八飛! 一度4筋に狙いを定めた飛車が2筋に戻った。実戦では指されたことがないが、以下△3三銀▲2五歩と進めば前例のある形に合流する。先手が飛車先を伸ばす形はやや古い形だが、最近は再評価が進み増えている指し方だ。本局もそうした形になるのか、それともまったく新しい展開になるのか。森内竜王は盤面を見つめて熟考している。

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控室では谷川九段が封じ手用紙を入れる封筒の準備中。封筒には棋戦名や開催地などの情報を書き、立会人が署名する。封じ手は2通作って保管する規定だ。この封筒が使われるのは18時。佐藤康九段は進行の速さに、「これは12時には(駒が)ぶつかりますね」と話していた。最近のタイトル戦は、事前で研究済みの局面までスッスッと進む傾向がある。今日はどこまで進むだろうか。

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後手番の森内竜王は2手目に△8四歩と突き、先手に作戦を委ねる指し方を選んだ。対する糸谷七段は▲2六歩と突いて角換わりを目指す。△7七角成(図)で戦型が角換わりに決まり、森内竜王が糸谷七段の得意形を受けて立った形になった。

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(控室に重枝総領事夫妻が来訪。しばらく関係者と談笑していた)