カテゴリ「第23期竜王戦七番勝負第4局」の記事
17時頃の局面
図は17時頃の局面。
渡辺竜王が80手目△3五銀を指した時、羽生名人は席を外していた。しばらくして席に戻り、△3五銀が指されたことを確認。船江四段の「指されました」の言葉に、「ハイッ」とよく通る声で答えた。
(若葉)
井上慶太八段の解説
棋譜コメントにもありました井上八段の解説を図入りで紹介します。
77手目▲3四同歩に、(1)△4五銀なら、▲4四金△3六銀打▲同飛△同銀と進み(途中図)、
(A)▲3三銀△同桂▲同歩成△同金▲3四歩△4四金▲3三銀△3一玉▲4四銀成△4二玉(参考1図)と進むと先手の攻めが切れている。
途中図から(B)▲4三歩とすれば、以下△3二金▲4一銀△3一歩(△2三金は▲3二銀打)▲3三銀△同桂▲3二銀成△同歩▲2三歩△同玉▲3三歩成△同歩▲3五桂△3二玉(一歩あれば▲3四歩)▲6五歩(歩を取った)△3四銀▲同金△同歩▲4二銀△3五歩▲3三金△2一玉▲2三歩△1二金(一歩あれば▲3二歩)▲1五歩△4五角▲1四歩(詰めろ)で先手が勝ちそうだが(参考2図)、そのときに△4二飛▲同歩成△7八角成で先手玉が詰みそうだ。
77手目▲3四同歩に(2)△3二歩はとすると、以下▲2三歩△同玉▲3一銀に△2二銀で受けきれていると見られている。
(若葉)
16時頃の局面
図は75手目の局面。羽生名人の▲3四銀の打ち込みに対し、渡辺竜王が考慮中である。
ここまでの消費時間は、渡辺竜王6時間19分、羽生名人6時間24分。ほぼ同じである。
(若葉)
差し入れ2
午後の控え室(1)
午後のおやつ
畠山成幸七段の形勢判断 - 64手目
チャット解説の畠山成七段に現局面の形勢判断をお聞きしました。
名人の一歩損で通常は一歩損ぐらいなら互角ですが、攻める展開の先手にとって歩は大きいと見ました。
<駒の働き> 竜王52 - 名人48
▲3七桂と△8一桂の差は先手が働いていますが、狙われる可能性があります。△5五銀と先手の持ち駒の銀では△5五銀のほうが効いていると見ます。
<玉の安全度> 竜王44 - 名人56
しばらく後手は先手の攻めを受け止める展開になるので。
<総合> 竜王50 - 名人50
竜王も不安はあるし、名人も攻めが少し細いと感じていると思うので、両者自信なしの互角かと思います。この「両者自信なし」の概念が将棋界に認められたのは、この10年以内だと思います。 昔は片側が自信なしなら、片一方は良いのではとの考えがありましたから。
(若葉)
大盤解説会 - 二日目
加古川市民会館で行われている現地解説会の模様をお伝えする。
記者が市民会館を訪れると、解説を担当していたのは地元加古川の加古川観光大使稲葉四段と、弟弟子の菅井四段(ともに井上八段門下)。本譜は中盤の急所を迎えていて長考が続いているが、両解説者にとっても難しい局面。様々な変化が現れては消えていった。ただし一貫して述べられていたのは、「先手がやや難しそうだ」ということだった。
菅井 「先手が良いと思っていたんですが、攻めきるのは難しいですね」
稲葉 「歩がないので・・・」
会場内からも、「△3六歩だと・・・」などと知り合い同士で検討する囁き声が聞こえた。
(現地大盤解説会場。「小ホール」だが、かなり大きい。職員の方の話によると、500人ほど収容できる広さなのだそうだ。)
(解説の菅井四段。考え込む場面がよく見られた。)
(稲葉四段)
(会場は大盛況。250人ほどのファンが詰めかけている。)
(若葉)
対局再開
定刻の13時30分、対局が再開された。再開後の渡辺竜王の着手は△5五銀だった。
第4局はこれまで、先に入室していたのは常に渡辺竜王だったが、今回は羽生名人が先に入室した。続けて渡辺竜王も対局室へ。井上八段の「それでは時間となりましたので、再開して下さい」の声で対局が再開された。
記者が対局室へ向かう途中(今回は控え室と別の建物)空を見上げると、午前中の晴天とはうって変わって外は薄暗い。気温も下がり、肌寒く感じられた。これから起こるであろう激しい戦いを予感させた。
(席につくや考え込む渡辺竜王)
(席に着き、身支度を整える羽生名人。袋からハンカチを取り出し、メガネを拭く。リラックスしているようにも見えるが、しかし、時折渡辺竜王を見つめる眼光は鋭かった。)
(若葉)