カテゴリ「第23期竜王戦挑決第1局」の記事 Feed

2010年8月16日 (月)

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カメラによる、15時20分頃の対局室の様子。現在は久保二冠の手番。久保二冠は脇息を引き寄せ、前屈みになって考えている。羽生名人はあぐらを組み、あごに手をやって盤上を見つめている。

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14時45分頃、控え室を瀬川晶司四段が訪れた。「昼食休憩までは見たんですが、すごいですね」と、ここまでの棋譜を並べ始める。そして「居飛車の主張が通っている気がします。2七の歩が駒台に載ってる計算ですからね」とコメント。「どちらかというと居飛車持ちです」とも。「いや、でも久保さんですから。まだまだこれからですね」。

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(瀬川四段。棋譜用紙を手に、棋譜を並べていく)

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建物の外に出ると、むっとした熱気がアスファルトから立ち昇る。空気は息を吸うのも嫌になるくらい温められている。「午後からは徐々に曇ってくる」という予報だが、14時30分すぎ現在、じっとしているだけで汗が噴き出てくるほど暑い。

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木村一基八段が控え室を来訪。「あれ、誰もいないか……」とつぶやきつつ、ふらふらと継ぎ盤の方へ。再開後の手順を並べながら、「これは居飛車がいいでしょう。負けても居飛車持ちですよ」と一言。「千駄ヶ谷の受け師」の異名を持つ木村八段は、受けの達人。14時現在の局面は木村八段にとってまさに垂涎もの、といったところだろうか。この後の指し手をしばらく考えて、「夕方にまた来ます」と颯爽と去っていった。

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(中腰で継ぎ盤に向かう木村八段)

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別棋戦を対局中の勝又清和六段が控え室を訪れた。モニタを見ながら、「こりゃ驚いた。すごい発想だね。これは久保さんしか指せないよ」と継ぎ盤に向かう。駒を動かしつつ、「こうしてみると後手もやりづらいか。この馬はすぐ消えちゃう可能性もあるしね」。

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(継ぎ盤で検討する勝又六段)

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昼食休憩から再開してすぐ、羽生名人は△6五歩と仕掛けた。この歩を取れば、△8八角成▲同銀△4五角で、次に△8九角成と△2七角成りの両狙い。「こうなっては先手がいけません」と教科書に書いてありそうな手順だが、なんと実戦がその通りに進行した。上図から▲6五同歩△8八角成▲同銀△4五角▲5六歩△2七角成と進み、下図。
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この局面は歩の損得もなく、純粋に後手だけ馬を作った勘定。いっぽうの先手は角を手持ちにしているが、手持ちの角と盤上の馬では、たいていの場合馬の方が大きいとされる。パッと見では「ほんとうに成立するの?」と言いたくなるような、ちょっと信じられない手順なのだ。しかし久保二冠はほとんど時間を使わずこの順に踏み込んでいる。当然成算があるに違いない。早い時間帯から盤上には波乱が渦巻いている。この対局は目が離せない将棋になりそうだ。

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定刻をすぎてほどなく、羽生名人が入室。「指されました」の声に「はい」と答える。羽生名人は着座してすぐに、厳しい視線で盤面を凝視。上体を前後に揺らして考えていた。

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(羽生名人)

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(盤上に視線を注ぐ)

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(再開直前、木村一基八段(中央)が対局室に現れた。立会人……ではない)

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(久保二冠。定刻の13時になり、再開後の一手を着手する)

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(定刻を過ぎても、羽生名人の姿はない)

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