2021年7月の記事

2021年7月21日 (水)

Ryuou20210721010169 図は21時頃の局面。八代七段が飛車の活用を図ったのに対し、久保九段は竜を作ることに成功。北浜八段は「これは振り飛車を持って元気が出てきました。△7四歩と突けているのが非常に心強いです」と述べると、図からの進行例として△1九馬▲4二歩成△同歩▲2一飛成△5二歩を挙げ、「その順は次の△5五馬が絶品になりそうです」と、声のトーンが上がりました。

Photo_59 (振り飛車党の北浜八段は後手の指せそうな分かれが並べられると、声のトーンが上がった)

Ryuou20210721010164 図は20時30分頃の局面。久保九段が△7四歩と突いて▲7五桂を消しながら玉の7三への逃げ道を作ったところです。先手の端攻め以降は激しい戦いとはならず、互いに自陣を中心にプラスになりそうな手を入れ合うじりじりとした展開となりました。先に相手玉を目指すのはどちらになるでしょうか。

Photo_57 (13時頃の関西将棋会館。日中の気温は36度まで上がった)

Photo_58 (こちらは20時頃の関西将棋会館。外はすっかり暮れ、5階対局室の灯りがはっきり分かるようになった)

Ryuou20210721010157 八代七段は▲4三歩△4一歩の交換を入れておいて端攻めを敢行。後手が手抜いて△5六歩と打てば歩切れとなり、▲5八歩のあと▲9四歩が厳しく残ります。ただ、9筋は後手の馬が遠く利いており、後に逆用されかねないところでもあることから、この端攻めは八代七段にとって命運を託した端攻めと言えそうです。

Photo_56 (端攻めに本局の命運を託した八代七段)

Ryuou20210721010151 18時40分に対局再開。八代七段は▲2七同飛ではなく▲1八飛と逃げました。(1)△4八角成なら▲3三成銀△同金▲5五角△4三飛▲3三角成△同飛▲4八飛(参考1図)で先手よし。(2)△2六角は▲3三成銀△同金に▲3八桂(参考2図)の飛車角両取りがあります。振り飛車ピンチに映りますが、久保九段に策は用意されているでしょうか。

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Ryuou20210721010150 図の局面で八代七段が34分考えて夕食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲八代3時間43分、△久保3時間9分。夕食時の注文はともにやまがそばで、久保九段が「親子丼、冷たいそば」。八代七段が「肉なん定食(うどん)」。対局は18時40分に再開されます。

Photo_54 (夕食休憩時の対局室。八代七段が考え続けていた)

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17時過ぎ、本局の読売新聞観戦記の解説を担当する北浜健介八段が関西将棋会館に来館しました。

Ryuou20210721010149 「図の▲1六歩の局面は形勢は難解だと思いますが、振り飛車側を持って怖い局面でもあります。ここで△4八角成か△2七歩かですが、△4八角成だと形勢が一気に傾きそうです。一例として△4八角成は、▲3三成銀△同金▲5五角△4三飛▲3三角成△同飛に▲4八飛で馬を取られて駒損になる変化があります。図から△2七歩▲同飛を入れておけば、最後の▲4八飛がありません。このような変化があるなか、振り飛車がどう持ちこたえるかというのが現局面での印象です」(北浜八段)

久保九段は22分の考慮で△2七歩を選択。ここで両対局者の消費時間が3時間9分で並びました。

Photo_52 (本局の読売新聞観戦記解説を担当する北浜健介八段)

関西将棋会館1階の売店を紹介いたします。

Photo_44 (関西将棋会館1階の売店入り口)

Photo_45 (入り口を入ると、右手のショーウインドウ内には駒や駒袋、駒箱やチェスクロックなどの商品が飾られていた)

Photo_46 (サンプルの初段免状が入った免状額も商品として扱われていた)

Photo_47 (本棚には八代七段著の『横歩取りの最重要テーマ(マイナビ)』も並んでいた)

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Photo_49 (全集コーナーには『竜王戦全集』とともに、『久保利明の四間飛車』が並んでいた)

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Ryuou20210721010140 図は久保九段が角交換から△3三桂と銀取りに跳ねた局面。本譜は以下、▲3四銀△4六飛▲2四飛△2三歩▲同銀成△1五角(下図)と攻め合いに進みました。先手は2筋や5筋の突破を、後手は相手の攻め駒を攻めながら敵玉に迫ろうとしています。果たしてどちらが読み勝っているでしょうか。

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Ryuou20210721010132 図は▲6八金寄に△5四歩と久保九段が5筋から動いた局面。▲5四同歩と取られると▲5三歩成が残るだけに、強気の反発という印象を受ける一手です。本譜は△5四歩以下▲2四歩△同歩▲5四歩(下図)と、八代七段は2筋の突き捨てを入れておいてから堂々と5筋の歩を取りました。このあと久保九段の華麗なさばきが出るか、八代七段が手に乗って優位を築くか、ここ10手ほどが本局の流れを決めるポイントとなりそうです。

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Photo_40 (久保九段は5筋から強気の反発を見せた)