2020年11月の記事

2020年11月 7日 (土)

10時、両対局者の控室におやつが運ばれました。注文は、豊島竜王が「フルーツ盛合せ」、羽生九段が「菊」と「ホットコーヒー」。

Img_9027_o04 (豊島竜王の注文。「京都ホテルオークラ」が提供する)

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Img_9015_o02 (羽生九段の注文。「菊」は「亀屋重久」が提供する生菓子の名前)

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Img_9116_o_hata (撮影用のおやつを勧められた畠山鎮八段。関係者の無茶振りに応えつつも、白餡のあっさりとした美味しさを伝えてくれた)

【京都ホテルオークラ】
https://www.hotel.kyoto/okura/

【亀屋重久】
http://www.kameya-shigehisa.com/

20201107_12_2戦型は相掛かり調となっています。対局開始から45分でこの局面、やや探り合うようなペースで進んでいます。

Img_8986_h0945 (控室ではパーティション越しに、畠山鎮八段と清水市代女流七段が継ぎ盤を囲む)

Img_8827 (京都はしとしとと雨が降る)

おはようございます、第3局1日目のスケジュールは下記のとおりです。

09:00 対局開始
10:00 午前のおやつ
12:30 昼食休憩
13:30 対局再開
15:00 午後のおやつ
18:00以降 封じ手

関連ブログ記事 : 各種メディア情報

【京都・仁和寺の対決…豊島竜王VS羽生九段、竜王戦第3局詳報(随時更新)|読売新聞】
https://www.yomiuri.co.jp/igoshougi/ryuoh/20201106-OYT8T50068/

2020年11月 6日 (金)

【見どころ解説】

Img_8816_m01 (立会人の福崎文吾九段、新聞解説の畠山鎮八段が第3局について語る)

福崎「先ほど、羽生さんとお会いしたのが5年ぶりくらいでね。向こうは僕のこと忘れてるんちゃうかなって」
畠山「先生、さすがに5年ぶりとか、そんなことはないはずですけど(笑)」
福崎「羽生さんは99回タイトル取ってるんですよね。毎年1期でも99年掛かるわけですから、すごいですよね」
畠山「2年前でしたかね。この竜王戦で広瀬さんに敗れて。今期のタイトル戦出場は2年ぶりなんですね。でもすごいシリーズになりそうです。どちらのファンも胸が痛くなるような。どちらにも勝ってほしいという声も聞きますね」

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福崎「第1局は豊島さんが桂をピョンピョン跳ねていってね。開幕からすごい将棋でした」
畠山「そうでしたね。竜王戦七番勝負では最短手数で。豊島さんが勢いに乗る可能性もあって、第2局はどうなるかと思いましたが、羽生さんが勢いある指し回しを見せました」
福崎「ふたりは20歳差なんですね。そこまで違うと指していて相当に違う感じですよね。どうですか」
畠山「年上がビシッと攻めてきても長引けばなんとかなるかなと思うこともありますが、年下にビシッと指されると読みきられたかなと」
福崎「そやねー。でも羽生さんは落ちついていますよね。乱れないです。1勝1敗になって、明日はどんな予想ですか、鎮さんは」
畠山「全然分からないので困ってるんですけど、ただ……」

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畠山「第1局のような超急戦は、ちょっと豊島さんもできないかなと思うんですけど」
福崎「明日は羽生さんが先手ですよね」
畠山「▲7六歩△8四歩▲2六歩の出だしかなと」
福崎「角換わりですか」
畠山「3手目の▲2六歩に豊島さんが何を持ってくるか。先生の予想はいかがですか」
福崎「僕は豊島さんが大好きですし、羽生さんも尊敬しています。(しばらく独演会が続き)それじゃー、そろそろ本題に入りますか。じゃ、まとめてね(会場爆笑)」
畠山「豊島さんが後手番で、どういった戦型選択をするかですよね。本格的な形になるのかどうか、また奇襲的な形があるのか、そういったところが注目かと思います」

(書き起こし=潤記者、撮影=虹)

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本日のブログ更新は以上となります。
対局は7日(土)9時開始です。どうぞお楽しみに。

【対局者決意表明】

Img_8783_t_habu (挑戦者 羽生善治九段)

「第33期竜王戦、京都、仁和寺対局の前夜祭を盛大に開催していただきまして、ありがとうございます。新型コロナの関係で、なかなかこういった催しは将棋界においても行われていなかったわけですが、この竜王戦の開幕から、こうやって皆さまと前夜祭や大盤解説会が開催されるようになって、とてもうれしく思っています。私はいままで京都には10回以上来ていると思うのですけど、この仁和寺さんには初めてでして、先ほど対局場で検分をしたのですが、大変歴史と由緒のあるところを提供していただきまして、こういった場所で対局できることは、棋士としてとても名誉なことだと思っています。秋も深まってきまして、これから寒い季節がやってきますが、それに合わせて竜王戦も佳境に入っていきます。より一層気を引き締めて、ひとつひとつの手を大切に指せていければと考えています。将棋の歴史で有名なもののひとつで、いちばん持ち時間が長い対局は読売新聞社さんが開催された阪田三吉先生の対局があるんですけど、将棋の歴史的な対局は京都で多いのかなと思っています。そういった舞台といいますか、場所を作っていただきましたので、いまある力を出しきって、皆さまにも楽しんでいただけるような将棋を指せるよう、全力で指していきたいと思います。一生懸命頑張りますのでどうぞよろしくお願いいたします」

Img_8794_t_toyo (豊島将之竜王)

「仁和寺さまでは昨年も対局をさせていただきまして、大変お世話になりました。対局場は非常におごそかな雰囲気がありまして、また襖絵は、仁和寺の方でも普段は部屋を暗くしているのでなかなか明るくして見ることはないということを、昨年の打ち上げの席で聞きまして、貴重な経験をさせていただいているなと感じました。また、昨年は10月の対局でしたが今年は11月ということで紅葉があり、また夜ということもあって幻想的な雰囲気を感じました。竜王戦はここまで2局指しまして、本当に多くの方に注目されているなと感じますし、先日は読売新聞社さまの紙面のほうで見開きを使って大きく取り上げていただきました。そのほか、メディアのほうでも大きく取り上げていただき、注目の高さを感じています。そういったシリーズにふさわしい対局になるよう、明日も頑張っていきたいと思いますし、自分の力を出しきって納得のいく将棋を指せたらと思います。明日からの2日間、お世話になります」

【乾杯】

Img_8806_t05 (吉田正裕・総本山仁和寺執行長)

乾杯は来場者が着席したまま行われました。
またこのあとすぐ、両対局者は対局に備えて退席しました。

(書き起こし=潤記者、撮影=虹)

【主催者あいさつ】

Img_8741_t01 (柴田岳・読売新聞大阪本社代表取締役社長)

「竜王戦も今期で第33期を迎えました。関西のエースである30歳になられた豊島竜王と、50歳になられたいまも衰えを知らず、タイトル100期を目指す羽生九段との戦いとなりました。七番勝負はここまで1勝ずつ。この仁和寺第3局から、再び熱を帯びた七番勝負の戦いとなります。両者の技と気合いのぶつかり合う戦いは、全国の将棋ファンの胸を熱くすることと信じています」

Img_8748_t02 (清水市代・日本将棋連盟常務理事)

「昨年、ここ総本山仁和寺さまで、初めて竜王戦を開催いただけました。そのときは日本古来の伝統文化である将棋と、世界遺産である仁和寺さまというふたつのコラボレーションが大変な注目をいただきまして、将棋ファンのみならず、本当に多くの方々に興味を持っていただきました。そしてまた今年、仁和寺さまで開催していただけるということで、大変うれしく思ってまいりましたが、今年は本当に当たり前のことが当たり前ではないと気づかされたことが多くありました。そんな中、仁和寺の皆さま方には大変なご尽力をいただき、今日という日をつつがなく無事迎えられましたことを心より御礼申し上げます。仁和寺の皆さま、本当にありがとうございます」

【京都対局代表者あいさつ】

Img_8764_t3 (瀬川大秀・総本山仁和寺門跡)

「竜王という言葉ですが、私達の仏教の中にも『竜神信仰』というのがございまして、これは雲を呼び、雨を呼び、そして水を与えてくれる。それは命の源であり、君子、雲の上に住むという架空の竜であります。ですから、多分、将棋界でいいましたら、最高峰のところかなと思います。ですので竜王戦と申しますのは、将棋界において最高峰の戦いであるのかなと私は思います」

【歓迎メッセージ】

Img_8767_t04 (砂川敬・京都市文化市民局文化芸術都市推進室長)

※門川大作・京都市長のメッセージを代読
「令和初の竜王で、今期、防衛を目指される豊島竜王。通算100期のタイトルを目指し挑戦される羽生九段。明日から始まる熱い勝負を多くの将棋ファンが心待ちにしていることと存じます。本日の前夜祭を通して、熱い戦いの気運が大きく盛り上がることを祈念しております。京都市は将棋をはじめとする文化芸術を、世界に多く発進していきたいと思います。引き続き皆さま方の温かいご支援、ご協力のほどをよろしくお願いいたします」

(書き起こし=潤記者、撮影=虹)

Img_8474_z01 (仁和寺の御室会館。この2階の大広間で前夜祭は行われた)

Img_8475_z02 (1階ロビー)

Img_8730_z03b (両対局者登壇。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、例年と比べて規模を縮小し、またパーティションの設置など対策を整えての開催となった)