2015年6月の記事

2015年6月26日 (金)

時刻は11時を回り、35手目▲1六歩まで進みました。この局面で斎藤六段が長考に沈んでいます。

35

ここで△7三桂と跳ねれば、9筋の突き合いがない「先後同型」になります。しかしそれは千田五段が3日前に対局した▲横山泰明六段-△千田翔太五段戦(順位戦)と同じ進行。結果は後手が勝ちました。

当然、斎藤六段もその将棋は頭に入っているはず。早くも両者の間で駆け引きが始まっています。

斎藤六段
(相手の実戦経験のある形へ飛び込むかどうか。長考する斎藤六段)

両者のこれまでの対戦成績です。

対戦成績


両者のプロ入り後、初顔合わせとなったのが前期の竜王戦(ランキング戦6組)でした。この将棋は矢倉模様の出だしから、後手番の千田四段(当時)が、早々に右桂を跳ねて急戦を匂わせます。しかし戦いは起こさず駒組みを続け、第1図から△5一玉▲7七桂△6二玉と「右玉」に変化しました。

第1図

その後、戦いが始まり一手一手が難しい局面が続きます。迎えた第2図、△4六歩の取り込みに斎藤五段(当時)が▲8四歩!と伸ばしたのが強手でした。以下△8六歩▲8三銀△6一玉▲8八金と進みましたが、銀を先着したのが大きく△4七歩成には▲3五角△同歩▲6四歩が厳しい攻めになります。

第2図

本譜は▲8八金に△7三金▲7八金右△8五桂▲9四銀不成(第3図)と端桂を取ったのが好手で、以下△7七桂成▲同金左△9四香▲8五桂のカウンターが決まり、斎藤五段が熱戦を制しました。

第3図

千田五段としては、前期の借りを返したいところです。

10時になり対局が始まりました。振り駒の結果、先手は千田五段です。

対局開始

千田翔太五段

■千田 翔太(ちだ しょうた)五段■
・1994年4月10日生まれ(21歳)
・大阪府箕面市出身
・森信雄七段門下
・棋士番号291
・2006年、6級で奨励会入会
・2013年、四段(プロ入り)
・2015年、五段

斎藤慎太郎六段

■斎藤 慎太郎(さいとう しんたろう)六段■
・1993年4月21日生まれ(22歳)
・奈良県奈良市出身
・畠山鎮七段門下
・棋士番号286
・2004年、6級で奨励会入会
・2012年、四段(プロ入り)
・2013年、五段
・2015年、六段

糸谷哲郎竜王への挑戦者を決める第28期竜王戦決勝トーナメントが開幕します。出場者11名、トーナメントの組み合わせは以下の通りです。

トーナメント表

本日は開幕局の斎藤慎太郎六段(5組優勝)-千田将太五段(6組優勝)戦をお送りします。関西所属の俊英対決、両者とも初の決勝トーナメント進出です。
対局は大阪市福島区「関西将棋会館」で、6月26日(金)10時開始。持ち時間は各5時間。先後は振り駒で決定します。

斎藤六段千田五段

読売新聞(YOMIURI ONLINE)

本局の中継は棋譜・コメントを虹記者が、ブログは夏芽が担当いたします。どうぞよろしくお願いします。

Photo_2
(本日の対局場の関西将棋会館。大阪は今日一日、雨との予報)