2014年7月の記事
2014年7月 1日 (火)
後手も飛車を切る
15時20分過ぎ、▲8六金の飛車取りに対して高見五段は△7六飛と歩を取って飛車を差し出しました。▲7六同金で飛車がタダのようですが、直後に△8七歩で角を取り返せます。自身の飛車を逃げるよりも、先手の攻めの切り札になっている角を狙う鋭い発想。互いに飛車を切り合う華々しい展開です。
飛車切りの猛攻
図は15時過ぎの局面。
前図の△8六歩に対して、藤森四段が▲2三歩として前例を離れています。以下△2三同金に▲3一飛成と飛車銀交換したのが上の局面。数ある変化の中でも、もっとも激しい順に踏み込んでいます。実戦は図から△3一同角に▲8六金と進みました。後手の飛車が逃げた後、先手の狙いは▲3二銀や▲6五桂です。
盛夏
高見五段、1時間の長考
本局の使用駒
対局再開
昼食休憩中の対局室
昼食休憩
12時10分、図の局面で藤森四段が25分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲藤森1時間8分、△高見46分。昼食の注文は藤森四段が「カレーライス」(ほそ島や)、高見五段が「うな重(松)」(ふじもと)。対局は13時に再開します。
カレーライス。
うな重(松)。
直近で藤森四段が指している形
局面は青野流から後手も△7六飛と横歩を取ったところで、先手が▲7七桂と跳ねました。角道を止めて消極的なようですが、どこかで▲6五桂と勝負する順を含んでおり、激しさを秘めています。以下△5五角▲2二歩△同角▲3七桂と進んで図の局面を迎えました。
先手は1歩を犠牲に手を稼いで▲3七桂と攻勢を目指しています。前例は9局あって、先手2勝、後手7勝と先手が苦戦。しかし、直近の前例は5月30日に行われた竜王戦6組ランキング戦の決勝戦、▲藤森哲也四段-△阿部光瑠四段戦で、藤森四段はこの将棋に勝って決勝トーナメントへの切符を手にしています。
もちろん高見五段もそれを承知でこの形を選んでいると思われます。直近の前例から一カ月で、両者の研究はどこまで進んでいるのでしょうか。