2013年7月の記事

2013年7月11日 (木)

20130711moriuchitanigawa4718時10分まで、ここで谷川九段が24分使って夕食休憩に入りました。消費時間は▲森内2時間55分、△谷川4時間0分。夕食の注文は谷川九段がうな重・梅、赤だし(ふじもと)、森内名人は注文なし。対局は19時に再開されます。

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図は16時30分過ぎ、△3四歩と打った局面です。ここで▲2四銀と逃げても後手の攻めが難しいと言われていましたが、森内名人は13分の考慮で▲5六歩!と攻めを催促しました。

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以下、△3七角成▲同竜△3五歩▲2六竜。

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後手が2枚換えに成功しましたが……。

「なるほど、これは局面を単純化させた手順ですね。△5七桂の筋はありますが、▲5八金右△6九桂成▲同玉で左辺に逃がしてしまいます。局面の考える要素が減り、先手の指し手がわかりやすくなったのではないでしょうか」(室岡七段)

持ち駒が増えた後手ですが、攻めの手段が限られていては緩急つけた技で逆転を狙うことができません。つまり、先手が一直線の寄せ合い(▲2一竜など)を選んだ際、負けだとわかっていてもそのレールに乗っかるしかない局面に進んでしまうかもしれないのです。

再び局面を複雑化させることができるかどうか、谷川九段の底力が問われています。


 

中継室に飯塚祐紀七段が来訪しました。

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「後手が攻めをつなげるのは大変なので、形勢は先手の方がいいと思います。展開も森内ペースだと思いますね。小さな得を守り切って勝つのは、森内名人の得意パターンですから」

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図は▲2六竜と引いた局面。自陣竜が強く、後手が攻めをつなげるのは大変ではないかと言われています。以下、△5五角▲3七歩。

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 以下△3七歩成▲同桂△2二飛は▲3六竜で突破できません。細い攻めを得意としている谷川九段ですが、うまくつなげられるでしょうか。

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(▲2六竜の時に考えている谷川九段。扇子を手元で軽くいじるのが谷川流だ)

20130711moriuchitanigawa2814時44分、谷川九段が37分の考慮で△4三銀を着手。△2四歩の決戦を見送りました。以下▲3五銀△4五歩▲2三飛成と進んでいます。

20130711moriuchitanigawa31△5五角が楽しみな後手ですが、△4三銀と上がったことで▲2三飛成が銀取りになっています。後手を引いているようにも見える手順ですが、「△5二銀と引いた形が堅いのでやれる」と判断しているのかもしれません。

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(朝の谷川九段)

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図は14時頃、8五の飛車を回った局面。狙い筋ですが、「△3三飛ではなくて、△2四歩!▲同飛△4五歩でどうでしょう」と室岡七段。

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▲4五同銀には△5五角▲2一飛成△3一飛のさばきが狙い筋。桂損ながら、飛車交換になれば玉形の違いを生かすことができます。

「△2四歩に▲8五飛と戻って2三の地点をキズにする指し方は考えにくいですね。△4三銀~△3四銀で自然に駒組みされてしまいますので」(室岡七段)

大決戦になった時に居玉は響かないのか。ここは谷川九段も長考しそうです。

Dsc_6607 (朝の森内名人。ばらばらの陣形をまとめられるか)

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(本日の対局立会人は室岡克彦七段)

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(モニターにも盤面は映っていたが、「私は3Dじゃないとダメだな」と棋譜を並べ始めた)

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(「あれ、近藤君の字が変わった気がする。私はデータベースを使わないで、原本の棋譜をコピーして並べることが多いから記録係の字も覚えているんです。近藤君は、もうちょっと隙間があるような字だったと思うけどなぁ。三段になったから変わったのかな(笑)」)