2012年10月の記事

2012年10月31日 (水)

009
(丸山九段側)

010
(渡辺竜王側)

2012年10月30日 (火)

113
(井道千尋女流初段・大盤解説聞き手)

井道女流初段

「皆さまこんばんは。女流棋士の井道千尋と申します。さっそく、いらっしゃる先生方にお話を聞きたいと思います。まずは大内先生、明日行われます第2局の戦型予想や展望などをお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いします」

114
(大内延介九段・立会人)

大内九段

「将棋界は研究会ブームです。渡辺竜王もかなりの研究会を持っている。丸山さんもそれ以上の研究会を持っているということを、中村六段から聞きました。私の時代は自分で考えて自分で創作するということでした。棋譜を見ただけで誰が指しているか一目でわかったんです。今はIT化もあって、データがあっという間に手に入るんですね。よってたかって研究をする。悪く言えば「個」がない。たとえばマティスの赤は魔術師にしか出せない赤だった。あるいはルノワールはこうだ、と。鮮烈な、強烈な個性が芸術というものをつくる。将棋も芸術性がある。
丸山さんには一手損角換わりという、いま流行りの戦法があります。横歩取りも十八番のひとつですね。明日渡辺竜王が先手番ですので、序盤は主導権を握っていくんでしょうけど、丸山さんもそれにどう向かい合って反撃していくか。お互いに『第2局が重要だ』って、2局目2局目と言っていましたので、明日は相当気合いの入った将棋になるんじゃないかと思います。明日は14時から大盤解説会があります。ここにいる中村くんは研究の第一人者ですから、いろいろと教えてくれるのではないかと思います。ぜひお誘い合わせのうえ、ご来場いただければありがたいなと思います。私も中村くんの補佐で応援に行きますので、対局場の雰囲気などを皆さまに伝えることができればと思っています」

118
(富岡英作八段・新聞解説)

富岡八段
「えーと、印象ですね。井道さんの印象じゃなくてね。あのー……井道さんの印象なんですけれども、石川県出身ということなんですが、将棋も非常に強いです。非常にしっかりした将棋を指されます。いいのは顔だけじゃないんです。ほんとうです。ぜひ応援してください。
渡辺さんがこの最高棋戦で8連覇しているのは、すごいことですね。羽生さんも谷川さんもできなかったことです。そして丸山さんが連続挑戦しているのもすごいです。丸山さんは他の棋戦では苦しい場面も見せているんですけども、にもかかわらず、竜王戦で勝って、連続挑戦したということは見逃せないことなんです。
第1局はお互い意地の張り合いだったんですよね。お互い「許さん」といくわけですよ。丸山さんは自分がいいと思っていた局面に行き、渡辺竜王も互角だけどどっちかというとやれるんじゃないかな、と思っていた局面だった。そこにお互い突っ込んでいったんだけれども、フタを開けてみたらハッと驚いたんですよ、丸山さんは。自分のほうがまずいんだ、と。それで愕然としたんじゃないかと。それが第1局でした。第2局は普通に考えると一手損角換わりだと思います。
王座戦では羽生さんが第2局で四間飛車。第4局ではあっと驚く2手目△3二飛をやったんですね。将棋をご存知の方はわかると思うんですけども、ご存知でない方は「あっと驚く」ことをやったと思っておいてください。それをやってから流れが変わっちゃったんですね。もしかしたら、丸山さんも何か秘策が出るのかなと。可能性はパーセントで言うと、1割か2割はあるんじゃないかなと思います」

121
(中村太地六段・大盤解説担当)

中村六段
「私の母方の祖父母が石川県の山中温泉にずっと住んでおりまして、石川には子供の頃は毎年来ていました。今でもあやとり橋とかこおろぎ橋とか、すごく楽しい思い出がいっぱいで、石川県は大好きです。今回大盤解説という形で来させていただけるのは、非常に光栄なことで、とても楽しみにして参りました。
明日からは第2局が始まるわけなのですが、第1局は渡辺竜王が快勝されたということで、この大事な大事な大事な第2局がどうなるかが注目です。
戦型は丸山九段の一手損角換わりが有力なのですが、願望を込めて、私は横歩取りがとても好きなので、横歩取りが見られるのではないかなと思います。渡辺竜王がこのまま第2局を制して勢いに乗るところも見たいのですが、丸山九段がここでひとつ星を返して五分になるところを見て、ますます竜王戦が盛り上がることを期待したいと思っております」

106

渡辺竜王
「このあたりは何度かタイトル戦で来させていただいているんですが、非常に相性がよいところでして。対局が終わってからおいしい魚を食べて、気分よく帰った思い出があり、好きな街のひとつです。今日は午後、小松空港からこちらに来ました。金沢競馬場にも観光に行きたかったんですが、あいにくの天気だったので……。また機会があれば訪れてみたいと思っています。この竜王戦も第2局ということで、これから中盤戦に入っていきますので、重要と言われている第2局を取れるように、いい波に乗れるように、がんばっていきたいと思います。明日から二日間、よろしくお願いいたします」

109

丸山九段
「金沢へはタイトル戦で何度か来させていただいて、親戚もたくさんいるので、縁の深い場所です。非常に思い出深い場所で、好きな土地です。そういう場所で対局ができ、うれしく思っております。第2局が重要というのはあまり知らなかったんですが(笑)、いいことを知ったので、明日からがんばりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします」

061
(読売新聞社北陸支社長の真鍋和彦さま)
「勝負事の七番勝負は2つめの戦いが一番大事と言われております。今行われている日本シリーズもそうです。初戦も勝って2戦目も勝って勢いにのるのか、あるいは取り返して流れをつかむか。シリーズの流れを決める大きな一番だと思っております。ここ金沢は、第1期の第4局、初代竜王の誕生した地であります。25年ぶりの開催なんですけれども、明日からのお二人の対局が竜王戦の歴史に残るような素晴らしい名勝負になることを心から期待しております。ファンの皆さまもそれをきっと望んでいることと思います」

065
(将棋連盟石川県支部連合会副理事の冨木誠一さま)
「金沢へようこそ。プロはスポーツやゲーム、いろいろあるんですけれども、一番の差が大きいのは将棋ではないかと思っております。将棋はなかなかアマがプロに並び称されるというのは難しい。プロは専門家と書くんですけれども、専門家の門には「口」がない。一方、質問という言葉には門構えに「口」がある。なぜ専門家に「口」がないか、なぜ素人は口を出すのか……ということで、明日お二人の素晴らしい将棋を堪能したいと思います」

069
(乾杯はテレビ金沢代表取締役副社長の黒河内豊さま)
「竜王には3年前の福島でお会いしているんですが、そのときインターネットで見ることを教えていただきました。何がおもしろいかというと、解説もさることながら、舞台裏が見れるんですね。竜王がお昼に何を食べたか。甘いものは何を食べたか。そういうのがすごく楽しくて、拝見させていただきました。明日は大盤解説はもちろん、終わった後にインターネットでもう一度観戦をしていただければ、もっと楽しめるのではないかと思います。金沢は和菓子も料理もおいしいところなので、短い滞在かもしれませんが、存分においしいものを食べていただいて、明日からの熱戦を期待したいと思います。では、この竜王戦の成功を祈念して、乾杯したいと思います。乾杯!」