2010年12月2日の記事
2010年12月 2日 (木)
棋譜解説チャット 阿部隆八段の総評
二転三転、今期の竜王戦の特徴かもしれません。中盤過ぎで渡辺竜王がリードを奪い、そこから羽生名人が追いすがる展開。第三者としましては一番面白い展開で解説者冥利に尽きる将棋でした。
終盤はお互いにミスはあったと思います。感想を聞いてみないとわからない部分もありますが。一つだけ絞ると135手目7一竜入の局面ですね。△7七歩から▲同金▲同銀問わず△6五桂もしくは△7七歩で単に△6五桂か。羽生名人が攻め急ぐ展開は珍しい気がしました。(それは渡辺竜王にも言える事ですが。)
本局は渡辺竜王の攻めが決まるか、羽生名人が受けきるかで本来なら差のつく将棋になるはずでした。それが大差にならずにこの大熱戦。流石に最高峰の戦いです。ここまでもそうですが、後二局も同じように両者の盤上の技術だけでなく勝負術も含め人間の熱い戦いを期待しています。
(烏)
感想戦写真
羽生善治名人
渡辺明竜王
(烏)
終局後のインタビュー(羽生善治名人)
羽生名人「勝ちがあるのではないかと思ったが、難しいですね。ちょっと分からなかったですね。
途中ははっきり悪いと思っていた」
終局後のインタビュー(渡辺明竜王)
渡辺竜王「ずっと僅差で動いていて、際どい将棋と思っていた。最後、自玉が詰まない筋になって勝ちと思った。中盤は相当難しかった」
終局直後
(烏)
渡辺竜王勝利
第23期竜王戦第5局は、155手まで渡辺竜王の勝ちとなりました。
終局は19時43分、消費時間は渡辺▲7時間58分、△羽生7時間59分。
渡辺竜王は七番勝負3勝目となり、竜王位七連覇まであと1勝。永世七冠を目指している羽生名人は、カド番で第6局を迎えます。
151手目▲5一金から
△4二玉▲5二金と進みました。そこで△3三玉なら後手勝ちと見られていましたが、羽生名人の指し手は△5二同銀。これは▲5一角から角を抜かれてしまいます。
(烏)