お互いの研究がぶつかり合い、1日目から激しい戦いとなりました。これは双方の研究の見解が違っていたからこそ生じた事です。つまりこの対局はずっと前からお互いの頭の中では始まっていて、この一局の濃密さはそこまで鑑みるとすごいものがあります。
図が封じ手の局面ですが、ここが82手目。全104手ですから、前例から外れて僅か20手少しで終了しました。これをどう捉えるかは意見が分かれるところでしょうが、「本当の勝負」という意味をぜひ感じ取っていただければと思います。
この角換わり同型の後手番を持つ棋士は非常に少なく、それはよほど研究していないと一発で負かされる危険があるからです。それを承知で受けて立ち、そして勝ち切った事は素晴らしいと思います。また名手△7九銀はもちろん研究ではないでしょうが、この形に対する認識を深い所まで突き詰めていたからこそ放たれた一着だったと思います。
本局は渡辺竜王にとって会心の一局と言えるでしょう。
(遠山雄亮四段)
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