2008年12月の記事
渡辺竜王、57手目を封じる
56手目△4五同桂の局面で18時となり、手番の渡辺竜王が次の手を封じることになりました。
次の一手は22分の考慮。1日目の消費時間は▲渡辺4時間19分、△羽生3時間13分。
[54手目]駒がぶつかる
[48手目]▲6六銀と▲5七角の2択
久保八段に48手目の局面を解説していただきました。
「過去の例では(1)▲5七角と(2)▲6六銀が指されており、本局もこのどちらかだと思います。
(1)▲5七角には△6四歩か△8四角。△8四角▲同角△同飛とお互い角を手持ちにすると、千日手になりやすく、渡辺竜王も過去に先手を持って千日手を経験しています(2003年の王位戦・森内現九段戦)。
(2)▲6六銀は、渡辺竜王の棋風的には指さないような気がします。▲6六銀には△4五歩が多いですね。以下▲同桂△同桂▲同銀△5三桂で銀損になるんですが、この場合は桂馬を5三に使わせているので、それほど損ではないですね」
「▲3四銀△同金▲5五歩(参考図)で角道を止めてから▲3五歩と突いて、何か取り返せそうな形です。
(1)▲5七角に△4五歩は、▲6六角と覗く筋がある(2二玉をにらんでいる)ので指しづらいです」
「(2)▲6六銀に△2一玉(参考2図)と引いたのが最新の実戦例で、後手は宮田敦史五段でした。先手がゆっくりしていると△3一銀と引いて堅いですね。▲5五歩や▲7五歩として動いていきたいです」
「46手目の△3三桂は、戻れない駒なので跳ねづらいですが、こちら(右辺)を受け止めてしまえば、ということですね。▲2五歩を△同桂と取れるようにもなっています。桂馬を跳ねると進展性がなくなるということもありますけれども、参考2図の△2一玉は進展性を求めた手と言えるかもしれません。
封じ手まではあと2~3手進むのではないでしょうか」
(翔@白浜)
15時頃
15時のおやつ
大盤解説会
13時半、対局再開
対局で使用されている駒
[43手目]どこで▲3五歩を突くのか
福崎九段に解説していただきました。
「先手は矢倉が完成して、ここから攻めていくことになります。『攻めは飛角銀桂』と言いますから。
ここからは読みの世界。駒がぶつかると変化が多いので考えることになりますね。
ここで羽生さんがおそらく守りの手を指して、渡辺さんが攻めの手を指すことになるでしょう。攻めの手というのはすなわち歩を突くことです。例えば▲3五歩△同歩▲2五桂。飛角桂が3五に虫眼鏡のように集中しています。
でも後手も全軍で守っているので大変です。駒を渡すと反撃を受けますから。攻めたら駒得するとか駒が成れるとかプラス面を見出さないと、ただやみくもに攻めてもいけません」
「あ、△4二銀と引きましたねー。これで渡辺さんが▲3五歩といくかどうか。今やるのか、それとももっといいことが起こる…自分のほうが堅くなる、相手の陣形が崩れるとかなら、待ったほうがいいですね。単純そうに見えて、駆け引きがあるんですよ。人間同士がやっていますから。じゃんけんでも単純だけど、結構考えるでしょ?
待つなら▲9六歩か▲9八香。▲9六歩は懐が広くなりますが、後手からの端攻めも生じるので、▲9八香でしょうか。
完成した家にいくら色を塗っても変わらないのと同じで、局面もこれ以上よくはならない飽和状態があります。飽和状態になったら▲3五歩ですね」
(翔@白浜)