2008年11月15日の記事

2008年11月15日 (土)

081113h53_2 対局翌日、一行を乗せたバスの中で、森下九段が羽生名人に行方八段の指摘(C図)を伝えました。
羽生名人は「ん、ん?うーん」と言ったきり目を閉じ黙考。十数分後にカッと目を開き「ええとですね、△2二金打▲3二銀成△同玉(F図)はどうでしょうか?」


081113h56

この局面は先手玉、後手玉ともに詰みがありません。したがって先手がうまく詰めろを続けることができるかどうかです。

羽生名人と森下九段が話していた変化の一例は、F図から▲4一銀△2一玉▲4三と△3一歩▲4二角△1二玉▲3三と△同金▲3一角成(G図)


081113h65

G図は先手玉は詰まず、後手玉は▲2二金までの詰めろ。△2一銀と受けても▲同馬△同玉▲2二歩△同玉▲3四桂以下詰みがあります。

「そうか、これは負け…ですね。負けです。」(羽生名人)

「ええ、これは先手勝ち筋ですね。そうなると後手は△8六歩▲同銀を入れたほうがいいか、微妙なところかもしれませんね」(森下九段)

(烏@東京)

081113h42 図は42手目の局面です。本譜は▲同金△4九飛と進み、以下後手の羽生名人が勝利を収めました。
感想戦では▲5三歩成△4九と▲2六角△5九と▲7七銀△6九銀▲5二歩△4一玉(A図)の順が検討されていました。


081113h52

ここから▲5九角とと金を取り、△7八銀成▲同玉△5八飛▲6八銀△5三飛成(B図)で大変というのが、感想戦のときの見解。


081113h58

以下▲3四歩△4五桂▲3三銀△3一歩▲1五角が進行の一例です。しかし…


081113h53

A図から▲2一銀があったようです。この▲2一銀は感想戦終了後に行方八段が発見した手。▲3二銀成△同玉▲4一角以下の詰めろになっています。


081113h57

後手は△3一金打として銀の入手を図りますが、金を取って再度の▲2一銀(D図)。金が無くなったので後手玉は受けなし。したがって先手玉が詰むかどうかの勝負になります。


081113h67

D図から△7八銀成▲同玉△6九銀▲7七玉△7八飛▲6六玉△6五金▲5七玉△5八飛成▲4六玉(E図)で先手玉は詰まず。

「感想戦では▲5九角でしたけど、▲2一銀なら渡辺さんに分があると思うんですよ。羽生さんに直接聞こうと思ったんですがチャンスが無くて」

この変化が先手有望であるならば、渡辺新手の▲7九玉に対する評価も変わってくるかもしれません。

(烏@平泉)