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2012年6月23日 (土)

羽生棋聖、優勢になる

_87図は17時20分頃の局面。大判解説会では、石田九段が「銀桂交換で先手が駒得ですが、ここ(3七)にと金があるので駒得とは言えません。そして何よりこの(先手玉の)形が悪い。というわけで、先手が苦しいという状況ですね」と、わかりやすく形勢判断を伝えていた。


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(本局の棋譜用紙。中村六段の持ち時間は残り26分)

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次の一手クイズ、当選者発表

大盤解説会では△7二銀(76手目)の局面で次の一手クイズが出題され、石田九段と室田女流初段が当選者を発表した。

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(当選番号を読み上げる石田九段。「46番の方、おめでとうございました。次はよんじゅう……4が多いね、縁起でもない」)

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(「それではちょっと解説をしましょうか、この角は……角はどこでしたかね?」と石田九段。室田女流初段が8三の地点に戻し、「こんな、角が歩みたいに向かい合う将棋は見たことがないですよ」)

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(石田九段が2008年の▲石田和雄九段-△中村太地四段(当時)戦を並べた。結果は先手勝ち。「今みたいな将棋が毎回指せればいいんですけど、もうできなくなったのでね」)

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(局面が元に戻っているか確認。室田女流初段の師匠、杉本七段も見守る)

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やっかいな端角

_76図は16時10分頃の局面。羽生棋聖は△7二銀(図)と引いて角に当てた。先手の攻めを催促した手だ。控室では▲7三歩成△8三銀▲6二と△9三角(参考図)が並べられ、この端角が受けにくいと言われている。飛車を見捨てる大胆な順だ。

_80単純な銀取りではなく、その先に金を狙っているのが厳しい手たるゆえん。ここで(1)▲6六銀は、△8六歩▲7七金△3九角と数を足されて受けにくい。(2)▲7六歩は、△7四銀▲8四歩△7五銀で攻めが続く形だ。どちらの変化も、先手の玉形が不安定で後手の玉は堅いという差が、後手にとって大きくプラスに働いている。攻め合いは後手に分があるのだ。中村六段は持ち時間も残り少なく、苦しい状況に追い込まれている。


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(検討する豊島七段と室田女流初段)

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大盤解説会始まる

15時30分、1階ホールで大盤解説会が始まった。杉本七段と村田女流二段が序盤の解説を行っている。杉本七段は「タイトルホルダーを相手にすると萎縮してしまいがちですが、最近の若手は自分のペースを崩さないことが多いですね」と話していた。

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(杉本七段)

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(村田女流二段)

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森に囲まれたフォレスタヒルズ

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(大盤解説会は事前申込制。会場のホールには、すでにたくさんの観戦者が詰めかけていた)

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午後のおやつ

15時、おやつが対局室に運ばれた。メニューは羽生棋聖がパッションフルーツムース、レモンティー。中村六段がクリームブリュレ、パウンドケーキ、アイスティー。

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(羽生棋聖が注文したパッションフルーツムース)

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(中村六段はクリームブリュレとパウンドケーキの2つを注文)

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読みの入った手

_71中村六段は1時間4分の長考で▲7四歩(図)と利かした。△8二角と引かせて△8二歩を消す狙いと思われる。△8二角▲5七金△7二銀と進んだときが気になるが、それには▲7三歩成の成り捨てがピッタリで、先手の角は取られない。ただ、この手自体は角の移動範囲を狭くする手なので、感覚的に指しにくい手だ。先の長考は、読みの裏付けをとるための時間だったのだろう。この手を見て羽生棋聖が手を止めている。「次が▲5七金の一手ではないかもしれないので、自分ならとりあえず△8二角と指してみたいです」と豊島七段。相手の指し手を見てから考える、というわけだ。時間の使い方も十人十色である。


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(朝、対局室で盤側に座る豊島七段)

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