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2020年7月16日 (木)

主催紙インタビュー、共同インタビュー

対局終了後に行われた主催紙インタビューと共同インタビューを掲載致します。まずは藤井七段から。

―― 本局を振り返って

藤井 バランスの取り方が難しく、途中から自信のない展開でした。 

―― 矢倉は1、2局と連勝していました

藤井 序盤は第2局と同じような形でした。玉の薄い形が続くので、難しい将棋かなと思っていました。 

――  中盤の入り口あたりはいかがでしたか?

藤井 先手に手段が多いように思いました。自信はなかったです。

――  勝ちを意識したのは?

藤井 最後まで分からなかったです。 

――  初タイトル獲得のご感想は?

藤井 獲得できたのは非常にうれしい。まだ実感がないというのが、正直なところです。渡辺先生と五番勝負で対局して、勉強になったところもあります。 

――  タイトルホルダーとしてこれからいろいろとプレッシャーもあるかと思いますが?

藤井 責任のある立場になるので、よりいっそう精進して、いい将棋を指したいです。 

――  終局直前の気持ちは?

藤井  最後まで際どいと思っていましたので、局面以外のことは意識していなかったです。 

――  4局のうち印象深い対局は?

藤井 第3局でこちらが気付いていない好手を指されて、勉強になりました。 

――  第2局では△5四金や△3一金など、AI超えや神の手などよも言われました

藤井 どちらも手の広い局面でした。いろいろあったかなと思うのですが、自分なりに考えて指せたのが良かったです。 

――  家族にはどう伝えますか?

藤井 いつも自分から結果を報告することはありません。対局はいつも見てくれているので、結果を出せて良かったです。 

――  過密日程での対局でしたが

藤井 王位戦第2局から中1日でしたが、前日に十分休息が取れて、いい状態で臨めました。これからも体調管理に努めたいです。

―- AIとの共存の中での可能性について、どうお考えですか?

藤井 棋士とソフトの対局が話題になりましたが、今は共存の時代に入ったのかな。プレーヤーとしてソフトを活用することで、自分自身成長できると思っていますし、盤上の物語は不変の物。その価値を伝えていけたらと思います。観戦の際の楽しみの1つにもしていただければ。 

――  3日後に18歳の誕生日を迎えます。プレゼントになったのでは?

藤井 気にしていないのですが、結果を残せたのがうれしいです。 

――  29連勝以来の第2ブームが来ているように思います

藤井 多くの方に注目していただいて、観戦いただけるのはありがたいこと。これからもそれに応えられるような内容の将棋を指したいです。 

――  次の目標は?

藤井 今回得た物がいろいろあります。実力を高めて、成長につなげられるようにしたい。結果としてさらなる活躍ができればと思います。

続いて渡辺棋聖にインタビューが行われました。

――  本局を振り返られて

渡辺 第2局の改良で予定の作戦でした。8筋から攻められて、△4六歩から広く揺さぶられて、分からなくなりました。全体的には△2六金でまずくしたかなと。ただ、ちょっと分からないです。

――  矢倉を選ばれました

渡辺 第2局の改良だったんですけど、そのあとが分かりませんでした。

――  形勢はどう見られていましたか?

渡辺 8筋から9筋方面が受かっているので指しやすいと見ていましたが、右辺から攻められる手が読めていなくて、分からなくなりました。

――  これで失冠となりました

渡辺 すぐに取られてしまったのは残念なところですが、全体としては競った将棋を負けているので仕方がないかなと。

――  藤井七段について

渡辺 中終盤の競ったところで勝てなかった。こちらの気づいていない手が多かったです。

――  注目されたシリーズでした。どのようなお気持ちでしたか

渡辺 対局に入ってしまえば普段とは変わらないので。注目度が高く、やりがいがありました。

――  年下にタイトル戦で初めて敗れました

渡辺 今回、藤井七段と初めての番勝負で、内容的に競ったところで負けているので、やっぱりすごい人が出てきたなという感じです。

(潤)

藤井七段が棋聖位奪取

Kisei202007160101_110

五番勝負第4局は110手で藤井七段の勝ちとなりました。終局時刻は19時11分。消費時間は▲渡辺3時間59分、△藤井3時間58分。藤井七段が対戦成績を3勝1敗とし、初タイトルとなる棋聖位を奪取しました。

(飛龍)

決め手の跳躍

20200716100 藤井七段は飛車を逃げることなく5四にいた桂で金を取りました。後手玉に詰みはなく、初タイトルを手中にする決め手の跳躍となったようです。

(潤)

棋聖の粘り

2020071688_3 上図から▲5七金直△4五桂▲5二桂成△同飛▲4五馬(下図)と進行。渡辺棋聖は寄せ合いを諦め、桂を外す順で粘りを見せています。この粘りを見た控室では「何があってもおかしくないです」との声が聞かれました。なお、渡辺棋聖は▲5二桂成の考慮中に一分将棋に入っています。

2020071693_2 (潤)

 

得意の桂で

2020071688_2

控室では藤井七段が勝ちに近づいているとの見解で、慌しくなっています。図の△4六桂が藤井七段にとって本局で4度目の桂打ちで、得意とする桂使いで決めに出たようです。

(潤)

残り4分

2020071683 渡辺棋聖は残り17分から13分を使って▲4八歩と受けました。これで残りは4分。対して、△8七歩や△4二飛が有力で後手が指せそうとの見解で控室は一致していますが、まだはっきり決まっているという感じではないとのことです。

(潤)

飛車を持てば

2020071679_2 図は18時10分頃の局面。ポイントの取り合いが続いていた本局ですが、突如、炎の出るような攻め合いとなりました。後手は飛車取りが掛かっていますが、藤井七段は△3八銀と飛車を逃げずに飛車取りで応対。桐山清九段は「飛車を持てばですよね。△7九飛の1手詰みですから。後手は喉から手が出るくらい飛車がほしいところです」と図からの△3八銀についての感想を述べました。

Photo_74 (藤井七段は得意の終盤で突き放せるかどうか)

(潤)

 

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