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第94期棋聖戦五番勝負第3局

2023年7月 2日 (日)

前夜祭(4)

対局者が退出後、関係棋士が対局の見どころや戦型予想を話しました。
Dsc_6579 (左から青野照市九段、勝又清和七段、八代弥七段、青嶋未来六段、藤井奈々女流初段、行方尚史九段)

Dsc_6604 (立会人コンビの青野九段と勝又七段)
青野九段「藤井さんが八冠を目指すうえでしなければならないのは、棋聖戦と王位戦での防衛、それから王座戦での挑戦権獲得、とりあえずはこの三つですね。元名人や元竜王が皆、藤井さんにやられてしまう中で、今回の佐々木さんは順位戦ではC級2組と、いちばん下のクラスです。ただ、見ている側にとって、彼がいちばんやれるんじゃないかという期待を抱かせる棋士でもあります。それは師匠の深浦さん(康市九段)と同じで、簡単には負けない棋風ということもありますし、これまで藤井さんと戦って散々な目に遭った人たちとはちょっと違うんですよね。プロ入りが同年のライバルがちょっと先にいっちゃったなという感じで。棋士は同期の人間には負けたくないという気持ちが非常に強いですし、楽しみな挑戦者が出てきたという気がします」

勝又七段「データ的なことをお話ししますと、藤井棋聖と佐々木七段は結構似ているところがあります。まず、二人ともアマチュア時代に倉敷王将戦全国大会の低学年の部で優勝しているんですね。プロになってからは、藤井棋聖だけでなく佐々木七段も最多勝利賞や最多対局賞といった賞を取っています。ただ、キャリアには随分と差があるんですけど、これは佐々木七段本人も明かしている理由がありまして、藤井棋聖が小学4年生で奨励会に入ったのに対して、佐々木七段の奨励会入りは中学1年生なんですね。それは心臓に難病を抱えていて、それを克服するのに時間がかかったからなんです。それで、プロを目指すために長崎の対馬から家族全員で横浜に引っ越してきたと。師匠の深浦康市九段から伺ったんですが、彼に初めて会ったときは、治療のために体中に管を巻いていたそうです。それから運命の出会いのように師弟になって、盤外の人格は素晴らしいけど、盤上ではこれほど嫌な棋士はいないといわれるほどの、深浦九段譲りの粘り強さを身につけました。皆さんも第2局の逆転勝ちをご覧になったかと思います。どんなに非勢でも諦めないという深浦イズムを師匠から学んでいます。いまは七段と七冠王ということでキャリアに違いはありますが、もしこの棋聖戦、それから王位戦で佐々木七段が勝てば、一気に佐々木大地が将棋界のスーパースターになると思います。もちろん、そうはさせないと藤井棋聖も頑張るでしょう。とにかく、明日の戦いは皆さん注目してご覧ください」

Dsc_6714 (大盤解説を担当する八代七段と青嶋六段は、ともに静岡県出身)

八代七段「第1局は角換わり、第2局は相掛かりで、それぞれ先手が勝利を収めています。明日の第3局はここまでの流れ通り、先手の藤井棋聖が角換わりを志向すると予想します」

青嶋六段「先手の藤井棋聖は、得意の角換わりを目指されるのではないでしょうか。ただ、佐々木七段の第3局に向けての抱負では、この将棋に懸けるという熱い思いを感じたので、何か秘策を用意しているのではとも思っています」

Dsc_6753 (藤井女流初段と行方九段)

行方九段「戦型は9割方、角換わりだと思いますが、個人的には、藤井さんの久々の初手▲7六歩からの矢倉を見てみたいです」

(書き起こし=睡蓮、写真=銀杏)

前夜祭(3)

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Dsc_6414 (藤井棋聖の決意表明)
「沼津で対局をさせていただくのは、2年前に続いて2回目になります。そのときは大雨の中での対局でしたが、今回は天気にも恵まれて、先ほどは御用邸の庭園内を見て回ることもでき、素晴らしい対局場だなという思いを改めて強くした次第です。第3局を1勝1敗で迎えることになりまして、このシリーズの行方を左右する重要な一局だと感じています。沼津市は市制施行100周年を迎えられたということで、誠におめでとうございます。100周年に対局をさせていただけるということを光栄に思いますし、それにふさわしい熱戦にできるように頑張りたいです」

Dsc_6440 (佐々木七段の決意表明)
「多くの方に集まっていただきまして、静岡の将棋熱の高さを感じています。また、明日の将棋めしは地元の方の投票で候補を出していただいたということで、地元が一体になって対局を盛り上げてくださっているなと感じます。ありがとうございます。先日、招待されてピアノデュオのコンサートにいってきました。音楽の知識はあまりなかったのですが、演奏者二人の迫力と奏でるハーモニーはとても素晴らしく、圧倒されました。明日の対局では、自分自身、全身全霊を尽くして、二人で美しい棋譜を紡いでいきたいと思っております。山場の第3局、鬼門の後手番ということで、精一杯準備してきましたが、どうなるかは明日のお楽しみということで。いい結果になるように頑張りたいと思います」

Dsc_6478 (乾杯の音頭は立会人の青野照市九段がとった)

Dsc_6487 (乾杯! 対局者は明日の対局のため、乾杯後に退出した)

(書き起こし=睡蓮、写真=銀杏)

前夜祭(2)

Dsc_6328 (沼津市立沼津高校書道部の生徒と記念撮影。棋聖戦第3局開催にあたり、のぼりや記念グッズの揮毫を担当した)

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(銀杏)

前夜祭(1)

18時から沼津市の「沼津リバーサイドホテル」で前夜祭が開かれました。

Dsc_6136 (前夜祭には330人ものファンや関係者が参加した)

Dsc_6184 (対局者入場)

Dsc_6218 (飯塚浩彦・産経新聞社会長のあいさつ)
「今シリーズはここまで1勝1敗、通算成績も3勝3敗ということで、まったく互角の勝負です。この沼津対局でどちらが棋聖のタイトルに王手をかけるのか。ダナンの第1局、淡路島の第2局に負けないような、熱い熱い戦いを繰り広げていただくことを期待しております」

Dsc_6274 (行方尚史・日本将棋連盟理事のあいさつ。行方九段は6月の棋士総会で非常勤理事に選任された。理事として初めての仕事)
【日本将棋連盟新役員のお知らせ|日本将棋連盟】
https://www.shogi.or.jp/news/2023/06/post_2309.html
「新鮮な二人の顔合わせが、風光明媚な沼津の御用邸という素晴らしい対局場で行われることを本当にありがたく思っています。コロナは落ち着いているのかどうかよく分からない状況ですが、前夜祭、大盤解説会などで、こうして皆様と直接会って交流を深めることは非常に素晴らしいことですし、こういった場が今後は増えていくとよいと思っています。日本将棋連盟は来年に創立100周年になります。それに向かって走っていくうえで、皆様からいろいろとアイデア等も伺えればと思います。二日間、楽しんでいってください」

Dsc_6287 (西浦三郎・ヒューリック株式会社会長のあいさつ)
「藤井さんがあまりにも強いので、「誰が破るのか」という話になっております。棋聖戦と王位戦で佐々木さんが挑戦者になって十二連戦ということで、藤井さんと佐々木さん、どちらにも頑張っていただきたい。明日の対局はいい棋譜が残るのではないかと思っております。楽しみにしております」

Dsc_6302頼重秀一・沼津市長あいさつ)
「沼津市は昨日、市制施行100周年を迎えました。そういう大変おめでたい中に棋聖戦対局を開催することができたということで、沼津市を挙げて大いに盛り上げて参りたいと思います」

(書き起こし=睡蓮、写真=銀杏)

検分後

検分後に両対局者はインタビューを受け、揮毫や対局日の昼食選びをしました。

Dsc_6067 (インタビューを受ける藤井棋聖)

Dsc_6083 (佐々木七段。自然体でインタビューに応じている様子だった)

Dsc_6121 (明日(対局日)の昼食を考える藤井棋聖)

Dsc_6104 (駒を入れる桐箱に揮毫する佐々木七段)

(銀杏)

検分

15時前に対局場に着いた両対局者は検分に臨みました。本局では「富士駒の会」で活躍する友生師作の駒が3組用意され、その中から書体が錦旗のものが選ばれました。

Dsc_6006_2 (友生師の駒は3種類用意された。錦旗書の赤柾、菱湖書の赤柾、水無瀬書の根柾)

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Dsc_6018 (駒の感触を確かめる)

Dsc_6049 (照明などについて立会人の青野照市九段が説明する。検分は10分弱で終了した)

(銀杏)

大盤解説会・パブリックビューイング

棋聖戦第3局が行われる沼津市では、「沼津リバーサイドホテル」で大盤解説会が開かれます。
なお、事前申し込みは完売しています。
解説・聞き手は八代弥七段、青嶋未来六段、藤井奈々女流初段。

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また、沼津市の「ららぽーと沼津」でパブリックビューイングを開催します。
席数は20程度です。
【7/3(月)将棋タイトル戦 棋聖戦パブリックビューイング開催!|ららぽーと沼津】
https://mitsui-shopping-park.com/lalaport/numazu/event/2487144.html

(銀杏)

第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局は7月3日対局

藤井聡太棋聖に佐々木大地七段が挑戦する第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局が、7月3日に静岡県沼津市「沼津御用邸東附属邸第1学問所」で行われます。第1局を藤井棋聖、第2局を佐々木七段が制して両者1勝1敗で迎える急所の一戦です。どちらが先に2勝目を挙げるか。本局の先手番は藤井棋聖です。
立会人は青野照市九段、副立会人は勝又清和七段、記録係は野田光輝初段。産経新聞の観戦記は松本哲平さんが担当します。

本局の棋譜コメントは睡蓮、中継ブログを銀杏が担当します。
よろしくお願いいたします。

【主催:産経新聞社】
https://www.sankei.jp/
【特別協賛:ヒューリック株式会社】
https://www.hulic.co.jp/
【対局場:沼津御用邸東附属邸学問所】
http://www.numazu-goyotei.com/annai/index.html
【第3局 棋譜中継ページ】
http://live.shogi.or.jp/kisei/kifu/94/kisei202307030101.html

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