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2024年4月22日 (月)

囲み取材

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(感想戦のあとに囲み取材が行われた。一部を抜粋する)

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――本局の総括をお願いします。

山崎 そうですね、挑戦者決定戦の大一番ながら、 伸び伸び指そうと指したんですけど。相手から強く動かれました。序盤戦は勝負を忘れて楽しく長考したと思います。中盤戦は、決勝トーナメントの全局で大体悪くなっていたのに、本局はよくなったかなと思いました。しかし、よくなったあとは課題として勝ちきれないというか、よくなったときに考えた指し手の方が大体悪い手を指すという傾向が続いていて。本局もよくなったり悪くなったりっていうのを繰り返して、結局悪くなったときに勝負勝負で伸び伸び指せてっていう感じで、いつも通りの自分の将棋になったなと思いました。もちろんもっと強い、よい将棋を指したいんですけど、そこは変わりませんでした。ただ、悪くなったときに何もできずに負けるよりは、決勝トーナメントに入って一応、「勝負、勝負」で指せるようになってるので、そこはちょっと前よりはいいかなという感じで、 いつも通りはらはらした展開の一局だったなっていう感じです。

――久しぶりのタイトル戦ということについてはいかがですか。

山崎 いや、想像もしなかったです。タイトル戦に出るということを、自分の中では決勝トーナメント始まる3月の時点ではあまりまったく意識しなかったので、逆に正直にいえばどこかで負けるだろうと思っていたので。逆になんか勝負、勝負で負けよう、ギリギリの方で踏み込んで負けようみたいな感じだったので、あまり挑戦者になる意識は、今日の前まではまったくなかったです。さすがに先週、挑戦者決定戦まで進むと意識してしまうところがあったんですけど、バシバシ指すか慎重にやるか迷いながら指していました。

――藤井棋聖について、どんなイメージですか。

山崎 もう何年も前から僕はもう眺めているほうで、もう自分では全然勝てなかった人たちに勝つときの勝ち方がすごいので。自分が挑戦するのは不思議な感じなんです。自分はよくなったり悪くなったりの振れ幅があるのに、藤井棋聖はよくなった時にそのまま勝ちきられる方です。どれぐらいチャンスがあるのかないのかは、自分でもちょっと正直わからない。見た感じだと、自分がよくなっても悪くなることが多いので、その時に逆転を許してくれないっていう意識はあります。そうなると勝ちパターンがないので。ちょっと怖いところです。この数ヶ月、課題にしている中盤戦に挑戦し、あの番勝負までにさらに調子をよくしていかないといけないなという意識です。それでも、大変な人ですね。

――最後に、五番勝負の抱負をお願いします。腕の見せどころだと思いますが、いかがでしょう。

山崎 見せどころというか、いままでは藤井棋聖、八冠への挑戦者は みんなが納得という実力者ばかりでしたよね。みんなすごい豪速球を投げるような挑戦者ばっかりなのに、 僕はどちらかというと変化球のタイプなので。そういうタイプに藤井棋聖どれぐらい完全無欠なのかは、自分もやってみないとわからないところですし、藤井棋聖も初めてのことだと思います。そういう意味では注目はしていただけると思うので、終盤戦までどちら勝つかわからないような将棋を指したい。チャンスがきたら、ボールをずっと持ち続けれるように奇跡が持ってほしいなっていう感じですね。ずっと課題なんですけど、この番勝負でいちばんよい将棋が指せればと、本当に自分自身がいま思います。

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(自虐を交えながら本音を語る、山崎八段らしいインタビューだった)

(紋蛇)

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