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2024年4月22日 (月)

終局直後

Dsc_3551(逆転勝ちを収めた山崎八段。2009年以来のタイトル挑戦を決めた)

Dsc_3548(敗れた佐藤九段)

Dsc_3563(終局直後のインタビュー)

Dsc_3568

【山崎八段のインタビュー】
――序盤から中盤にかけて、どういう感触でしたか。

山崎 序盤は積極的に動かれて怖かったところはあったんですけど。欲張らず丁寧に指せてそんなに不満もないのかなと思っていたですけど、 中盤からこちらの指し手が多分まずくて、綺麗にさばかせてしまったので、中盤からちょっと少し苦しくなってたと思いました。

――夕方ぐらいまで形勢は後手が悪く、夕方以降は指しやすくなってきたとは思うんですけれども、 その辺りから終局まではいかがですか。

山崎 時間がお互いなくなったあたりなので、自信ないときと少しよくなったなっていうときが揺れ動いていました。
うーん、歩を垂らしたあたり(132手目△1七歩)は結構、一瞬手応えがあって、逆転しかけてるかなと思ったんですけど、そのあとに端を払わせてしまい、弱い手を指してまたヨリが戻ったかなっていう感じです。

――勝たれたときの気持ちは?

山崎 秒読みなので、本当は打ち歩詰めで必至をかけて勝たなきゃいけないところもあるんですけど、自分の中でうっかりとか読み抜けがあるので。勝ち方として最後は弱い手順ではあったんですけど、かっこつけずに泥臭く勝ててよかったなという感じです。

――一局を通しての感想をお願いします。

山崎 序盤は結構お互いに見たことがなくて、楽しい感じだったですかね。中盤はうまくまとめられたらよかったんですけど、多分大きな疑問手を挟みました。中盤はいつも通り疑問手を挟んで悪くなって、それからは勝負でしょうといういつも通りの感じで。本当は中盤、もうちょっとうまく指したかったですが、いつも通りのブレのある感じでした。

――これで棋聖初挑戦、2009年の王座戦以来2度目のタイトル戦登場です。

山崎 自分がいま挑戦できるという感じは、ちょっと前までまったく自分自身も周りも思ってなかったというか。どちらかというと3月末は(順位戦B級1組で) 降級しそうな感じでしたし、危機感を持ってやってはいたものの、挑戦できるとは思ってなかったんですけど、せっかく棋聖戦で強い人とずっと当たれるので、踏み込んで勝負、勝負でいこうみたいな気持ちが、結果としてはついてきたのですごく不思議な感じです。

――五番勝負に向けての抱負をお願いします。

山崎 実力差があるのはわかってはいるので、作戦をしっかり考えて、少しでもチャンスのある将棋、五番勝負にしたい。見てる方に最後までわからないような将棋になるように、これからまたより頑張りたいですね。

Dsc_3571 【佐藤九段のインタビュー】

――本局を振り返ってください。

佐藤 本当に序盤は最初の最初から前例のないような将棋になりました。山崎さんがいわれていたように、面白くて、お互いに持ち味が出るような将棋になったかなとは思っていたんですが。 振り飛車としては左辺の作りが軽い感じはあったので、その辺りをどう耐えられるかというところではあったんですけど、中盤をなんとか乗り越えて、模様がいい局面もあったかなという気はしていたんですけれども、ちょっとその先に進めなかった。相手の王様に手をつけるタイミングをうかがっていたんですけど、攻めていきづらい感じで。はっきり攻めに転じることができるタイミングをつかめなかったというのが……。はがされたあたりは旗色が悪くなって、その後はもうお互い時間がないので(形勢が)揺れ動いてたかなと思うんですけど。最後は手厚く、駒の戦力に差がある展開になってしまったので、その辺りが勝敗に繋がったかなという感じがしています。

――攻めるタイミングを逸したという感じだったんでしょうか。

佐藤 厳密にはどっかで攻めるタイミングがあるんじゃないかなと思ってたんですけど、そういう展開に入ったときは秒読みなので、精査して攻めを繰り出す時間がなかったです。その辺りはもし何かあったとしたら、見つけることができないといけなかったのかもしれないですけど、実戦ではわからなかったという感じでした。

――棋聖戦の挑戦者決定戦はこれで3度目で、勝てば初挑戦でした。惜しくも届かなかったですが、いまの心境は?

佐藤 (山崎八段のように)「僕も」といういい方も変ですけど、去年から結構スタイルを変えていくなかで、このタイミングでこういうチャンスが訪れるのは、あんまり思ってなかったことではありました。 自分でも意外な感じはしていたんですけれども。とはいえやっぱり大きなチャンスではあるので、ここまできたからにはそれをつかめるように全力を尽くしたいと思っていたので、結果は残念ですけれども。ただ、その内容としては、いまの自分が持っているいいところと悪いところ、両方出たかなという感じがしています。

――いまのスタイルは今後も続けていかれますか。

佐藤 結構、気分屋なところもあるので、ちょっとどうなるかわからないんですけど(笑)。 まあ、今日の今日、いまのいまはそういつもりでもあります。戦法云々もありますが、今日の将棋のように、勝負は勝負で大きなものではあるんですが、自分の中での面白みとか楽しみみたいなものを見いだしながらやってるのが最近、いい面としてはある気がするので、そういうところは大事にして続けていきたいなとは思います。

(紋蛇)

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