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2023年6月

2023年6月22日 (木)

前夜祭(4)

歓談の時間が設けられたあと、棋士による明日の見どころ解説が行われました。

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(大盤解説聞き手・村田智穂女流二段、観戦記担当・本間博七段、副立会人・大橋貴洸七段、立会人・福崎文吾九段)

村田 皆様よろしくお願いいたします。皆さんもご飯おいしくいただきましたか。
福崎 食べきれないときはポケットに入れて部屋で食べてくださいね。大阪の人はみんなそうやっているから。(編注:やっていません)
村田 えっと、立会人を務めていただきます福崎先生、明日の見どころを。
福崎 明日は「はじめ!」って言うだけやからね。
村田 大事なところですね。

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(福崎九段)

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(このポーズは…?)

福崎 あとは温泉に入っているだけ。前も温泉に入っていたら急に千日手になったんよ(場内笑)。あれ、知ってるの? 知らん人のために言うとね。お風呂に入っていたら千日手になって、みんなが探し回ってたらしくて。みんな「ふくさきせんせー!」って叫んでいるから、僕はこう、湯船に頭を沈めてたんよ。あれが一番の思い出ですね。
村田 どこまで本当なのか……。

福崎 明日の見どころは、まずプロの意見を聞いてみましょう。プロの大橋さんはいかがですか。
大橋 明日はよろしくお願いします。見どころですか。やっぱり大一番ですからそれぞれの得意戦法で戦うと思うので、佐々木さんが先手なので相掛かりが本命なのかなと思います。相掛かりにもいろいろありまして、玉の位置ひとつ、飛車の位置ひとつで変わっていく戦型ですので、最新の工夫が序盤の見どころですね。第1局は力戦模様になってから佐々木さんが力を発揮されていましたので、そのあたりを注目しています。

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(大橋七段)

村田 ありがとうございます。
福崎 やっぱりプロの解説はちゃうなあ。
村田 続いて観戦記者を務めます本間七段です。

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(本間七段)

本間 さっきのお風呂の話、初耳ですけど。
福崎 湯船に頭まで浸かるのがつらい。
本間 そこは創作だと思うんですが、戦型予想しますね。おふたりは過去5局、対戦があって最初の4局は相掛かりで、こないだの第1局が角換わり。ですから、大本命は相掛かりですが、あえて違う戦型を言うと、最近タイトル戦で見られる雁木を予想してみようかと思います。
福崎 やっぱりみんな棋士だけどちょっと思っていることが違うね。村田さんはどうですか。
村田 私も相掛かりかなとは思います。どちらかが振り飛車をするのは、今回はないですよね。
本間 0.1パーセントかな。
福崎 初めから飛車と角を入れ替えておいたら振り飛車に……、怒られるからやめとこ。大橋さんも相掛かりですか。
大橋 半分以上は相掛かりだと思っています。
福崎 僕は振り飛車するんちゃうかなと。
村田 振り飛車ですか。
本間 杉本(昌隆)師匠に倣って。
福崎 収拾つかなくなった。本命は相掛かりかな。井上先生にも出てもらおうか。
村田 ではちょっとだけ井上先生にも。

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(本間七段と交代して、井上慶太九段が登壇)

井上 いやぁ。福崎先生とあまり並びたくないねん。
福崎 なんでや。
井上 大橋さんも嫌やろ。
大橋 いやいやそんなことは。
井上 しかし、今日大橋さん地味やね。
福崎 彼はおしゃれやねん。
村田 きれいな色のスーツが多いですよね。
大橋 持っているスーツはそうですね。対局者として着ることが多いですかね。解説会のときはこういった服装が多いです。

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福崎 将棋界も何百年続いたけどこうやって皆さんが見てくださって、我々も将棋やっててよかったな。もう僕、たこ焼き屋をやろうと思っていたんや。せやけどあと1~2年、将棋関係でいとこうかなと。あと守衛さん狙ってんねん。
井上 どこの?
福崎 将棋会館の。面接で落としたらあかんで。バツしたらあかん。
井上 絶対バツするわ。こんな守衛さんあかんわ。
村田 井上先生、戦型予想を。
井上 そりゃ相掛かりでしょう。
福崎 そもそも相掛かりってなんやの。
村田 本当に今回初めてという方もいらっしゃると思います。さっき聞いたら石垣島からお越しくださった方がいるみたいで。
井上 相掛かりとは、飛車先の歩を突いていく将棋ですね。
福崎 大橋さん、合ってる?
大橋 はい、その通りです。
福崎 審査員が合っていますって。
井上 やったー!
福崎 あ、ごめんなこんなネタで。あくまでも真理を探究しないと。どうですか、大橋先生。
井上 まとめる人は大橋さんしかおらんわ。
福崎 こんな先輩に囲まれて大丈夫? (答えに窮する大橋七段)ちょっと、苦しそうな顔をするのやめてや。

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(福崎九段の迫力に押されて、登壇者はどんどんと隅のほうに……)

村田 明日は13時から大橋先生と大盤解説会をさせていただく予定なんですけれども。大橋先生はこのニューアワジに来られたことがあるとお聞きしています。
大橋 だいぶ前の話なんですが、奨励会の頃にタイトル戦の勉強に来たことがあります。今回はいろいろ楽しもうと思います。
村田 もうまとめていいでしょうか。明日来てくださる方どれくらいいらっしゃいますか。
福崎 ああたくさん、ありがとうございます。
村田 井上先生は出ていただけるんですか。
福崎 出ましょ。
井上 はい、仕事もあるのですが、1回は出ようと思っています。

(翔)

前夜祭(3)

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(参加者が撮影する時間が設けられた)

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藤井聡太棋聖 「わたし自身がこちらで対局するのは3回目になります。対局室からの海の眺めが素晴らしくて、落ち着いて対局に集中できる対局室だなと感じております。淡路島は海の幸や特産品の玉ねぎを始め、食材が豊富で毎年楽しみにしています。第1局はベトナムですごく暑かったですが、こちらは快適で過ごしやすいなと感じています。第1局では反省点も見つかったので、それを踏まえて第2局は、よりよい内容にできるよう、精一杯指していきたいと思います」

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佐々木大地七段 「淡路島にくるのは今回が初めてです。部屋から見る自然が雄大で、食べ物もとてもおいしいと聞いており、楽しみにしております。また、関係者の皆さまが口をそろえて素晴らしいと絶賛されていた温泉で、日頃の疲れを癒やして、対局に臨みたいと思います。明日は先手番ということで、決勝トーナメントでは先手番を引いて戦ってきました。自分の持ち味を生かして、精一杯の熱戦にしたいと思います」

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(木下紘一・ホテルニューアワジ会長による乾杯の発声)

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(対局者はここで退席)

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(壇から降りる佐々木大地七段)

(書き起こし=武蔵、写真=翔)

前夜祭(2)

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堀洋・産経新聞大阪本社編集局長 「第1局のダナンでは観光も入り、柔らかい様子の映像も見られました。海外のメディアでも扱われ、グローバルになってよかったかなと思います。藤井棋聖にとって今回の番勝負は、八冠王を狙うために絶対落とせないタイトルです。対する佐々木七段にとっては、初タイトル獲得に向けた挑戦です。やや有利とされる先手番で、どのような将棋を指すのか。明日の対局が、五番勝負の行方を占うのかもしれません」

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井上慶太・日本将棋連盟常務理事 「藤井さんが初めてタイトルを獲得されたのが3年前。わたしも関西将棋会館で、その瞬間を拝見しました。あれから3年で、もう七冠とは……。すごいですね。対して、佐々木七段は棋聖戦と王位戦のダブル挑戦で売り出し中の若手で、素晴らしい好青年です。ふたりの熱い戦いを楽しみにしたいと思います」

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(花束贈呈)

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(ホテルスタッフから両対局者に花束が贈られた)

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(記念撮影)

(書き起こし=武蔵、写真=翔)

前夜祭(1)

18時よりホテルニューアワジ内で前夜祭が開催されました。前期まではコロナ禍のため食事を伴う前夜祭は中止されていて、淡路対局での立食形式での前夜祭は4年ぶりです。

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(関係者席と一般席の間に規制線が設けられた)

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(佐々木大地七段と藤井聡太棋聖が入場)

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谷政智・淡路島棋聖戦実行委員会会長「ふたりの対決は、将棋界の頂上決戦といっても過言ではございません。明日の第2局をこの淡路島で開催され、五番勝負の行方がとても楽しみです」

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上崎勝規・洲本市長 「洲本という場所で素晴らしい対局が行われるのは、地元を代表してとてもうれしく思っています。淡路は温暖な気候、豊かな自然がしっかりと残ります。そして何より食べ物がおいしい。この対局場にお越しいただきました両対局者を、心から歓迎します」

(書き起こし=武蔵、写真=翔)

記念撮影

検分に先立って、ホテル内の2か所で記念撮影を行いました。

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(翔)

検分

両対局者は空路と陸路でそれぞれ現地入り。16時半頃に検分が行われました。

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(検分)

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(藤井聡太棋聖)

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(佐々木大地七段)

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(検分は順調に進み、短時間で終了した)

(翔)

第94期ヒューリック杯棋聖戦第2局

藤井聡太棋聖に佐々木大地七段が挑戦する第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局は6月23日(金)に兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」で指されます。持ち時間は各4時間。12時から13時まで昼食休憩。立会人は福崎文吾九段、記録係は大林真央人二段(矢倉規広七段門下)。産経新聞の観戦記は本間博七段が執筆します。第2局の先手は佐々木七段です。

棋譜コメントは武蔵、ブログ更新は翔が担当します。よろしくお願いします。

【主催=産経新聞社】
https://www.sankei.jp/
【特別協賛=ヒューリック株式会社】
https://www.hulic.co.jp/
【第2局 棋譜中継ページ】
http://live.shogi.or.jp/kisei/kifu/94/kisei202306230101.html

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(記念撮影に臨む両対局者。ここはベトナムではない)

(翔)

2023年6月 8日 (木)

ベトナム観光 ホイアン旧市街3

自由行動の後、対局者は在ダナン日本国総領事館を訪れ、矢ヶ部総領事らと懇談しました。その後、夜にダナン国際空港から出国し、7日の朝に成田国際空港に着きました。以上でベトナム対局の記事追加を終わります。ありがとうございました。

【矢ヶ部総領事の日本将棋連盟一行との懇談|在ダナン日本国総領事館】
https://www.danang.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00283.html

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Dsc_6169(対局者を追うのは、ここまで)

Dsc_6354(木村九段と野原女流初段)

Dsc_6285(鈴木九段と加藤桃女流三段)

Dsc_6338(小山直四段も合流)

Dsc_6323(既視感のあるサイズの扇子を購入した小山直四段)

(牛蒡)

ベトナム観光 ホイアン旧市街2

ホイアンの名店「MORNING GLORY」で昼食。おいしい料理ばかりで好評でした。対局者は昼食後にインタビューを受けたあと、しばらく自由行動に。旧市街の散策を楽しんだようです。

Dsc_5909(こちらが「MORNING GLORY」)

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Dsc_5919_2(中央に今回のメニュー表があった)
Hoi An Crispy Pancake
White Rose Dumplings
Chicken Salad
Three Best Friends Spring Rolls
Fried Wonton & Crab Meat
BBQ Pork & Fresh Rice Paper
Cao Lau Noodle
Mixed Fresh Fruits

Img_0286_2 (料理の写真も少しだけ)

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Dsc_5964(店内でインタビュー。まずは藤井棋聖)

――一夜明けて、ダナンからホイアンに移動してきた。印象に残った出来事は。
藤井 こちらのホイアンは16世紀から17世紀にかけて貿易港として栄えた街ということで、建物も当時のものが多く残っているということで、雰囲気をすごく感じることができましたし、鮮やかな街並みで歩いていてとても楽しかったです。

――ベトナム料理を味わっていただいた。
藤井 おいしかったです。ちょっと食べすぎてしまいました(笑)。

――お寺ではお参りもした。何かお願いをしたか。
藤井 参拝するとは思っていなかったので、ちょっと浮かばなかったんですけど……(笑)。お寺ということで漢字も多くあって、中国と東アジアの影響も強いのかなと感じました。

――五行山にも登った。
藤井 海が一望できて眺めがよかったですし、洞窟の中に仏像が安置されていて、日本にない独特の雰囲気を感じることができたかなと思います。シャンチーを指している像もありました。

――暑さはどうか。
藤井 今までと比べると過ごしやすい感じで、最初に来た初日が一番暑かったかなと感じたのですが、徐々に慣れてきたところもあるのかなと思います。

――もうすぐ帰国になる。
藤井 少し名残惜しい感じもあるんですが、これからホイアンの街を散策することもありますし、お土産を何を買うかまだ決めていないので、そのあたりを考えながら過ごそうと思っています。まだ買うかどうかも決めていないので、家族に何かいいものがあればと思っています。

――ホイアンの食べ物で気に入ったものは。
藤井 えっと、名前がわからないんですが、最初から2番目に出てきた巻物すね。それがすごくおいしかったです。

――また来てみたいという思いは。
藤井 まだこちらにいるので(笑)。見どころもたくさんあると思うので、またゆっくり来られたらと思います。

――海外で将棋を指されて、普及への思いは。
藤井 なかなか海外では日本の将棋を知っていただけていない現状ですけど、こういったことを機に少しでも多くの方に興味を持ってもらえたらうれしいですし、そのためにどうすればいいかを考えていけたらと思います。

Dsc_6110(続いて佐々木七段)

――ダナンからホイアンに来た。印象に残ったところは。
佐々木 成長著しいベトナムで高層ビルやホテルとか立派なものがある中で、海のほうは木造の昔ながらの舟があって、自然豊かな部分が同じ視界に入るのは新鮮で、今の日本にはない景色かなと思いました。

――お寺にお参りした。
佐々木 無病息災で健康でいられたらいいな、と思いました。

――大きな仏像もあった。
佐々木 とても迫力があって、ベトナムは皆さん夏休みということで観光客の方もとても多かったですし、地元の方にも愛されている場所だなと思いました。

――五行山にはシャンチーを指している像もあった。
佐々木 意表というか驚いたというのが素直な感覚なんですけど、シャンチーという将棋に似たボードゲームが伝達していると実感した場所でもあります。

――高いところの風景は。
佐々木 ちょっと曇りだったのは残念ですけど、本当に見晴らしがよくて、高いところからみると、家のつくりや屋根の形も見ることができて、ベトナムの風土が見られてよかったと思います。

――ホイアンの街並みを見た印象は。
佐々木 道中で鈴木先生にホイアンの夜の街並みの写真を見せていただいて、夜はまたガラッと変わりますし、今回うかがったときには活気のある場所だなと思いました。

――昼食のベトナム料理はどうだったか。
佐々木 どれもおいしくて、ヘルシーですけど、ソースとかで自分好みにアレンジもできますので、常に食事は楽しみにしています。ホテルでいただいたコムガーが印象には残っていますけど、今日いただいた中だと、タコスのような皮でくるんだ牛肉の料理がおいしかったです。

――暑さはどうか。
佐々木 けっこう日が当たってないとはいえ暑かったですね。湿度も高いので汗がじっとりした感じで、あまり慣れない暑さというか、日本よりも強烈な感じがしました。

――山では階段を登るかとガイドに聞かれて「はい」と答えていた。
佐々木 日本国内でも天童の仕事帰りに山寺に行くこともあったので、100段くらいだったら大丈夫かなと気楽に考えていました。

(牛蒡)

ベトナム観光 ホイアン旧市街1

ダナンからホイアンに移動。ホイアンは16世紀後半に国際貿易港として栄えました。日本との交流は古くからあり、1593年に日本人が日越友好の証として架けた来遠橋(日本橋)がいまも残っています。徳川家康の行った朱印船貿易により、交流はさらに密になり、多くの日本人がホイアンに移住しましたが、鎖国政策が始まると往来は途絶えました。

Dsc_5797(朱印船のレプリカの前で記念撮影)

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Dsc_5859 (道の両側に土産物屋が立ち並ぶ)

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Dsc_6233(日本橋の内部。外観は工事中で見られなかった)

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(牛蒡)

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