検分終了後、両対局者に第2局に向けてのインタビューが行われました。まずは藤井棋聖から。
―第1局を振り返って
藤井 久しぶりのタイトル戦で緊張もありましたが、最後まで集中して指すことができたかなと思っております。
―淡路島の印象はいかがですか?
藤井 海が見える対局室を用意していただいて、また、食べ物もすごくおいしいだろうと思っています。
―第2局の抱負をお願いします
藤井 明日も自然体で臨めればって思っています。それほど手番を気にしているわけではありませんが、先手番で戦型を選べる立場ではあるので、自分らしさを出す展開になればなと思います。
―第1局を振り返って
渡辺 1局目はあまりいいところがなく、そこから間隔も開いたので、明日は気持ちも新たに向かっていきたいです。
―淡路島の好きなところはどういったところでしょうか?
渡辺 もう対局で4回目です。自然が豊かで対局室から海も見えます。食べ物は全国的にたまねぎがとても有名で、米や肉魚と全部あって、温泉もありますし、対局するには理想的な環境だなと思います。
―第2局の抱負
渡辺 1局目、あまり内容がよくなかったので、同じことにならないようにやりたいですね。
(書き起こし=飛龍記者。写真=潤)
以上で本日の掲載を終了いたします。明日もどうぞよろしくお願いいたします。
(潤)
第2局もABEMAでLIVE配信されます。放送開始は6月18日(金)8時30分(最長23時まで)。解説は藤井猛九段、金井恒太六段。聞き手は飯野愛女流初段、脇田菜々子女流初段です。
【ABEMA】
https://abema.tv/channels/shogi/slots/Dxgq8EadUAKMBm
(潤)
藤井聡太棋聖に渡辺明名人が挑戦する第92期ヒューリック杯棋聖戦(産経新聞社主催、ヒューリック株式会社特別協賛)五番勝負は、第1局を藤井棋聖が勝ち、初防衛に向けて幸先のいいスタートを切りました。藤井棋聖が連勝スタートを見せるか、渡辺名人が返して星を五分に戻すか。第2局は兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」で行われます。対局開始は9時。持ち時間は各4時間。昼食休憩は12時から13時。第2局の先手番は藤井棋聖。立会人は小林健二九段、記録係は井田明宏四段、産経新聞観戦記は本間博七段が務めます。
本局の棋譜・コメント担当は飛龍記者、中継ブログを潤が担当します。よろしくお願いいたします。
【産経新聞社】
https://www.sankei.jp/
【ヒューリック株式会社】
https://www.hulic.co.jp/
(潤)
【勝った藤井聡太棋聖】
――渡辺名人の先手番で相掛かりになりました。2月に指された朝日杯将棋オープン戦準決勝をなぞるような展開になりましたが、お互いに想定だったのでしょうか。
藤井 途中まで同じ進行でした。△8二香に▲1六飛(37手目)で違う展開になったんですけど、▲1六飛も難解というか難しいのかなと思っていました。
――46手目に△8三銀とぶつけて飛車をさばきにいきました。その辺りはいかがでしたか。
藤井 △8三歩と受けると▲1二飛成と成り込まれる展開で、飛車の働きに差がついてしまいますので。駒損になりますが、飛車の働きを重視する必要があるのかなと思っていました。
――57手目▲8三香に対して△3四歩と角道を開けました。40分の考慮でした。
藤井 △8二歩と受けると▲7五銀から局面が落ち着いたときに飛車の働きが弱く、△8三歩型になってしまうと先手玉に迫る形がないのかなと。△3四歩だと飛車を取られる展開にはかなり進みやすいのですが、そのときどうなのかわからなくて。2二角が使えていないので、それがさばけるのも主張にはなるので難しいのかなと。
――△8八歩(60手目)が強い手だと感じましたが?
藤井 △8二歩と受けると▲7五銀で、先ほど(1つ前の回答)と単に△8二歩と受けたのとあまり怖さの違いがないのかと思ったので。△8八歩は成立するかどうか際どいのかなと思ったのですが、展開としてはそうやってやっていく手もあるのかなと。
――終盤はどのあたりで行けると思いましたか。
藤井 △3三桂(66手目)に▲5三桂成とされてから、こちらの玉がかなり危険な形が続いていたんですが、△4五桂と跳ねてそれが解消されたので、少し抜け出せたのかなと思いました。
――初防衛戦で先勝しました。お気持ちはいかがでしょうか。
藤井 自分としては防衛戦ということを意識せずに、昨年と同じように臨みたいと思っていましたけど。今日に関してはそういった自然体の気持ちで指すことができたのかなと思います。
――次局に向けて。
藤井 2局面以降は先後が決まっているので、しっかりいい内容にできるよう準備していきたいと思います。
【敗れた渡辺明名人】
――2月の朝日杯準決勝を意識されて研究されてきたと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。
渡辺 途中までは予定でやっていました。
――どのあたりで想定と外れたのでしょうか。
渡辺 午後に入ってからですけど、長考したところで間違えてしまった感じがします。考えていた手自体はそのあとです。
――▲8一香成(61手目)は1時間23分の大長考でした。
渡辺 先のことを考えていたのと、若干別の手も考えていたのですが、時間を使った割にはいい手が指せなかったですね。
――△8八歩(60手目)は考えていなかったんでしょうか。
渡辺 そうですね。考えていなかったです。
――一局を振り返って。
渡辺 長考したところがポイントだと思います。まずい変化になってしまって、一気にダメになってしまったのは残念でした。
――第2局に向けて。
渡辺 もうちょっといい内容の将棋を指せるように、やっていかないといけないなと思います。
(琵琶)