第9期リコー杯女流王座戦(株式会社リコー主催、日本経済新聞社特別協力)本戦1回戦の香川愛生女流三段-渡部愛女流三段戦をお送りします。対局は7月9日(火)10時から東京・将棋会館で行われます。持ち時間は各3時間(チェスクロック方式)。切れたら1手60秒未満での着手となります。振り駒の結果、歩が3枚出て香川女流三段の先手番に決まりました。
本局の中継は琵琶が担当します。よろしくお願いいたします。
勝者インタビュー(藤井奈々女流1級)
――対戦相手の印象
藤井 水町さんはおそらく、アマチュア大会のときからいちばんよく対戦している相手です。対抗形になることは分かっていましたけど、彼女の居飛車はバリエーションが豊富なので、形は絞れていませんでした。力戦形が得意で粘り強い、というのは以前から変わりませんので、気を引き締めて挑みました。
――本局の振り返り
藤井 21手目▲3三角成に△同桂という、変わった形を指してみました。師匠(伊藤博文七段)との研究会で出てきた手で、前例が△同銀しかなかったので、どうして皆さん△同桂じゃダメなんだろうって思いまして。将棋ソフトの評価値も互角の数値が出てきましたし、これは調べたほうがよいのではないかと。ただ本局のように普通に対応(23手目▲6八銀や29手目▲5五歩)されたときに何だか微妙になってしまいました。個人的には23手目で▲2二角と打ち込んできてくれるかなと期待していたのですが、全然そんなことなくて冷静に指されましたね。45手目▲2六歩で桂を捕獲されたあたりは苦しかったです。何とか手はつなぎましたけど我慢の多い将棋になって、形勢は悪いと思いながら指していました。87手目▲5三歩成に代えて▲3七飛成△4二角に▲3二竜とされていたら負けまであったのではないかと思います。
――本戦トーナメント2回戦への抱負
藤井 前期の本戦トーナメント1回戦ではボロボロの将棋で終わってしまいました。本局は反省の多い内容でしたけど、前期よりひとつ上に進めたことと、ひとつでも多くこのリコー杯女流王座戦で指せることがうれしいです。反省するところは反省して、気持ちを新たに次も挑みたいと思います。
――ファンに向けて
藤井 今回も戦型で工夫してみました。いつも支えてくださっている方々にひとつでもご恩を返していけるように、これからも引き続き頑張っていきたいと思っております。
以上で本日の中継を終了致します。
ご観戦いただきまして、誠にありがとうございました。
▲水町-△藤井 感想戦
▲清水-△西山 感想戦の様子
▲水町-△藤井 藤井女流1級勝利
▲水町-△藤井戦は16時45分、108手で藤井女流1級の勝ちとなりました。消費時間は▲水町3時間0分、△藤井2時間48分(持ち時間各3時間、チェスクロック使用、切れたら1手60秒未満の着手)。勝った藤井女流1級は2回戦で、先ほど東京で勝利を収めた西山女王と対戦します。
▲清水-△西山 西山女王勝利
122手まで西山女王が勝ちました。終局時刻は16時37分。消費時間は▲清水3時間0分、△西山2時間38分。
▲水町-△藤井 食いつけず
ここで△6六竜▲同歩△5七角成が、先手としては受けにくい食いつきだったと棋士室ではいわれていました。実戦は△2七同金▲同金△1六竜に▲同金で、先手陣の離れ駒がなく、再度逆転模様になってきたとのこと。
▲水町-△藤井 逆転模様
▲清水-△西山 勝負どころを迎える
図は15時40分頃の局面。▲5六銀までで残り時間は▲清水2時間57分、△西山1時間56分。
予想されているのは△5七歩とたたく手です。以下▲5九金引△5六銀▲3三角成に、強く指すなら△6七銀成▲同玉(▲同銀は△3八飛の王手馬取り)△5八銀が見えますが、これは読みきらないと指せない順、と中継室を訪問した田村康介七段が語っています。いずれにしろ、ここが勝負どころであることは間違いないようです。