カテゴリ「第23期竜王戦挑決第1局」の記事 Feed

2010年8月16日 (月)

第1局は羽生名人の勝利で幕を閉じた。第2局、羽生名人が連勝して渡辺竜王への挑戦権を得るのか、それとも久保二冠が第1局の借りを返すのか。竜王戦挑戦者決定戦第2局は、8月30日に関西将棋会館にて行われる。

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(駒を片付け、一礼)

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(本日の棋譜。最後までご観戦いただき、ありがとうございました)

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図の△3七歩を見て久保二冠が投了を告げた。投了図以下は、▲3七同玉△1九角▲3八玉△2八角成までの詰み。終局時刻は22時12分、消費時間は▲久保二冠4時間59分、△羽生名人4時間33分。これで羽生名人は先勝し、竜王挑戦へあと一勝と迫った。第2局は関西将棋会館にて8月30日(月)に行われる。

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図は21時40分頃の局面。検討陣はこの局面の評価を「羽生名人勝勢」と下した。この▲7一竜は詰めろではなく、羽生名人には(1)攻める(先手玉に詰めろをかける)、(2)受ける(△5二金など)、様々な勝ち方があるようだ。△2七角は先手玉に迫りつつ自玉の受けにも利いている攻防の手で、最も手堅いと言われている。羽生名人はどういった手段で勝利を手にするのか。慎重に時間を使って考えている。

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(検討を見つめる日浦八段)

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(いよいよ大詰め。詰む・詰まないの検討が中心に行われている)

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図は21時30分頃の局面。羽生名人の△3六歩(68)手目~△3七歩成(72手目)が妙手で、久保二冠が苦戦しているようだ。久保二冠は持ち時間も少なく、この局面で残りは5分程度と見られている。

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対局室の様子。手を口元に当てて上体を揺らす久保二冠。苦しい時間が続く。

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21時前、控え室の様子をネット中継で知った野月浩貴七段が、彗星のごとく控え室に現れた。そしてほどなく、羽生名人による驚愕の一手が指される。
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21時すぎのこと。4九の角が取られそうな状況で、羽生名人は△3六歩と突き出した。この手が指された瞬間、控え室の棋士から悲鳴があがる。「こんな手があるの?」「ええっ、どういうこと?」この手は▲4九金によちよち△3七歩成と成ろうということだが、△3七歩成自体は久保二冠の玉への詰めろではない。つまり、その瞬間に詰めろをかけられたら、羽生名人は非常に簡単な「一手負け」の図式に当てはまるわけだ。「野月くん、一番いいタイミングで来たね」と勝又六段。
早速バタバタと検討が行われるが、▲4九金△3七歩成の局面でなかなか後手玉に詰めろがかけられない。「なんで?」「寄らない」とほうぼうで驚きの声が上がる。「これは久保さんも読んでないだろうね。残り時間少なくなった中で全く読んでない手が飛んできたらつらいよ。久保さんしびれたんじゃないかな」と勝又六段。「おかしいでしょ、こんな終盤で手を渡すなんて」。
控え室の熱気が上がっている。

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(野月七段)

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(予想していなかった羽生名人の一手に、検討も熱を帯びる)

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カメラによる20時30分頃の対局室の様子。佳境を迎え、両者とも足を崩したり正座に組み直したりと、動きがせわしない。久保二冠は座布団に拳をついて上体を揺らしながら、羽生名人は時折うなずきながら考えている。

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20時10分頃の局面。控え室には次々と棋士が集まってくる。日浦市郎八段、藤倉勇樹四段、佐々木慎五段が新たに姿を見せた。検討が進み、「居飛車がやれるのではないか」という評判が高まっている。

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(パソコンで棋譜を確認する藤倉四段(左)、瀬川四段(右))

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(佐々木五段。「2筋の歩が切れて逆襲もできますし、居飛車が少し指せそうです」)

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(検討の輪。佐々木五段(左)、藤倉四段(中央)、西尾五段(右))

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