2016年11月 8日 (火)

20161108e_2

丸山九段の放った▲4五角(109手目)は絶好の角打ち。攻防に利いています。ここで△2九竜は▲8三角成△同金寄▲7二とで速度負け、△7八成香▲同銀△2九竜は▲6九香で攻めが届きません。先手が勝ちに近づいていると見られています。19時12分、渡辺竜王も一分将棋に入りました。

20161108d_2

先手は金銀4枚の堅陣ですが、攻めの細さが気がかりです。△7三金直(96手目)に▲7一角は角が手に入れば詰めろになりますが、駒の入手が難しい状況では、どれほど威力があるのか判断が難しいところ。「次がないからなあ」と佐藤康九段。「ここの一手は超重要です」と話しました。18時31分、残り2分だった丸山九段は一分将棋に入りました。

20161108c_2

いよいよ戦いに入りました。▲5五歩(77手目)で丸山九段の残り時間は2分、渡辺竜王の残り時間は57分。控室では玉の堅さでまさる先手を持ちたいという見解ですが、形勢の差はほとんどないと見られています。

Img_8557

Img_8564

17時20分ごろ、佐藤康九段がニコニコ生放送に電話出演しました。佐藤康九段はここまでの展開を「究極の我慢合戦です」と表現。「主導権は渡辺竜王にあります。いまは渡辺竜王のほうを持ってみたい。ただ、まだ駒がぶつかっていませんので、今後の展開が見えないですね」と話しました。2日目の17時を過ぎてもまだ駒がぶつからないのは異例のスローペース。箱根で行われた第2局の終局は18時37分でしたが、本局はさらなる長期戦が予想されます。

Img_8550

滝の湯の女将、山口隆子さんにタイトル戦の思い出について聞きました。滝の湯で初めて開催されたタイトル戦は、1984年11月14・15日に行われた第23期十段戦七番勝負第3局。中原誠十段に米長邦雄王将が挑むシリーズでした(肩書は当時)。

「初めてのことで何もわからなかったのですが、読売新聞の山田さん(当時の将棋担当は山田史生記者)につきっきりで教えてもらいました。米長さんは迎えを断られたのですが、到着が遅い。心配して3人くらいで表に立っていると、後ろから『いらっしゃいませ』と声がしまして。米長さんでした。裏口から入ってこられたのですが、この裏口は途中で社員食堂を通ります。あとで従業員に聞くと、米長さんが突然現れて『おいしそうだなー』といいながら食堂を通っていったそうです」

羽生善治三冠の初タイトル戦は、1989年の第2期竜王戦七番勝負。その第2局が滝の湯で行われました。羽生六段(当時)は和服を着るのが第1局以来2回目だったにもかかわらず、着付けを頼む前にある程度、自分で和服を着ていたそうです。山口さんは「知識の吸収力がすごい。棋士の方は『浅く広く』ではなく、『深く広く』なのだなと感じました」と羽生三冠の印象を語りました。

渡辺明竜王が初めて竜王を獲得したのは2004年のこと。「就位式で奥さまに抱かれている赤ちゃんを見て、まだ20歳なのにすごくしっかりされている方、と思いました」と山口さん。

これまでのタイトル戦で印象的だった一局については、「ひとつひとつ思い出がありますが」と前置きしたうえで、1994年の第7期竜王戦七番勝負第6局、羽生六冠誕生の一局を挙げました。これは「竜王の間」の改装後に初めて行われた対局です。

山口さんは最後に「たくさんの方に支えられて、いまがあります」と頭を下げました。当時の記憶を懐かしそうに語る山口さんの、柔らかい笑顔が印象に残っています。

Img_8466001