カテゴリ「第35期竜王戦決勝トーナメント」の記事 Feed

2022年7月19日 (火)

2022071952▲4六銀打の受けに対して、山崎八段は△3五桂と放ちました。▲同銀△同歩▲4四桂△4五桂▲3二桂成△同飛▲2四歩(変化図)は、攻め合いの変化です。
2022071959実戦は△3五桂に対して、端で遊んでいる香を活用する▲9二香成で桂を取りにいきました。以下、△4七桂成▲同金△4五角と進んでいます。
2022071956_2△4五角に▲同銀は△同飛で馬と金の両取りがかかります。先手は右金が玉から離れ、囲いが薄くなりました。慎重な手段が求められそうです。
Img_1268(読売新聞の新聞解説を務める池永五段)

2022071950端にいた飛車が、4筋に移動して四間飛車の構えになりました。山崎八段は銀を引いて玉形を引き締めながら、飛車先を通します。次の△4五飛が馬取りになり、△2五飛のぶつけも見せて飛車交換を迫る狙いもありそうです。
読売新聞の新聞解説を務める池永天志五段は「▲5六銀△4五角▲同銀△同飛▲9六歩△4九飛成(変化図)まで進むと、後手よしがはっきりします。△5二銀に、先手は▲4六銀打や▲5六銀打として受けるのでしょうか。少し後手の攻めがうるさいかもしれませんが、まだまだこれからの勝負です」と見解を述べました。202207195615時頃の大阪は雨が上がりました。しかし、湿度は相変わらず高く、蒸し暑さが残っています。
Shogikaikan(関西将棋会館は住み慣れた大阪市福島区からの移転が決まっている)
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これまでの対戦を表にまとめました。成績はどちらも5勝で五分です(段位は対局当時のもの)。
戦型は相掛かりが最も多く、横歩取りや角換わりも指されています。手数の平均は135手と長手数の対局が多い傾向にあります。粘り強い棋風が持ち味の両者の特徴が出た結果といえそうです。
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12時40分、対局が再開されました。稲葉八段の着手はなく、考え続けています。
Img_1211(稲葉八段は席に戻ると、タブレットをのぞき込んだ)
Img_1228(対局再開。山崎八段は直前に対局室に姿を見せたが、再び部屋を離れた)
Img_1230(△4五歩の局面。▲同歩以外に、左辺を補強する▲7八金も有力)

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202207193212時、この局面で稲葉八段が9分考えて昼食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲稲葉40分、△山崎1時間2分。昼食の注文は山崎八段がイレブンの一口ヘレカツ、稲葉八段が肉なん定食(うどん、やまがそば)。対局再開は12時40分です。

2022071923戦型は相居飛車の力戦型となりました。先手は早々に左美濃に形を決め、後手は雁木の骨格を築きました。すでに前例はありません。1手前の△7四銀が特に珍しく、△6五銀から7六の歩を狙うのが一例です。山崎八段は図の▲4七銀を見て、30分を超える考慮を見せています。
Img_1143(山崎八段は序盤から惜しみなく時間をつぎ込む)

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◆山崎 隆之(やまさき たかゆき)八段◆
1981年2月14日生まれの41歳。広島県広島市出身。森信雄七段門下。1998年、四段。2013年、八段。棋士番号は227。 タイトル戦登場は1回。棋戦優勝は8回。
居飛車党で相掛かりを得意とし、独創的な序盤戦術や形にとらわれない力強い指し回しは多くのファンを魅了します。第25期竜王戦では挑戦者決定三番勝負まで進出しましたが、あと1歩のところで涙を呑みました。