カテゴリ「第34期竜王戦決勝トーナメント」の記事 Feed

2021年7月21日 (水)

 

Ryuou20210721010197 図の▲5二馬は危険な手だった可能性があります。ここで△7七金▲同玉△8五桂打とすれば後手が勝ちだったかもと北浜八段。本譜は△4五馬でしたがそこで▲7九玉で、逆転劇は幻と消えたようです。

Ryuou20210721010196 図は22時頃の局面。久保九段が△7三桂と跳ね、8五に利かせたところです。ただ、いかにもひねり出した感じの受けでもあり、先手優勢がはっきりしてきました。八代七段と藤井聡太王位・棋聖の再戦が見えてきたようです。

Ryuou20210721010187_2 図から久保九段は△6六桂と歩頭桂の王手を選択。6五と1マスの違いですが、決着をつけにいった一手で、以下▲同歩△同金と進みました。果たしてどちらが勝っているのでしょうか。

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Photo_60 (久保九段は歩頭桂の王手で決着をつけにいった)

Ryuou20210721010169 図は21時頃の局面。八代七段が飛車の活用を図ったのに対し、久保九段は竜を作ることに成功。北浜八段は「これは振り飛車を持って元気が出てきました。△7四歩と突けているのが非常に心強いです」と述べると、図からの進行例として△1九馬▲4二歩成△同歩▲2一飛成△5二歩を挙げ、「その順は次の△5五馬が絶品になりそうです」と、声のトーンが上がりました。

Photo_59 (振り飛車党の北浜八段は後手の指せそうな分かれが並べられると、声のトーンが上がった)

Ryuou20210721010164 図は20時30分頃の局面。久保九段が△7四歩と突いて▲7五桂を消しながら玉の7三への逃げ道を作ったところです。先手の端攻め以降は激しい戦いとはならず、互いに自陣を中心にプラスになりそうな手を入れ合うじりじりとした展開となりました。先に相手玉を目指すのはどちらになるでしょうか。

Photo_57 (13時頃の関西将棋会館。日中の気温は36度まで上がった)

Photo_58 (こちらは20時頃の関西将棋会館。外はすっかり暮れ、5階対局室の灯りがはっきり分かるようになった)

Ryuou20210721010157 八代七段は▲4三歩△4一歩の交換を入れておいて端攻めを敢行。後手が手抜いて△5六歩と打てば歩切れとなり、▲5八歩のあと▲9四歩が厳しく残ります。ただ、9筋は後手の馬が遠く利いており、後に逆用されかねないところでもあることから、この端攻めは八代七段にとって命運を託した端攻めと言えそうです。

Photo_56 (端攻めに本局の命運を託した八代七段)

Ryuou20210721010151 18時40分に対局再開。八代七段は▲2七同飛ではなく▲1八飛と逃げました。(1)△4八角成なら▲3三成銀△同金▲5五角△4三飛▲3三角成△同飛▲4八飛(参考1図)で先手よし。(2)△2六角は▲3三成銀△同金に▲3八桂(参考2図)の飛車角両取りがあります。振り飛車ピンチに映りますが、久保九段に策は用意されているでしょうか。

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Ryuou20210721010150 図の局面で八代七段が34分考えて夕食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲八代3時間43分、△久保3時間9分。夕食時の注文はともにやまがそばで、久保九段が「親子丼、冷たいそば」。八代七段が「肉なん定食(うどん)」。対局は18時40分に再開されます。

Photo_54 (夕食休憩時の対局室。八代七段が考え続けていた)

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17時過ぎ、本局の読売新聞観戦記の解説を担当する北浜健介八段が関西将棋会館に来館しました。

Ryuou20210721010149 「図の▲1六歩の局面は形勢は難解だと思いますが、振り飛車側を持って怖い局面でもあります。ここで△4八角成か△2七歩かですが、△4八角成だと形勢が一気に傾きそうです。一例として△4八角成は、▲3三成銀△同金▲5五角△4三飛▲3三角成△同飛に▲4八飛で馬を取られて駒損になる変化があります。図から△2七歩▲同飛を入れておけば、最後の▲4八飛がありません。このような変化があるなか、振り飛車がどう持ちこたえるかというのが現局面での印象です」(北浜八段)

久保九段は22分の考慮で△2七歩を選択。ここで両対局者の消費時間が3時間9分で並びました。

Photo_52 (本局の読売新聞観戦記解説を担当する北浜健介八段)