カテゴリ「第32期竜王戦決勝トーナメント」の記事 Feed

2019年7月 8日 (月)

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132手目△6五桂に対する切り返しは難しかったでしょうか、実戦は図の局面まで進んで攻守が入れ替わり、後手が勝勢になったようです。木村九段が中盤での辛抱を実らせ、勝ちに近づいています。

20190708i_2終盤に入りましたが、優劣不明の激戦が続きます。図の▲4二同銀不成は後手からの△8八銀成を牽制しつつ後手玉に迫った手ですが、対する木村九段の△6五桂(下図)が鮮やかな返し技。

20190708j_27七銀を狙いつつ、7三に退路を作っています。佐藤九段はどのように切り返すか。終盤の勝負どころを迎えました。

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時刻は21時30分を過ぎ、木村九段は攻防の飛車を打ちました。さらに△7九銀が回れば先手陣もいよいよ危なくなってきます。佐藤九段としては、その余裕を与えずに厳しく迫りたいところでしょうか。残り時間は▲佐藤天九段27分、△木村九段32分と、ほとんど互角です。

20190708c_3さらに進んで図の局面。木村九段は穴熊の猛攻を受け続け、いかにも危険な状況。しかしこの底歩が強く、先手が決めるのも簡単ではありません。流れは確かに先手ですが、実際の形勢に差はほとんどなさそうです。

Photo_49 (モニターに映る両者)

20190708a_420時過ぎ、図の局面まで進みました。佐藤九段は端角を打ち、3五銀と6二玉を同時に射程に入れます。以下(1)△4四銀引には▲4五桂、(2)△4四銀上には▲4五歩、(3)△3四銀には▲4三歩成△同金▲2四飛という順で、先手の攻めが続きそうです。次第に佐藤九段のペースになってきたでしょうか。

20190708m夕食休憩の局面から、▲3五歩△4四歩▲4五歩(図)と進行。先手は5五歩を取らず、3、4筋から駒をぶつけて暴れていきました。陣形差は歴然なので、先手は後手の守備網を破れば優位に立てそうです。反対に玉形の薄い後手は押さえ込みを目指すことになるでしょうか。

Photo_43(佐藤九段は陣形差を生かして食いつきを目指す)

Photo_47 (木村九段は薄い玉形で佐藤九段の攻めを迎え撃つ。得意の展開かもしれない)

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18時、図の局面で佐藤九段が18分使って夕食休憩に入りました。消費時間は、▲佐藤九段3時間29分、△木村九段3時間1分。夕食の注文は木村が「チラシ(並)」(千寿司)、佐藤が「ビーフストロガノフ+半熟卵」(Le Carre)。対局は18時40分に再開されます。

Photo_42(夕食休憩時。佐藤九段は席を立たずに考え続けている)

20190708k17時40分を過ぎ、ここまで待機を続けていた木村九段が中央から動きました。先手は以下▲5五同歩△同飛▲2九飛と受けるのが形ですが、それには△4七歩があります(変化図)。以下▲4七同金は△3八角、▲3八金には△5八飛成、▲4九金には△5七飛成です。

20190708lとなると、佐藤九段は△5五歩を取らず、▲4五桂などで暴れていくことになるでしょうか。本格的な戦いが始まったと見てよさそうです。

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図は75手目の局面。ここから△6二玉▲5七金△7二玉▲5八金と進み、にらみ合いが続いて同一局面が出現しました。中継室では千日手の可能性にも触れられています。Photo_41(佐藤九段は打開の筋を見つけられるか)