カテゴリ「第31期竜王戦決勝トーナメント」の記事 Feed

2018年7月19日 (木)

63 久保王将は飛車角交換ではなく、飛車取りに銀を打つ順を選びました。対して△9四飛には▲9六歩で先手よしと北浜八段。実戦は△7五同飛としましたが▲同飛(下図)で、先手は待望の飛車の入手を実現。「駒得ですし、飛車を持ったのは大きいですね」と、北浜八段は実戦の進行も先手よしの見解を示しました。

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61 久保王将は▲7五歩でなく、5六に角を据えました。対して△6五歩なら▲7六飛△同飛▲3四角△同金▲4一角で先手よしとされていましたが、増田六段は△5四馬(下図)と馬を急所に引き揚げる順で切り返しました。

62 ▲7四角△同歩で飛車角交換にはなりますが、▲7四同飛に△2六歩が期待の一手となります。「そこで▲7一飛成でやや先手がいいように思いますが、先手にも嫌なところが多く、この△5四馬はなるほど、本筋の手という感じがします」と、北浜八段は印象を述べました。

60 増田六段は△7四飛とここで歩を取り払いました。この手を見た北浜八段は「怖い、怖いよこの手は。何か技を掛けられても全くおかしくないです。先に述べた▲7五歩△同飛▲6七銀の順を選んだとしても、先手よしと言ってもいいかもしれません」と話しました。
増田六段は残り時間も気になるところで、この手を指して残り27分。一方、久保王将は1時間12分残しています。

59 久保王将は6五でなく、▲8五桂と跳ねました。アーティストの発動で、△同馬には今度は▲6六角の王手飛車取りがあり、以下△4四歩▲8四角△同馬▲8二飛で馬金両取りが掛かります。そうなると先手優勢なのでここで△7四飛が予想されますが、▲7五歩△同飛に▲8六銀や▲6七銀があり、先手がさばけていそうと北浜八段は解説しています。

58 図は19時40分ごろの局面。増田六段が7四の歩を相手にせず、8七にいた馬を7六に引いたところです。棋士室ではこの△7六馬では△4四歩が示されており、以下▲6五桂 △同馬▲7三歩成で△7六歩には▲9五銀を見て先手が指せそうと検討されていました。そこにこの△7六馬が指され、「さらに▲6五桂と跳びやすくなったけど」と顔を見合わせています。ただ、北浜八段は「この△7六馬で△4四歩は、▲7五銀のような手を気にしたんじゃないでしょうか。居飛車党は▲7五銀のような手を気にするのかもしれません。久保先生は▲7五銀を打つ棋風ではないと思いますが」と、心情や棋風などを踏まえて解説しました。

Photo_104 (19時25分ごろの関西将棋会館。空はまだ明るかった)

56 増田六段は8七に馬を作りました。本局の読売新聞観戦記の解説を担当する北浜健介八段は、ここで▲7四歩を示し、以下△同飛▲7五銀△9四飛▲9六歩と、王手飛車取りの筋を見せながら飛車をいじめる順が厳しいのではないかと見ています。実戦も久保王将は▲7四歩と突き出しました。

Photo_103 (笑顔で解説する北浜健介八段)

55 18時40分になって対局再開。久保王将はさらに11分考えて、6九にいた飛車を7九に逃げました。6筋での飛車のさばきはなくなりますが、△8七角成や△6七角成のときに桂取りにならないメリットがあります。

Photo_102 (朝、駒を並べる久保王将。駒を持ったときに手首がいったんかえるのが久保王将の特徴のひとつである)

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図の局面で久保王将が32分考えて夕食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲久保3時間19分。△増田3時間29分。夕食時の注文は久保王将がやまがそばの親子丼セット(温そば)。増田六段が内山田のステーキ。対局は18時40分に再開されます。

52 17時25分ごろ、増田六段のほうから角交換しました。▲7七同桂には手にした角をすぐに△7八角(下図)と打ち込み、玉のコビンが開いたままながら攻め込んでいきました。

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Photo_94 (朝、伏し目がちなことが多かった増田六段が、ふいに視線を上げた)