カテゴリ「第30期竜王戦決勝トーナメント」の記事 Feed

2017年7月 8日 (土)

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阿久津八段は8筋の歩を交換してから棒銀の立て直しを図りましたが、佐々木五段は▲7七桂(31手目)と守りの桂を跳ね出しました。後手からの△8五銀の進軍を防ぎながら、速攻を狙っています。次に▲4五桂△4四銀▲6五桂が二刀の桂を振り下ろす攻め。後手はこの筋をまともに喫しては防戦困難になりそうです。阿久津八段の対応が注目されます。


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参考図は▲7七桂(31手目)に△4二玉▲4五桂△4四銀▲6五桂と進めたもの。左右両桂が中央を狙って、後手の棒銀を置き去りにしています。


千駄ヶ谷駅の改札を出て右手に徒歩数分のところには、出前でおなじみの「みろく庵」があります。千駄ヶ谷駅のホームには駒のオブジェがありましたが、工事のため1週間ほど前に撤去されたとのことでした。戻されるのは駅舎が新しくなってからになるそうです。

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東京・将棋会館の1階には藤井聡太四段のクリアファイルを求めてか、多くの人が訪れていました。将棋会館の近くには鳩森八幡神社があります。境内には将棋堂があり、新年にはここで祈願祭が行われます。

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対局が再開する直前、阿久津八段は記録係に話しかけて、観戦記者のお茶を新しいものにするようにいっていました。厳しい表情がふっと和らぎます。佐々木五段が対局室に戻り、ほどなく12時40分になって対局再開。佐々木五段は扇子であおいでから、盤上に手を伸ばしました。

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12時、佐々木五段が20手目の局面で25分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲佐々木五段57分、△阿久津八段32分。昼食の注文は佐々木五段が肉豆腐定食餅入り(みろく庵)、阿久津八段は注文なし。対局は12時40分に再開されます。

本局の使用駒は久徳作、清安書の盛上駒です。

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戦型は角換わりになりました。最近の先手は「隙あらば速攻」という構えが流行していますが、本局では後手の阿久津八段が△8四銀(20手目)と棒銀で積極的な方針を打ち出しました。
棒銀といえば加藤一二三九段の得意戦法。加藤九段は6月20日に行われた竜王戦6組昇級者決定戦で高野智史四段戦に敗れて、引退が決まりました。読売プレミアムには加藤九段の連載があります。


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(6月20日、朝の加藤九段。撮影:牛蒡)

両対局者のこれまでの竜王戦の歩みを振り返ります。

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阿久津八段は今期、1組ランキング戦1回戦で屋敷伸之九段に敗れて出場者決定戦に回りました。出場者決定戦では深浦康市九段、高橋道雄九段、豊島将之八段に勝って5位になり、決勝トーナメント進出を決めています。

阿久津八段の竜王戦初出場は第13期。第15期に5組昇級、第16期に4組昇級、第19期に3組昇級、第21期に3組優勝(2組昇級)。第22期に3組に降級しましたが、第23期に再びランキング戦で3組優勝を果たしました。第25期に1組昇級を決めてから降級はありません。1組在籍は連続5期、決勝トーナメント出場は2期ぶり5回目です。

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佐々木五段は今期、4組ランキング戦で八代弥五段(現六段)、中田宏樹八段、先崎学九段、斎藤慎太郎七段、千葉幸生六段に勝って優勝を果たしました。決勝トーナメントでは初戦で藤井聡太四段(6組優勝)に勝ち、本局に進んでいます。

佐々木五段の竜王戦初出場は第24期。第25期に5組昇級、第27期に4組昇級。決勝トーナメント出場は今期が初となります。

本局の観戦記を担当するのは青島たつひこさん。観戦記解説は広瀬章人八段です。今日の読売新聞朝刊には、小暮克洋さんが執筆した千葉幸生六段-佐々木勇気五段戦(4組決勝)の観戦記が掲載されています。

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