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2017年7月 8日 (土)

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形勢混沌という状況が続いていましたが、佐々木五段の▲5七玉(87手目)が実戦的な好手だったと、広瀬八段は見ています。ここから△6九竜▲6八金△6七歩成▲同金△6六歩▲6八金に、△6七歩成と打った歩を成り捨てる反省が出ました。以下▲同金に△8三玉(96手目)では、後手がつらい流れです。

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後手が猛烈な追い上げを見せましたが、現状は先手の優位が再びはっきりしました。

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阿久津八段の粘りが奏功しつつあるようです。佐々木五段は攻め続けていますが、少し前のように、すぐに後手玉が寄るような状況ではなくなりました。阿久津八段が△7二玉(80手目)と早逃げしたことで、遊び駒だったはずの棒銀が守り駒として輝いてきました。後手が追い上げています。先手優勢だった流れから、怪しい雰囲気が出てきました。

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(昼食休憩明けの佐々木五段。踏みとどまれるか)

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阿久津八段が粘り強く抵抗しています。佐々木五段は▲6六角(67手目)と据えて▲3三角成の桂取りを狙いました。阿久津八段は△3二歩と受けます。そこで▲8四角(参考図)がうまい手に見えますが……。

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これは△8四同飛なら▲4二銀打までの詰みを見た手。しかし、角を取らずに△5三金と銀を外されてしまいます。遊んでいた棒銀と、寄せの要の銀との交換は明らかに先手が損。実戦は▲8四角ではなく、▲4四銀成△6五歩▲5四成銀と進みました。

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遊び駒には触らず、玉頭を押さえるのが急所。形勢はやはり佐々木五段がリードを保っているようです。

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(写真は昼食休憩明けの阿久津八段。粘りは実を結ぶだろうか)

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佐々木五段が緩みなく後手玉に迫っています。▲5三と(53手目)と、強力な攻め駒のと金が後手玉の頭上を押さえました。「5三のと金に負けなし」という格言がありますが、後手玉は間近でにらまれているのだからたまりません。ここから△4四銀▲4三と△3三銀▲1六角(57手目)と進みました。

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苦しい阿久津八段は辛抱を重ねますが、佐々木五段は確実に後手玉を追い込んでいきます。この▲1六角が攻防の好打で、浮き駒だった金を守りながら後手陣をにらんでいます。先手優勢がはっきりしました。

18時40分、対局が再開されました。形勢は佐々木五段がいいと見られています。先手は角が持ち駒にあるとはいえ、桂と飛車の軽い動きで攻めを成功させたのは恐るべきこと。必要最低限の準備で動き、攻めの細さは技術でカバー。現代的な価値観の極北をいくような手順です。

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18時、阿久津八段が▲5五金(45手目)に16分使って夕食休憩に入りました。消費時間は▲佐々木五段3時間12分、△阿久津八段3時間42分。夕食の注文は阿久津八段が豚キムチうどん(みろく庵)、佐々木五段が上にぎり、ネギトロ巻き(千寿司)。対局は18時40分に再開します。

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佐々木五段はばっさり▲3二飛成(41手目)と切って迫りました。△同飛に▲5六金(43手目)が継続手で、角の動きを封じながら攻め続ける態勢ができています。

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次の狙いは▲5五金△同銀▲5三桂成の中央突破。後手はなかなか桂をタダ取りする展開にはできないようです。相手に飛車を渡すのは反動が厳しくなるものですが、先手は飛車の打ち込みが少ない陣形を生かしています。

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佐々木五段が積極的な動きで後手陣に襲いかかっています。2筋で飛車先交換したかと思われたところで、▲3四飛(39手目)がぎょっとする踏み込み。ここで△3三歩や△2五角と打たれると飛車が助かりません。いきおい飛車を切って攻め込むことになりますが、相応の戦果が上がらないと、駒損が残って苦しくなります。果たして佐々木五段はどこまで読んで成算を得たのでしょうか。阿久津八段は時間を使っています。

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(昼食休憩再開時の佐々木五段。一気の踏み込みを見せた)