（現局面）

（羽生棋聖の△７五銀に、渡辺竜王の▲５五歩で昼食休憩に入った）

12時30分、図の局面で、羽生棋聖が14分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲渡辺５時間40分、△羽生５時間４分。昼食は渡辺竜王が鉄火丼（サビ抜き）、羽生棋聖がヒレカツ定食、ホットコーヒー。対局は13時30分に再開されます。

（鉄火丼（サビ抜き））

（ヒレカツ定食。お吸い物には白子が入っている）

（屋敷九段が手に取っていたのは……）

（10月に発売された、豊川孝弘七段の『豊川孝弘の将棋オヤジギャグ大全集 ー 将棋を100倍楽しむ方法』（主婦の友社 ）でした。記録係の渡辺和史三段は、豊川門下です）

羽生棋聖の△７七桂打に、控室では谷川浩司九段の妙手△７七桂を懐かしむ声が上がりました。

△７七桂が指されたのは、1996年10月の第９期竜王戦七番勝負第２局▲羽生善治竜王－△谷川浩司九段戦です。
同年２月、第45期王将戦七番勝負第４局で、羽生竜王・名人は谷川浩司王将を破り、七冠独占の偉業を成し遂げていました。同年７月、第67期棋聖戦五番勝負第５局で三浦棋聖が誕生し、七冠独占は167日で幕を降ろしたものの、竜王戦で谷川浩司九段を迎え撃ったときは六冠を保持していました。

▲６三馬に△同飛は、▲同飛成で先手よし。６筋突破を狙われて後手がピンチに見えますが、谷川九段はすさまじい切り返しを放ちます。
▲６三馬以下、△５九角▲６九飛△７七桂と進みました。

飛車取りと角取りを手抜き、７七に桂を放ったのが妙手。▲７七同桂は△７六歩とし、次の△７七歩成の当たりがきつくなるので、後手の攻めが加速します。
実戦の進行は、▲５九飛△６三飛▲５四角△６八角です。

またも飛車取りを手抜いて、谷川九段は鋭く踏み込み、勝利を収めました。シリーズも４勝１敗で制し、第４期以来の竜王位を獲得。復位と同時に無冠返上を果たしました。

先手：羽生善治竜王
後手：谷川浩司九段

▲７六歩 △８四歩 ▲２六歩 △３二金 ▲７八金 △８五歩
▲７七角 △３四歩 ▲８八銀 △７七角成 ▲同　銀 △４二銀
▲３八銀 △７二銀 ▲１六歩 △１四歩 ▲４六歩 △８三銀
▲４七銀 △８四銀 ▲９六歩 △３三銀 ▲６六歩 △４二玉
▲６五歩 △７四歩 ▲６八飛 △７三銀 ▲３六歩 △５二金
▲３八金 △３一玉 ▲５六銀 △４四歩 ▲４七金 △４三金右
▲３七桂 △５四歩 ▲６九玉 △５二飛 ▲７九玉 △５五歩
▲６七銀 △２二玉 ▲８八玉 △９四歩 ▲６六銀直 △９三香
▲６一角 △６二飛 ▲８三角成 △９二角 ▲同　馬 △同　飛
▲２五桂 △４二銀 ▲４五歩 △同　歩 ▲５五銀 △２四歩
▲６四歩 △同　歩 ▲５六金 △２五歩 ▲６四銀 △５五歩
▲同　銀 △７五歩 ▲４四歩 △３三金寄 ▲５四角 △７六歩
▲同　銀 △７五歩 ▲８一角成 △６二飛 ▲６三馬 △５九角
▲６九飛 △７七桂 ▲５九飛 △６三飛 ▲５四角 △６八角
▲５八飛 △８九桂成 ▲同　玉 △７六歩 ▲６八飛 △同飛成
▲同　金 △７七銀 ▲６三飛 △８八飛 ▲７九玉 △６八飛成
▲同飛成 △同銀不成 ▲同　玉 △３八飛 ▲６七玉 △７七金
▲６六玉 △６八飛成 ▲７五玉 △６三桂
まで106手で後手の勝ち

羽生棋聖の△７七桂打に、控室では「気がつきにくいですねぇ」と感心する声が上がります。▲７七同桂には△同桂成▲同金△７五銀が迫力のある攻めです。

▲７五同金は△７七角成で受けがありません。▲６五歩と受けるのも、△６六銀▲同銀△７四桂で攻めが切れません。渡辺竜王、△７七桂打にどう応じるでしょうか。

（控室のモニター）

（11時ごろの対局者の様子。羽生棋聖はおやつを食べていた）

現地では大盤解説会が始まっています。トップバッターは金井六段と本田女流三段です。

10時ごろ、午前のおやつが運ばれました。渡辺明竜王がフィナンシェチョコ、ホットコーヒー。羽生棋聖が「おひとつ」、ホットコーヒーです。

（フィナンシェチョコ、ホットコーヒー）

（「おひとつ」、ホットコーヒー）

９時30分過ぎの控室です。検討中に渡辺竜王の▲６七銀が指され、驚きの声が上がりました。

（本田女流三段）

（金井六段）

（屋敷九段）

（飯塚七段）

封じ手用紙は２通用意するのが慣例です。指し手は符号ではなく、赤いペンで駒と動くマス目を示します。

立会人の屋敷九段が封筒をハサミで切り、封じ手を開封します。屋敷九段の「封じ手は▲６六同金です」の声にしたがって、渡辺竜王は▲６六同金を着手しました。報道陣が退出し、２日目が開始されています。