△5八銀成に▲4六飛と逃げた局面。ここは後手が金得です。大駒両取りはかかっていますが、ここで△1八角成と香を取って深浦良しと言われています。▲8二馬には△8五香が「歩打ちの香」で受けにくいからです。
△5八銀成に▲4六飛と逃げた局面。ここは後手が金得です。大駒両取りはかかっていますが、ここで△1八角成と香を取って深浦良しと言われています。▲8二馬には△8五香が「歩打ちの香」で受けにくいからです。
△8六桂に中村六段は50分!の考慮で▲7三角成と馬を作りました。残り時間は13分です。対する深浦九段は1時間49分も残しています。
中村六段は前回の藤森四段戦も19時44分(63手目▲3六飛)の時点で残り30分を切っていました。本局も長時間、秒読みで指す展開になりそうです。
夕食休憩再開後、深浦九段は△3六角と打ちました。
△6九銀と合わせて、横からの攻めを強めています。△3六角以下、▲4八飛△6五歩▲3七角△6六歩▲同銀左と進んでいます。
後手は6筋の歩を使って先手の陣形を乱しました。ここ数手で縦と横から迫る筋を増やし、これ以上にはないほどの総攻撃の準備をしています。先手はその代償に飛車を守りに使い、持ち歩を4枚に増やして▲3七角と遊び駒を活用しました。先手はここをしのげば▲5五角の王手で形を乱したり、▲1三歩成△同香▲1四歩△同香▲1三歩など端で味をつけるのが楽しみになります。中村六段がここをうまく乗り切れるかがポイントです。
図の局面で深浦九段が13分使ったところで夕食休憩に入りました。ここでの残り時間は▲中村1時間6分、△深浦2時間4分。夕食の注文はともにありません。
深浦九段は8筋と9筋を突き捨てて、端に桂を跳ねました。玉頭で手を作る狙いで、攻勢を強めています。中村六段は歩をたくさんもらったので、▲1三歩成△同香▲1四歩△同香▲1三歩などの味をつけるのが楽しみです。
△1六歩の効果について、説明いたします。本譜は▲3五歩に△4五銀右でしたが、△1六歩ではなく単に△4五銀右と出た図と比べてみましょう。
1図、参考1図ともに▲4五同銀△同銀▲同飛△6九銀と進めてみます。
2図と参考2図を比較してみると、△1六歩と▲3五歩の交換は後手が1筋の守りで得しています。参考2図ならば▲1五角~▲4二角成としたときに、1八香が後手の最弱点である1三の地点まで一気に通ります。しかし、2図では歩が1六にいるため、香の利きが通りません。
上記のように先手の攻め筋が減っており、後手は攻め合いに挑みやすくなっています。なにより自玉は穴熊。堅さをいかして暴れることができるのは非常に魅力的です。
▲3五歩は3筋に味をつける筋の一着。(1)△同歩(2)△同銀は利かされなので、取りにくいです。
(1)△同歩は▲1六香△2七角▲1三歩成△同桂▲3三歩(参考1図)が一例。△1三同桂で3筋が薄くなったところを突かれるので、これは先手ペースです。
(2)△3五同銀は▲同角△同歩▲1六香(参考2図)。これも3筋にキズを作りながら先手が攻勢を取っており、先手ペースです。
中継室の本命は△2七角(参考3図)と△4五銀右(参考4図)。前者は受け、後者は駒を手に入れて寄せ合いに出る狙いです。