カテゴリ「第27期竜王戦決勝トーナメント」の記事 Feed

2014年7月15日 (火)

20140715anakamurahukaura81△5八銀成に▲4六飛と逃げた局面。ここは後手が金得です。大駒両取りはかかっていますが、ここで△1八角成と香を取って深浦良しと言われています。▲8二馬には△8五香が「歩打ちの香」で受けにくいからです。

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20140715anakamurahukaura77△8六桂に中村六段は50分!の考慮で▲7三角成と馬を作りました。残り時間は13分です。対する深浦九段は1時間49分も残しています。

中村六段は前回の藤森四段戦も19時44分(63手目▲3六飛)の時点で残り30分を切っていました。本局も長時間、秒読みで指す展開になりそうです。

夕食休憩再開後、深浦九段は△3六角と打ちました。

20140715anakamurahukaurra70_3△6九銀と合わせて、横からの攻めを強めています。△3六角以下、▲4八飛△6五歩▲3七角△6六歩▲同銀左と進んでいます。

20140715anakamurahukaura75_2後手は6筋の歩を使って先手の陣形を乱しました。ここ数手で縦と横から迫る筋を増やし、これ以上にはないほどの総攻撃の準備をしています。先手はその代償に飛車を守りに使い、持ち歩を4枚に増やして▲3七角と遊び駒を活用しました。先手はここをしのげば▲5五角の王手で形を乱したり、▲1三歩成△同香▲1四歩△同香▲1三歩など端で味をつけるのが楽しみになります。中村六段がここをうまく乗り切れるかがポイントです。

20140715nakamurahukaura1944(19時40分過ぎの特別対局室。中村六段が盤に近づいて考えている。時間早見表が出ているので、残り時間は1時間を切った)

Dsc_5675(夕食休憩時の特別対局室)

Dsc_5678(中村六段側から見た盤面。後手が攻勢をとる流れになった)

Dsc_5676(中村六段のおぼん。チョコレートなどが追加されている)

Dsc_5677(深浦九段のおぼん。飲み物が減っている)

Dsc_5680(午後は互いに長考が続いた)

Dsc_5684(中継室から見た千駄ヶ谷の夕暮れ)

20140715anakamurahukaura69 図の局面で深浦九段が13分使ったところで夕食休憩に入りました。ここでの残り時間は▲中村1時間6分、△深浦2時間4分。夕食の注文はともにありません。

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深浦九段は8筋と9筋を突き捨てて、端に桂を跳ねました。玉頭で手を作る狙いで、攻勢を強めています。中村六段は歩をたくさんもらったので、▲1三歩成△同香▲1四歩△同香▲1三歩などの味をつけるのが楽しみです。

20140715anakamurahukaura54_4△1六歩の効果について、説明いたします。本譜は▲3五歩に△4五銀右でしたが、△1六歩ではなく単に△4五銀右と出た図と比べてみましょう。

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20140715anakamurahukaura0715_21図、参考1図ともに▲4五同銀△同銀▲同飛△6九銀と進めてみます。

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20140715ahukauranakamurasannkou17182図と参考2図を比較してみると、△1六歩と▲3五歩の交換は後手が1筋の守りで得しています。参考2図ならば▲1五角~▲4二角成としたときに、1八香が後手の最弱点である1三の地点まで一気に通ります。しかし、2図では歩が1六にいるため、香の利きが通りません。

上記のように先手の攻め筋が減っており、後手は攻め合いに挑みやすくなっています。なにより自玉は穴熊。堅さをいかして暴れることができるのは非常に魅力的です。

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『59分のお返し』の記事で「強襲」と紹介した△6九銀が放たれました。中村六段は▲6七銀と堅く守っています。

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先手は銀桂交換の駒得ですが、後手もかなり手が続きます。

「▲6七銀は辛抱した手で、△1六歩が利いたと思います。△2七角にどうするんだろう。ここは腰の落としどころですね」(高野六段)

▲6七銀の局面は後手が良くできそうであり、△1六歩の新手が成功しているのではないかと高野六段は判断しています。いずれにしろ、中村六段はしばらく辛抱する展開になりそうです。

Dsc_5632(対局再開時の中村六段。少なくなっている残り時間とも戦う必要がある)

20140715anakamurahukuara58以下▲同銀△同銀まで進んで手が止まっています。消費時間はここまでの消費時間は▲中村3時間7分、△深浦1時間35分。深浦九段が1時間近い長考をしましたが、持ち時間の差はまだ1時間32分あります。

△4五同銀には▲4五同飛が自然ですが、△6九銀の強襲が気になります。以下▲6八金右△7八銀成▲同金△6九角(参考図)。

20140715anakamurahukaura1619△6九角の局面は、△8六桂の寄せと△3六角成の両取りの狙いがあります。後手の穴熊も遠いので、これは先手が嫌なのではないかと中継室では言われています。

Dsc_5638(昼食休憩再開時の深浦九段。強襲を含みにした順を繰り出した)

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▲3五歩は3筋に味をつける筋の一着。(1)△同歩(2)△同銀は利かされなので、取りにくいです。

(1)△同歩は▲1六香△2七角▲1三歩成△同桂▲3三歩(参考1図)が一例。△1三同桂で3筋が薄くなったところを突かれるので、これは先手ペースです。

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(2)△3五同銀は▲同角△同歩▲1六香(参考2図)。これも3筋にキズを作りながら先手が攻勢を取っており、先手ペースです。

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中継室の本命は△2七角(参考3図)と△4五銀右(参考4図)。前者は受け、後者は駒を手に入れて寄せ合いに出る狙いです。

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