カテゴリ「第23期竜王戦七番勝負第2局」の記事 Feed

2010年10月26日 (火)

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図は17時の局面。渡辺竜王は△2六銀成と成り返り、先手の攻めの拠点である2五桂を取り払いに行く。6四の角は取られてしまうが、部分的な損は甘受する覚悟だ。先手はこのまま攻めきれるのだろうか。

「△2六銀成でした。▲6四銀△同歩に(1)▲1三桂成は平凡に△同桂▲1四歩△1二歩と辛抱して後手大丈夫そうです。やはり検討陣の(2)▲3五飛が有力で△2四銀▲1一角△3一玉▲3二飛成△同玉▲2二歩(A図)でどうかです。ただA図以下たとえば△2五成銀▲2一歩成△3三銀上(B図)で、後手不利かどうかはまだなんともいえないかもしれません。△2六銀成で二枚替えの辛抱が、やはり粘っこい戦い方でしょうか。上図で普通は▲6四銀です。
対して△同歩が普通ですが、もしかして△2五成銀というのもあるかもしれません。しかし、▲6四銀に△同歩▲3五飛以下A図の変化が難しいとなれば、やはりそう進むと思います。△2五成銀の変化球は▲6三銀成で後手不利を認めた順に感じます」(所司和晴七段)

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(16時50分頃の対局室)

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(17時直前、大盤解説会場ではBS中継のリハーサルが行われていた)

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16時8分。控え室で検討する森内九段、森下九段、中村女流1級らが見守る中、渡辺竜王は△1五同香(図)を着手した。

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この一手に対し渡辺竜王が費やした時間は、実に1時間27分に及ぶ。△1五同香に、羽生名人はさほど時間を使わず▲6五銀を着手。検討では、ここでいい手がないと「後手が苦しくなるかもしれない」と言われていた。検討で盤上に提案される後手の手が、ことごとく先手につぶされてしまうのだ。渡辺竜王は長考の中、うまい手段を見出すことができたのだろうか。

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59手目▲1五香に対し、渡辺竜王の長考が続いている。継ぎ盤では後手がよくなる順が見つからず、「封じ手にするかもしれない」とささやく声も。

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(16時過ぎの控え室。森内九段、「▲1五香ですか。これは長考したいですね……」)

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(すでに1時間ほど考えられてます、と言われ「あ、もう長考してるんですか、あ、はい」)

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(BS中継解説の森内九段=左、BS中継聞き手の中村女流1級=右)

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(BS中継の司会を務める、長野アナウンサー。検討を見守る)

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(15時31分の対局室。羽生名人は席を立っている。渡辺竜王はしきりに姿勢を変えながら、「はあ」「いや」とため息を漏らす)

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(外の様子。曇り模様の空から、鈍い日差しが降る)

(文)

午後のおやつは、15時に対局室に運ばれる。渡辺竜王の注文は「チョコレートケーキ、ホットコーヒー」。羽生名人の注文は「ベイクドチーズケーキ、ホットレモンティー」。

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(渡辺竜王の注文したチョコレートケーキ)

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(羽生名人の注文したベイクドチーズケーキ)

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(15時の対局室の様子。両者ともケーキを口に運んでほっと一息……つけているのだろうか)

(文)

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「島九段の予想が当たった。△同香に▲6五銀と打つ手を検討している。以下(1)△4八銀成▲3五飛△2八角成(△3四歩)▲1三桂成と進めば、先手の攻めは途切れない。6四角型なら、機を見て▲6六香と打つ狙いもある。先に▲1五香と捨てることで、後に▲3五飛~▲1五飛とさばけるようにしている。『なるほど、コロンブスの卵だ』と島九段。その後、▲6五銀に(2)△3八香を検討している」【棋譜コメントより】

▲1五香と▲6五銀は個々では以前からあった手だが、その組み合わせ方が新しいアイディア。「組み合わせが絶品ですねえ」と森下九段。

「▲1五香でした。これが用意の手です。ここからは渡辺竜王も長考していくでしょう。▲1五香には△同香が普通で、ここで▲6五銀でしょうか。以下△4八銀成なら▲3五飛△3四歩▲1三桂成△同桂▲1五飛(参考図)で好調子です。途中△3四歩で△2八角成でしょうが、先手の飛車先が通っているので怖い形です。この局面は後手が次の一手をどう指すか、非常に難しいです。やはり▲6四歩から▲1五香はさすがの組み合わせです」(所司和晴七段)

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(文)