この△1八角で後手優勢がハッキリとしてきました。実戦は(1)▲3八銀と引きましたが、(2)▲2八飛には△3六桂▲同銀△同角成、(3)▲3七飛には△2六角がそれぞれ厳しい追撃でした。(4)▲3八銀打だと後に▲7四銀と反撃することができなくなり、また後手は急いで飛車を取る必要がない(例えば▲2八飛には相変わらず△3六桂がある)ため、△5三角と引いて△3五桂の飛銀両取りを狙えば優勢は揺るがなかったでしょう。
(1)▲3八銀に△4六角と出たのが着実な追撃で、次は△2七角成▲同銀△2八角成を狙っています。後手玉は広く、また馬の利きも後手陣を守っているため、やはり後手よしと見てよさそうです。20時40分、伊藤匠五段の残り時間が10分を切りました。対する稲葉八段は1時間23分を余しています。