――1日目の手ごたえについて。
豊島「封じ手は手が広いのかなと思っていて、自信はなかったものの、ものすごく悪いとは思わなかったので、2日目でなんとかなるかなと」
――2日目の△8七銀(50手目)のあたりはどのように考えていましたか。
豊島「ゆっくり指すとちょっとずつ苦しくなりそうな気がしたので、△6四歩とかも考えたのですが、本譜はあまり成算はなかったですけど△8七銀と打ち込んで。じっくり組んでいるよりは勝負になるというか、可能性があるというか」
――その後も激しくなりました。
豊島「△8七銀と打ち込んでいった以上は、もう一回取って金も打たないといけないと思いました(△7八銀成▲同玉△8七金)。△3六歩(58手目)とかも仕方ないです。そのときに本譜の▲8六歩と▲9六銀のふたつの有力手であるので、はっきりとこれでダメというのがわかりませんでしたけど自信はありませんでした」
――終盤でよくなったと思ったのはどのあたりですか。
豊島「最後までちょっとわかっていなかったです」
――控室では△4四桂(74手目)の感触がよかったという評判でした。
豊島「△4四桂は打ちたいところかなと思ったんですけど、△5六桂(78手目)に▲3五角とか▲5七角とかできた場合、どういう感じで指していけばいいのか、わかっていなかったので」
――あらためて初防衛の感想を教えてください。
豊島「なかなかできなかったことが達成できたのでよかったです」
――このシリーズで印象に残っているのは何局目でしょうか。
豊島「3局目が最後までわからない将棋でしたし、印象に残っています」
――本局について。
羽生「ずっと難しいと思っていて指していました。どこかで形勢を損ねたと思うのですが、どこが悪かったのか、ちょっとわからないです」
――「50歳なりの将棋を指したい、それがどういうものかはまだわからないが」という話をされていましたが、このシリーズで見えてきたものはありますか。
羽生「久しぶりの2日制でしたけど、自分なりには充実して指せたかなとは思います。でも細かいところでミスはあったと思うので、そこは反省材料になるかなと思います」