2019年8月2日の記事

2019年8月 2日 (金)

20190802i

時刻は16時30分を過ぎました。▲5八金に、渡辺明三冠は1時間13分考えた末に△5二玉と玉の位置を調整。以下▲4九飛△5三金右▲7二歩で図の局面です。豊島名人の▲4九飛と▲7二歩は、ともにノータイムでの着手でした。特に▲7二歩はなかなかの手との評判で、△7二同銀なら▲5四角が厳しい手で先手勝ちですし、7二歩を放置しても▲7一歩成△同飛▲8二角があります。

「これは効いたね」(先崎学九段)
「受けなきゃいけないところが多すぎますなあ」(高野秀行六段)

Dsc_52601(豊島名人がペースを握りつつあるか)

Dsc_52701 (中継室で記者に解説しつつ進行を見守る先崎九段=右と高野秀六段)

20190802h時刻は16時を回りました。図の▲5八金に、渡辺明三冠が50分ほど考えています。後手は△5四歩と打って5五銀を引かせられればよいですが、先手からは銀を引かずに▲1七角(△5五歩に▲4三歩成の狙い)や▲4九飛(△5五歩に▲1七角~▲4三歩成の狙い)という手段が考えられ、△5四歩が成立するかどうかは微妙なところであるようです。

Dsc_52241 (渡辺明三冠)

20190802g

図は15時頃の局面です。前記事の△7四桂に対し、豊島名人は56分の長考で▲4四歩(図)を着手。ほかには▲4四銀、あるいは一本▲2四歩と突き出しておく手も考えられたところで、それらの比較のために時間を使ったものと思われます。ここは後手の渡辺明三冠としても、△3四金と強く歩を払うか、△4二金と低い姿勢で耐えるか、一つの分かれ道。なお、△4四同金は▲同銀△同玉に▲4五歩で後手玉が危険です。

Dsc_52161 (豊島名人)

20190802f図は14時頃の局面。豊島名人が36分の考慮で▲5五銀と出た手に対し、渡辺明三冠が32分の考慮で得した桂を7四に据えたところです。△7四桂はどこかで▲7四歩と打たれる筋を消しながら△8六桂や△7六歩などと攻める味を作った攻防手ですが、先手から▲4四銀や▲4四歩とこられるのがかなりの迫力なだけに、思いきった一手といえます。激しい進行になりそうです。

Dsc_52311 (渡辺明三冠。自玉の危険度を見切っているかのような堂々とした指し回しだ)

Dsc_52591 (豊島名人は12時30分頃には盤の前に戻っていた)

Dsc_52631

Dsc_52651 (渡辺明三冠は再開直前に戻り、座布団の上に残していた上着に袖を通す)

Dsc_52681 (豊島名人は、再開後もすぐには指さずに考え続けていた)

20190802e

豊島名人が着手したのは12時46分。指し手は相手玉周りに手を出していく▲4五歩(図)でした。

20190802d図の△6三銀に豊島名人が25分考えて正午になり、昼食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲豊島1時間3分、△渡辺25分。昼食の注文は渡辺三冠が「うな重(松)、赤だし」(ふじもと)、豊島名人が「チキン山椒焼き弁当」(鳩やぐら)です。対局は12時40分に再開されます。

Dsc_52452 (昼食休憩時の特別対局室)

Dsc_52531 (手番の豊島名人の側から見た盤面)

Dsc_52491 (本局の使用駒は、桂山作の金龍書)

Dsc_52481 (渡辺明三冠の玉は三段目でバランスを取る)

Dsc_52581 (手数はすでに50手を超えている)

20190802c11時2分、△4四歩と桂を捕まえられた手に対し、豊島名人は先述の▲豊島-△澤田六段戦で自身が指した▲3四歩ではなく▲5三桂成(図)を選択。これで未知の局面に入りました。

Dsc_52191 (豊島名人。研究済みの順なのか、決断は早い)

20190802b図は10時40分頃の局面。先手の豊島名人が▲4五桂と動いていった手に、後手の渡辺明三冠が2分の少考で△2二銀と引いたところです。前手▲4五桂までの局面はデータベース上に17局の前例があり、昨年5月の1号局、▲豊島将之八段-△澤田真吾六段戦(第59期王位戦挑戦者決定リーグ戦白組、肩書は対局当時)で△2二銀と指した後手が敗れてからあとは、▲4五桂への応手はすべての将棋で△4四銀が選ばれていました。渡辺明三冠が早速、工夫を披露した格好です。

なお、前例の▲豊島-△澤田六段戦は△2二銀以下▲3五歩△4四歩▲3四歩△4五歩▲同歩△6五歩▲同歩△7五歩と進んでいます。

Dsc_51951 (変化球を出した渡辺明三冠。周到な準備があることが想像される)

20190802a戦型は互いに飛車先を突き越しての角換わり相腰掛け銀になりました。図は10時30分頃の局面。後手は△7二金~△6二金、△4二玉~△5二玉~△4二玉と、右金と玉の動きであえて3手損する待機策を採っています。まだ前例は多く、渡辺明三冠と豊島名人ともに、先後どちらでも経験がある局面です。

今年6月の第90期棋聖戦五番勝負第2局、▲豊島将之棋聖-△渡辺明二冠戦(肩書は対局当時)も同じ将棋で、△5四銀以下は▲6七銀△5五銀▲3五歩と進みました。▲6七銀のほかには、▲4五桂もよく指されています。

Dsc_52361 (定刻になり、礼を交わす)

Dsc_52371 (豊島名人は、初手を指す前にまず湯呑みのほうじ茶に口をつけた)

Dsc_52391

Dsc_52401 (渡辺明三冠は、カフェオレのチルドカップにストローを刺してから天井を見上げる)

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Dsc_52431

Dsc_52441 (挑戦者決定三番勝負進出を懸けた一戦が始まった)