2018年12月21日 (金)

終局直後

Dsc_8016(フルセットのすえに、タイトル奪取に成功した広瀬新竜王)

Dsc_8017(失冠した羽生前竜王。タイトル獲得100期はならず、約27年ぶりの無冠となった)

【広瀬新竜王の談話】

――広瀬新竜王、おめでとうございます。まずは竜王位奪取の感想から伺います。

広瀬 タイトル戦は久しぶりで、チャンスだと思っていました。結果を残せてよかったです。

――今日の将棋を振り返ってください。

広瀬 角換わりの先後同型でした。思いきって仕掛けましたが、うまく対応されてしまったかなと。自信のない展開が続いていたと思います。形勢がよくなったと思ったのは、▲2四歩から▲6六銀の反撃に転じたところです。

――シリーズ全体はいかがでしょうか。

広瀬 自分のよいところ、悪いところがたくさん出たシリーズだったと思います。内容は押され気味だったので、4勝できたのはよかったです。

――2連敗と苦しいスタートでした。

広瀬 内容は完敗に近いので焦りがありましたが、いまの自分にできることをやるしかないなと開き直りました。

――今期の竜王戦は羽生竜王の通算100期が懸かり、注目を集めたシリーズでした。

広瀬 これほど注目されるシリーズは今後の棋士人生でもないかもしれないので、とにかく悔いの残らないようにと思っていました。

――最終盤で何度も小さくうなずいていらっしゃいましたが、心境はいかがでしたか

広瀬 あまり意識していなかったですが。確認といいますか、正確に指せば勝ちそうかなと考えていたので、それが出たのかもしれませんね。

――今期、好調の要因は何でしょうか。

広瀬 自分自身ではあまり変わったと思っていないのですが、自信を持って指せているのが大きい気がします。

――今後の抱負をお願いします。

広瀬 久々にタイトルを守らせてもらう立場になったので、将棋界の代表として名に恥じぬように、盤上でも盤外でも活動していきます。

【羽生前竜王の談話】

――お疲れ様でした。まずは本局を振り返ってください。

羽生 本局は出だしは過去にやったことがありますが、駒がぶつかってからは形勢判断が難しい将棋でした。▲5六馬と出られたところは、ちょっと苦しいかなと思いました。

――シリーズ全体はいかがでしたか。

羽生 一局一局はずっと難しい内容が続いていましたが、細かいところでの選択を間違えてしまった気がします。

――今回敗れたことで、通算100期を逃し、約27年ぶりの無冠となりました。羽生さん自身はどういうふうに受け止めていらっしゃるのでしょうか。

羽生 結果を出せなかったのは、自分の実力が足りなかったことだと思うので、また力をつけて次のチャンスを掴めたらいいなと思っています。

――広瀬新竜王の印象はいかがですか。

羽生 毎局毎局、簡単にはいきませんでした。将棋の難しさを感じました。

――将棋界は30代から20代の棋士がタイトル戦に登場してきます。

羽生 すぐにはパッとは思いつかないですが、今回のシリーズをしっかり反省して、これから先につないでいけたらいいなと思います。

Dsc_8022(インタビュー後、大盤解説会に向かう)