18時からセルリアンタワー東急ホテルのボールルームで竜王戦第1局の前夜祭が開催された。
(開会のあいさつは老川祥一・読売新聞グループ本社 取締役最高顧問 主筆代理)
いよいよ明日から竜王戦七番勝負が始まります。1988年に棋界最高位の棋戦として創設された竜王戦も、今期が30期目です。ここまで続いてこられたのは、ご関係の皆様のお力添えによるものでありまして、この場をお借りして心から感謝申し上げます。
渡辺竜王と羽生棋聖が竜王戦七番勝負で初めて対決されたのは2008年の第21期で、このときは初の永世竜王の資格を巡っての対決でもありました。渡辺竜王が第1局から3連敗で徳俵に足がかかったところで、そこから一気に4連勝されてひっくり返し、伝説の勝負となりました。そのようなお二人の対決が今回また見られるということで、大変白熱した七番勝負になることは間違いありません。
今期の竜王戦は最年長棋士の加藤一二三九段と最年少棋士の藤井聡太四段の対決で幕を開けました。勝利した藤井四段はその後も勝ち続けてランキング戦6組で優勝し、決勝トーナメントの1回戦においては公式戦29連勝という新記録を達成しました。そこから起こったいまの空前の将棋ブームの中で、将棋界の顔ともいうべき渡辺竜王と羽生棋聖の対決が行われるわけであります。渡辺竜王は勝てば竜王3連覇で12期目の獲得、羽生棋聖が勝てば永世竜王の資格を得ると同時に永世七冠という偉業を達成することになります。将棋ファンにとってはたまらない魅力に満ちた対決と思います。また、今回の一局は東急グループ様のご助力によって能楽堂での対局が実現し、さらに竜王戦では28年ぶりの公開対局と、話題に富んだものとなりました。ご関係の皆様のご尽力に心からお礼を申し上げて、ごあいさつとさせていただきます。
(佐藤康光九段・日本将棋連盟会長)
今期の竜王戦七番勝負は、3連覇を狙う渡辺竜王に対して、永世竜王を目指す羽生棋聖が挑戦することになりました。竜王戦は節目の30期目を迎え、第1期からここまでの間にはさまざまな名勝負が繰り広げられてきましたが、その中でも中心的役割を担って時代をつくられたのは、何といっても明日から対局される渡辺竜王であり、挑戦者の羽生棋聖であります。このお二人が竜王戦の歴史をつくってきたといっても過言ではありません。そんなお二人の勝負がまた竜王戦七番勝負で見られるということで、ファンの皆様も大変注目されているのではないかと思います。
今回、能楽堂という場所を対局場としてご提供いただきまして、先ほど私も下見をさせていただいたのですが、やはり静けさの中に日本文化が漂い、将棋を対局させていただくのにも非常にふさわしい場所であると感じました。歴史に残るような大変な名局が第1局から見られるのではないかと期待しております。
(乾杯のご発声は巴政雄・東京急行電鉄株式会社 代表取締役副社長執行役員)
棋界最高峰の竜王戦がかくも盛大に開催されますことを心よりおよろこび申し上げます。ご存知でなかった方も多いと思いますが、私どもはこのセルリアンタワー東急ホテルの中に能楽堂を有しております。今回対局場としてお使いいただけることは非常に光栄で、ありがたいことです。
渋谷というと「若い街」というイメージをお持ちになっているかもしれませんが、私どもは「Bunkamura」、「渋谷ヒカリエ」、「東急シアターオーブ」など、大人の方が楽しめるような街づくりも心がけております。渋谷は大変に多様性のある街でございます。現在の将棋界におかれましても、若手棋士の台頭、ポーランド出身の女流棋士の活躍など、多様性が花開いて活況を呈しているところです。そんな中で行われる、渡辺竜王と羽生棋聖による最高峰の戦い。非常に楽しみにしております。力一杯戦っていただいて、好勝負を見せていただきたいと思っております。
(書き起こし・睡蓮、写真・吟)