図は開始直後の16手目の局面。横歩取り模様の立ち上がりから、先手が横歩を取らずに▲5八玉と立ちました。対して後手の稲葉八段が指したのが図の△5二玉。前例は数例ありますが、この手はかなりのリスクを抱えています。研究なしには指せない手です。
△5二玉を見た丸山九段は▲2二角成△同銀▲7七角と、最も激しい展開に踏み込みました。以下△8九飛成▲2二角成と切り合って次図。
互いに大駒を成って、もう後戻りは利かない形。早くも終盤戦の様相を呈しています。後手陣はすでに破れているようですが、このあと△1五角と飛車を追っていくのが前例の進行。以下▲2五飛には△3三桂とさらに追います。飛車の利きが止まれば2二の馬が取られてしまうため、先手も一方的に後手陣を破れるわけではなく、優劣は不明です。
ただ、前例6局のうち、直近の5局はすべて先手が勝っています。稲葉八段に、前例を覆す研究があるのかどうか。早くも勝負どころです。