島九段、中村修九段、真田七段の3人が第4局の見どころを語りました。
島 私は今年、読売新聞社さまの協力をいただきまして、「竜王戦を読む」というイベントを開催しました。子供たちに新聞の将棋欄を読むことを通じて、集中力を高めることなどを教えるものです。福島で行いたかったので、ご協力いただけたこと、本当に感謝しています。私は「あったかふくしま観光交流大使」をやらせていただいておりますので、福島に足を運んでいただいて、果物をいっぱい買ってもらって、福島のよさを感じてもらうのが仕事だと思っています。
中村 おばんでございます。私は棋士会でイベントをやって福島には毎年来ていまして、そのたびにたくさんの方に集まっていただきまして、将棋熱を感じています。
真田 福島県は男性棋士がなかなか誕生しない中で、私の妻、真田彩子が女流棋士で福島出身ということで、いろいろかわいがっていただきました。私も結婚して以来、福島で将棋を教えています。
中村 明日の対局の見どころですが、2勝1敗で迎えた第4局の大きさは、皆さんだいたいわかると思います。3勝すればタイトルに大きく近づきますし、2勝2敗になればそこから勢いもつきます。皆さん、タイトル戦が終わったあと、感想でいいますよ、勝ったほうが。「あの福島対局が大きかったですね」と。それくらい明日からの将棋、勝ったほうがタイトルをとるんじゃないかというくらい、二人の中では力の入る大きな勝負だと思います。私自身も楽しみにしています。
真田 ここまでの3局が、序盤から中盤で渡辺棋王が押している内容なんですよね。第1局もそうだったんですが、結果はここまで2勝1敗。渡辺棋王としては、3つとも勝てたという思いがあるはずです。糸谷将棋は個性的です。普通の棋士なら抵抗感があるところでもまったく感じさせない、糸谷ワールドみたいなものがあります。
中村 第1局、渡辺さんが勝ったかなと思ったんですが、指せば指すほど差が詰まる、不思議な将棋だなあと思っていました。糸谷さんも、竜王になって1年目というのは大変だと思うんですよ。たとえば序列が下のところから、一気に1位になっちゃうわけですね。普通にやれっていっても大変で、生活が変わってきますから。渡辺さんも竜王を防衛してからほかの棋戦も勝つようになりました。同じようなものを糸谷さんに感じるので、今回防衛すると、どんどん大きくなっていくようなイメージがあります。
真田 戦型はどうですか。
中村 戦型は横歩取りが60パーセント、角換わりが40パーセントかなと。
真田 渡辺棋王次第ですよね。角換わりを受けて立つかどうか。
島 この2人だと、何時に終わるかわからないスリル感がないですか。
中村 確かに2人とも早見え、早指しのところがありますからね。時間を使わなかったら1日目で終わっちゃうんじゃないか……そんな心配もしましたが、これまでの3局を見て、長考もしますし、意外に面白いなと思います。
島 新聞社の都合上、バランスを保って、優劣がない状態で2日目に入っていただきたいと思いますけども。
中村 いまそれで思い出したんですけども、第1期竜王戦って知ってます?
島 知ってます。関係者です。
中村 第1期、米長先生と島さんがお互い割と意地っ張りだったので、毎局1日目で形勢がはっきりしていたんですよ。
島 1日目で銀得したことがあってびっくりしました。
中村 明日は大盤解説会で解説をしますので、トップ棋士の息遣いというのを、味わっていただければと思っています。
真田 福島で名勝負を堪能していただきたいと思います。
島 明日は飯塚さんと、中村さんのお弟子さんの香川さんがいらっしゃって対局を盛り上げてくれると思います。少しでも竜王戦を多くの方に楽しんでいただけるよう、伝えていくのが責務だと思っています。明日からまたよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。