本局の新聞解説を務める藤井猛九段は第11期竜王戦から第13期まで竜王3連覇しました。初防衛戦をいかにして臨んだか聞きました。
「防衛戦の1年前は自分が挑戦者になりました。そのときの自分の勝因を一つ一つつぶしていって戦いました。タイトルを取ったときは、偶然やラッキーが重なりました。そうならないようにしていきましたね。挑戦者は勢いもありますから有利なんです。
第1局に勝てたことで勢いに乗れましたし、当時は谷川先生の調子が悪かったです。もし第1局に負けていたらどうだったか、相手が力を存分に出せていたらどうだったかなど、条件が違ったら大変でした。ですので、挑戦者(鈴木大介八段)が負けるような状況を作っていきました。勢いを止めるために1局目に力を入れて臨みましたし、自分から調子を崩さないように注意しました。
とはいえ、挑戦者が決まってから意識しすぎてしまって少し調子を崩してしまいました。竜王戦の七番勝負は10月中旬に始まりますよね。ただ、偶然ですけど、新人王戦の決勝戦に勝ち進んでいたんですね。その三番勝負の第1局(対堀口一史座七段戦)を竜王戦の七番勝負が始まる直前に勝てたことで調子が上向きました。運がよかったですね。自分だけでは調子を上げられませんから。
防衛側が調子いいことは少ないです。防衛戦に合わせて調子を上げようと思ってもそうはなりませんよ。羽生さんは例外なんです。普通挑戦者を待っている側はきついですよ。実際、私が竜王と取られたときは特に活躍できずに不調でした。渡辺さんも竜王9連覇したわけで、それはすごいですよ。番勝負をやりながら調子を上げていくことになります。なのでタイトルホルダーは前半で苦戦しがちですね」
2015年10月15日 (木)