渡辺棋王は盤の中央に銀を進めました。△9九歩成を受けています。5五銀は安定した駒とは言えず、不安もありますが、後手の動きを封じることができれば歩得の先手がよくなりそうです。
上図を見て、第18期竜王戦七番勝負第2局、▲渡辺明竜王-△木村一基七段戦(段位・肩書きは当時)を思い出す方もいるかもしれません。その将棋は▲5五銀(参考図)が好手で先手優勢になりました。以下△7五歩▲3七桂△3五歩▲5六飛△3三桂に▲4六銀がやわらかい手で、先手の大駒と右桂が使える形になります。渡辺棋王にとって▲5五銀は印象のよい手と思われます。
※当時の棋譜はこちら。